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トレイン&スポーツラブ~山口で出会った二人のラブストーリー  作者: リンダ
ドタバタラブコメディー開幕

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全国大会の後

【夜の女子会トーク】


 夕食後、それぞれ宿舎の部屋に戻った夜。

 山口第一中の女子たちは、一つの部屋に布団を丸く敷いて女子会状態。

 郷子・恋・夏海・光子・小夜子・ながちゃんたちが、スマホを真ん中に置いてビデオ通話をつなげた。


「美香〜! 元気しとる?」

 郷子が画面に手を振る。


「はい! そっちは楽しそうですねぇ」

 美香も照れ笑いで手を振り返す。


「美香ちゃん! 今日はかっこよかったでぇ!」

 恋が勢いよく言うと、夏海もすかさず、

「そうそう! ゾーンに入っとったよね。まじ、ルパンやった!」

 と乗っかる。


「ルパンって言うより……ルパンやったな」

 小夜子がさらっとボケると、

「出た! 小夜子お姉ちゃんのオヤジギャグセンス!」

 と光子が大爆笑。


 その流れで美香がクスクス笑いながら口を開く。

「……じゃあ、うちもひとつ」


 画面越しにぐっとカメラに近寄って、真顔で、

「みんな〜、今日の演奏で“湯気”出るくらい熱くなったよね……って、ここ温泉か!」


 一瞬の沈黙――からの大爆笑!

