ペッテおばさん
ペッテおばさんが鍋をかき混ぜていると、姪のペチュリーがパタパタと台所に駆け込んできた。
「おばさん、大変。大変、おばさん」
「おやまあ、どうしたんだい」
「二本足の大きな黒山羊がお母さんと結婚したいって言ってるわ。断ったら食べてやるって。お母さんは乳搾りが終わるまで待ちなさいって言ったわ」
「そんなことで大きな声をお出しでないよ。黒山羊にはこう言っておやり。花婿はまずミルクのように白くならなくちゃいけないって。お風呂でごしごし洗ってから煮立てたミルクにしばらく浸からなきゃ。それからおとといに尋ねておいで。結婚式は時間を食うんだから。じきあさげにするから母さんを呼んでおいで」
まもなくペルシー母さんが戻って、三人はペッテおばさんのスープをキレイに平らげた。
午後になって、おばさんが洗い物を済ませて編み物を取り出したところに、再び母親と買い物に行ったペチュリーがパタパタと飛び込んできた。
「おばさん、大変。大変、おばさん」
「おやまあ、どうしたんだい」
「白くなった黒山羊がやって来てお母さんと結婚したいって言ってるわ。断ったら食べてやるって。母さんはデザートにするケーキを選び終わるまで待ちなさいって言ったわ」
「そんなことで騒ぐのじゃないよ。白くなった山羊にはこう言っておやり。おばさんの香料入りの湯に入って締めくくりをしなきゃ完璧な花婿になれやしないって。やれやれ」
ペッテおばさんは鍋を取り出して、香草を入れてたっぷり湯を沸かした。
夜になって三人はペッテおばさんのシチューをキレイに平らげた。