「美香ちゃん、やるやん!」「完全に小倉家仕込みや!」

 恋と光子が転げ回る。


「もう一個あるっちゃ」

 美香が続ける。

「ルパン吹いとったら、トロンボーンのスライドが伸びすぎて、隣の席の人に“ルパンパーンチ!”って当たりそうになったっちゃ!」


 画面の向こうで夏海が腹を抱え、郷子も笑い涙をぬぐう。

「美香、あんたほんま最高やねぇ。これじゃ寝られんわ」


 ながちゃんも落ち着いた声で、

「美香ちゃん、すっかり第一中メンバーやな」

 とぽつり。


 画面の向こうの美香は、ちょっと照れながらも、にこっと笑う。

「……ありがとうございます。今日、金賞もらえたのも、みんなのおかげやと思ってます」


 静かにしんみりする空気。

 でも次の瞬間、光子が真剣な顔で、

「じゃあ最後に、みんなで“あんれまんまぁ”って言って寝よ!」

 と提案し、画面越しに全員で声をそろえて――


「せーのっ! あんれまんまぁ〜!」


 部屋中が笑い声に包まれ、夜は更けていった。



【消灯後のヒソヒソトーク】


 夜11時を回り、消灯の時間。

 山口第一中の宿舎の部屋は明かりを消し、布団を並べてゴロゴロしながら、スマホの明かりだけでひそひそトークが続いていた。

 美香もイヤホンをして、自分の宿舎の布団にくるまりながら参加している。


「今日、ほんま一日中ドキドキしたよなぁ」

 恋が小声でつぶやく。


「うち、演奏前にお腹痛くなって、マジで“トイレにこもろうか”思うたもん」

 夏海のカミングアウトに、みんなクスクス笑う。


「でも結局、舞台に立ったら忘れとったろ?」

 郷子が落ち着いた声で突っ込むと、

「うん。ルパンのテーマ流れ出した瞬間、“あ、もう腹どころじゃない”ってなった」

 と夏海が返し、再び笑いが広がる。


 画面の向こうの美香も、声を抑えながら笑っていた。

「うちも緊張して、唇が震えとったんですけど……“ルパンになりきれ”って自分に言い聞かせたら、なんか楽しくなってきて」


「おお〜! 美香、ええこと言うやん」

 光子が感心したふりをしてから、急に真剣な顔をカメラに近づける。

「で、美香ちゃん、ステージ降りたとき、誰のこと最初に思い出したん?」


「えっ⁉」

 美香は一瞬固まる。


 恋がすかさずニヤニヤ顔で、

「ほら〜! やっぱ温也先輩のこと考えたんやろ?」

 と茶化すと、画面越しでもわかるくらい美香の頬が真っ赤に染まる。


「ち、違いますってば! そ、そんな……」

 慌てふためく美香に、全員が布団の中で爆笑をこらえる。


 郷子がやさしく笑いながらフォローする。

「まぁまぁ、誰を思い出したってええやん。大事なんは、美香が自分の音を楽しめたことじゃけぇ」


 少し落ち着きを取り戻した美香は、照れ笑いしながら小さな声で言った。

「……でも、確かに、“頑張れ”って祈ってくれとる人たちの顔は、思い浮かんだっちゃ」


 それを聞いて、部屋の空気がふわっとあたたかくなる。

「なんか、こういうのええねぇ」

「ほんまに青春やな」


 そう言いながら、次第に声が小さくなり、笑い声の中に小さな寝息も混じり始める。


 美香もスマホをそっと閉じて、暗い天井を見つめながらつぶやく。

「……今日、ほんとに幸せやった」


 心地よい疲れと安堵に包まれて、そのまま静かに眠りへと落ちていった。



【男子部屋の夜】


 消灯からわずか数分後。

 男子の部屋は、もう戦場の後みたいになっていた。


 たかやんは布団をはみ出して大の字になり、

 悠樹は布団を頭からかぶって“ミノムシ状態”。

 ながちゃんは寝返りを打つたびに枕をどっかに蹴り飛ばしていく。


 そして、温也は――

 布団を蹴り飛ばしたまま、へそ丸出しで豪快な寝息を立てていた。

「ぐごぉぉぉ……すぴー……」


 部屋中がいびきの合唱で、まるでトロンボーンとチューバの低音セクションが延々と続いているかのようだった。

 上山先生が廊下を見回りに来て、ドア越しにその音を聞いて苦笑する。

「……はぁ。男子はほんま、どこでも寝れる生き物じゃね」



【翌朝・男子部屋】


「さぶっ!!」

 温也が布団から飛び起き、腹を押さえて悶絶する。

「うぅぅ……腹が……冷えた……」


 一学年下の たかやん が布団からむくっと起き上がり、温也を見て吹き出す。

「……ぷっ! 先輩、また臍出して寝よったんですか!あははは!」


 温也は真っ赤になって、

「う、うるさい!見とったな!絶対言うなよ!」


 さらに二学年下の 悠樹 が寝ぼけ眼で顔を出し、

「先輩……臍……丸出し……伝説ですか?」

 と無邪気に突っ込む。


 温也は両手を振りながら必死で抵抗する。

「やめろぉぉぉぉ!! 二人とも言うなぁぁぁ!!」


 男子部屋は、上下関係がはっきりしたまま、笑いで大騒ぎ。



【翌朝・宿舎の様子】


 男子部屋は、温也以外のメンバーは朝からテンション高めで大騒ぎ。


「先輩、昨日の演奏、マジかっこよかったっすね!」

 たかやんが笑顔で声を張り上げる。


「ほんま、全国大会って感じやったなぁ!」

 悠樹も布団の上でジャンプしながら、まだ眠そうながらもノリノリ。


 しかし、温也は……布団から飛び起きた途端、顔を青ざめさせて飛び出す。

「うぉっ……ちょ、ちょっと待て! トイレ、トイレやぁぁ!!」


 後輩たちは思わず爆笑。

「先輩、そんなに慌てんでも!」

「昨日の豪快さの反動ですか?」

 とツッコミを入れるたかやんと悠樹に、温也は振り返りもせず超特急で廊下を駆け抜けていった。


 一方、女子部屋は朝からテンション最高潮。


 美香、郷子、恋、夏海、光子、小夜子、ながちゃんたちは布団から跳ね起き、キャッキャと声を上げながら着替えや歯磨きを始める。


「美香ちゃん、昨日のトロンボーン、めっちゃルパンやったよ!」

 恋が大声で褒めると、


「ほんと! ゾーン入っとったね!」

 夏海も加勢。


「うちは昨日の“あんれまんまぁ”ギャグ、まだ忘れられん」

 光子が思い出して笑い出すと、ながちゃんも

「美香ちゃんのギャグ、朝から笑かすなぁ〜!」


 美香も負けじと、布団の上でジャンプしながら

「まだまだ小倉家のギャグは止まらんっちゃけん!」


 女子部屋は朝から大爆笑の嵐。

 男子部屋の慌ただしさとは対照的に、女子は元気満タンで宿舎の朝を迎えた。



 郷子がニヤリと笑いながら、男子席を見て言う。

「ねぇねぇ、温也は?まだ“のぞみ”に乗っとると?」


 たかやんが横から追い打ちをかける。

「そうっす。先輩、昨夜臍丸出しで寝て、今、冷え冷えトイレ中です」


 それを聞いた女子たちは、一斉に大爆笑。


 光子が腹を抱えて笑いながら、

「臍丸出しって……ほんとに小倉家ギャグ級やん!」


 夏海も手を叩いて、

「想像しただけで笑える!全国大会の朝から、先輩の腹冷え伝説!」


 小夜子がじわじわ笑いをこらえながら、

「ねぇ、美香、あんたならどんなギャグで追い打ちかける?」


 美香はニヤリと笑い、両手を広げて

「そりゃ、全国大会直後の“臍丸出し先輩、トイレに急行!”ってコールでしょ!」


 女子全員が声を揃えて、

「いえーい!!」

 と叫びながら爆笑。


 郷子も負けじと、

「もう、温也、朝から伝説作っとるけん、席に戻ったら、全員で拍手やな」


 たかやんも男子席から苦笑しながら、

「いやぁ……先輩、完全に女子たちのネタになっとるやん……」


 その瞬間、廊下の向こうから、バタバタと温也の足音が近づく。

「あ……あかん……」

 顔を真っ赤にして、冷えた腹を押さえながら、ついに朝食会場に到着。


 女子たちは口々に笑いながら、

「おかえり、臍丸出し伝説!」

「冷え冷え先輩〜!」

 とさらに追い打ちをかける。


 温也は赤面しつつ、必死で席に座るも、周囲の爆笑は止まらず、朝から賑やかで和やかな空気に包まれた。



 朝食を済ませ、男子・女子とも宿舎を後にする。

 秋も深まり、冷たい風が宇都宮駅前を吹き抜ける中、荷物を抱えて移動する。


「さぶっ……風、冷たかねぇ」

 温也がぼやきながらも、みんなと一緒に改札をくぐる。


 宇都宮駅から東京駅へ移動し、浜松町で下車。モノレールに乗り換えて羽田空港へ向かう。車窓から見える街並みに、演奏会の余韻を噛みしめながら、部員たちはわいわいと話している。


 空港に到着し、航空チケットを確認。搭乗手続きを済ませると、いよいよ帰路の便に乗る準備が整った。


「先輩、今回の全国大会、めっちゃ楽しかったっすね!」

 たかやんが笑顔で話しかける。


「うん、緊張したけど、めっちゃいい経験やったね」

 温也も頷く。


 搭乗手続きの間、博多南中学校のメンバーとも顔を合わせる。

「お互い、全国大会お疲れさま!」

 と挨拶を交わし、短い雑談が始まる。


「美香ちゃん、昨日は本当に頑張ったね!」

 温也が声をかけると、博多南中の部員たちも笑顔で頷く。


「ありがとう。まだ信じられんけど、全国大会で演奏できてよかった」

 美香もにっこり笑う。


 こうして男子・女子・博多南中の面々は、笑顔と少しの疲労を胸に、福岡空港へ向けて飛行機に乗り込む準備を整えた。



 福岡空港の到着ロビー。

 出口付近には小倉家の面々が待っていた。


「美香お姉ちゃん、おかえり〜!」

「温也お兄ちゃん、郷子お姉ちゃん、こんにちは!」

 双子の光子と優子が元気いっぱいに駆け寄る。


 美香はにっこり笑い、温也も少し照れながら頭を撫でる。郷子は微笑みながら手を振る。


 すると光子がすかさず、両手を広げて大声で叫ぶ。

「おかえりうにゃ〜あじゃぱー!飛行機に乗ってギュイーンって来たんやろ〜?」


 優子も負けじと、ジャンプしながら

「そうそう、到着ロビーがうにゃ〜あじゃぱーでいっぱいになるけん、みんな気をつけるっちゃ〜!」


 美香は笑いながら

「二人とも相変わらずやね……」


 温也は赤面しつつ、苦笑い。

「ちょ、ちょっと落ち着け……」


 しかし双子ちゃんは止まらない。光子が片手を天井にかざして

「おお〜っと、到着ロビー全体をジャックする勢いや!」


 優子もお決まりのポーズで、

「みんな準備しとけ〜、うにゃ〜あじゃぱー波がくるけん!」


 周囲の人々も二人の元気に思わず笑顔になる。郷子は苦笑いで、

「小倉家の爆笑パワーは健在ね……」

 美香も、少し照れながらも笑顔を見せる。


 こうして空港の到着ロビーは、双子ちゃんのギャグで大盛り上がり。

 美香、温也、郷子の三人も、家族の温かさと笑いに包まれながら、無事に福岡の地に戻ったのだった。



 美香はにこやかに家族に向かって深々と頭を下げる。

「ただいま帰りました、お父さん、お母さん、光子、優子」


 双子ちゃんは元気いっぱいに手を振りながら、

「おかえり、美香お姉ちゃん〜!」

「おかえり〜温也お兄ちゃん、郷子お姉ちゃんも!」


 温也と郷子も笑顔で応える。

「ただいまです、よろしくお願いしますね」

「みらいのたねにもまたお邪魔させてくださいね!」


 美香も温也も郷子も、手を振りながら家族に別れを告げる。

 双子ちゃんも「バイバーイ!」と大声で叫び、見送る。


 その後、三人は地下鉄空港線に乗り換え、博多へ向かう。

 電車の窓から流れる街並みを眺めながら、全国大会の余韻に浸る三人。

 美香は、家族と再会できた安心感と、応援してくれた人々への感謝を胸に、にっこりと笑った。


 こうして、無事に博多への移動が始まった。

 車内は少し静かで落ち着いた雰囲気。けれど、三人の心の中には全国大会での熱気と喜びがまだ温かく残っていた。



 新山口駅に到着。列車の扉が開くと、疲れたけれど充実した表情の部員たちが改札へと向かう。


 改札を抜けると、コンコースにはそれぞれの家族が迎えに来ていた。


 温也の顔を見ると、お父さんの光とお母さんの瑞穂、そして妹の泉が手を振って笑顔で迎える。

「おかえり、温也!」

「飛行機で疲れたやろ、無事でよかったな」

 泉も元気に駆け寄り、温也の手を引いて小走りで歩く。


 郷子の方を見ると、望と桜が笑顔で手を振っていた。

「おかえり、郷子!」

「全国大会、すごかったらしいな!」

 桜も恥ずかしそうに微笑みながら、郷子の肩に軽く手を置く。


 部員たちは一人ひとり家族と再会し、抱き合ったり手を振ったりしながら、駅のコンコースで少しの時間だが温かいひとときを過ごす。



 それぞれ家族に見送られ、無事に自宅へ向かう道についた部員たち。全国大会の熱気と喜びが、家族との再会でさらに優しい思い出として胸に刻まれた。



 家に着いた温也は、玄関を開けるや否や泉に迎えられた。


「おかえり〜、温也お兄ちゃん!全国大会どうやったと〜?」

 泉は早速、テンション全開で話しかける。


 温也は疲れた顔をしつつも、笑顔で応える。

「ただいま。いや〜、トロンボーン吹きすぎて口ん中カラッカラやったけど、楽しかったぞ」


 泉はくるくる回りながら、

「ねぇねぇ、お兄ちゃん、ステージで“うにゃ〜あじゃぱー”とか出たん?出たん?」

 とギャグを連発。


 温也も負けじと笑い返す。

「いや、俺の場合は“臍丸出しで寝とったから、朝トイレに超特急で駆け込む”っていう特殊技やった」


 泉は目を丸くして鋭いツッコミ。

「ちょっと!お兄ちゃん、それ全国大会後の話やろ!?臍丸出しって何やってんの!?絶対風邪ひくやん!」

「うにゃ〜あじゃぱー!」

 と再びギャグを交えて爆笑が始まる。


 温也は笑いながら宇都宮土産を取り出す。

「ほら、これ。宇都宮の餃子せんべいや」


 泉は袋を受け取り、目を輝かせる。

「わぁ〜!お兄ちゃん、どんだけトロンボーン吹いても、土産は忘れてへん!」


 温也は席に腰を下ろし、演奏の話を始める。

「今回の全国大会、ステージの規模もでかかったし、他校の演奏も上手かった。でも俺たちも全力やったんや。トロンボーンで音出してるときは、ゾーン入ったわ」


 泉は大きく頷きながら、

「そっか〜!お兄ちゃん、頑張ったんやね!でも、臍丸出しで寝るってのは絶対ダメやけどね、うにゃ〜あじゃぱー!」


 温也は笑いながら頭をかき、

「……うん、まあ、そんな感じやな」


 二人の間には、トロンボーンを吹き切った達成感と、泉の爆笑ツッコミが入り混じった楽しい空気が広がった。

 疲れた体も、笑いと安心感で少しずつほぐれていった。



 郷子が家に入ると、ほっと一息つく。全国大会を終えた安堵と達成感が、肩の力をゆっくりと解きほぐしていく。


「おかえり、郷子!」

 桜が駆け寄り、興味津々で尋ねる。

「郷子、博多南中の美香ちゃんは、どげな感じやったん?」


 郷子は少し考えて微笑む。

「めっちゃ頑張っとった。初めての大舞台やったけぇ、緊張しとる感じは全然せんくらい集中しとったよ。音を楽しむっちゅうのが、よう伝わっとった」


 望も頷きながら、郷子の話に耳を傾ける。

「ほうか……美香ちゃん、これまで色々あったけぇな。俺らも気になっとったんよ」


 両親も穏やかな表情でうなずく。

「そうね、郷子がそう言うてくれると安心するわ」

「辛い思いもしてきた子やけど、音楽で自分を表現できたんやな」


 桜も目を輝かせながら、

「へぇ〜、美香ちゃん、すごいんやね!今度ぜひ会うて話してみたいわ」


 郷子は少し照れくさそうに笑う。

「うん、喜ぶと思う。全国大会でやり切った後やけぇ、今はめっちゃ嬉しそうやった」


 家族の温かい視線の中、郷子は全国大会での達成感を噛み締めながら、美香のことを思い出す。

 美香の頑張りと勇気は、郷子自身にも小さな誇りと勇気を与えていた。



 夕食を終え、それぞれ入浴も済ませた郷子や温也、美香たちは、自分の部屋でベッドに横たわる。


 一日の緊張と興奮、全国大会で全力を出し切った達成感が、体中にじんわりと残っていた。


「ふぅ……やっとゆっくりできる」

 郷子は布団に体を沈め、深く息をつく。


 温也もベッドに倒れ込み、臍をさすりながら笑う。

「今日もよく吹いたな……明日も筋肉痛かも」


 美香は布団に入り、疲れた体を横たえながらも、心の中はまだ全国大会の余韻でいっぱいだった。

「やっと……少し落ち着いた……でも、すごく楽しかった」


 窓の外には、秋の夜風がやさしく吹き抜ける。

 星の光が、疲れた体と心をそっと包み込むようだった。


 やがて、三人はそれぞれ夢の中へ。全国大会での音の響きや笑顔、仲間たちとの時間が、静かに胸の奥で反芻されながら、心地よい眠りへと導いた。

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