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序章~二人の出会い

地と親の転勤で多さから山口に引っ越してきた湯田温也。そして、山口で出会ったクラスメイトの上田郷子とのラブストーリー。そんな二人の夢は日本全国全都道府県制覇。その夢の実現に向けた出会いがここから始まる…。

 2024年春…。

 二人は山口に住む中学生2年生。湯田温也(ゆだあつや)は大阪出身で、コテコテのタイガースファンで、鉄道大好き人間。上田郷子(うえだきょうこ)はずっと山口在住で、レノファ山口のファンで、スポーツ観戦大好きな温也と一緒にミラスタ出没中。そんな二人の馴れ初めからこの物語は始まる。



 出会いは、温也が父親の転勤の関係で、中学1年の終わりと同時に山口市内に引っ越した時。1学期の始業式の翌日であった。まったく知ったものがいない山口市内の山口第一中学校に転入してきて、自己紹介をして、偶然隣になったのが温也が引っ越した家のすぐ隣に住んでいる郷子であった。このときから二人は次第に意気投合して、なぜか郷子は温也に興味津々。

 担任の先生によって紹介された後に、温也が自己紹介する。

「俺は大阪から山口に引っ越してきた、湯田温也といいます。宜しくお願いします」

 と大阪弁特有のイントネーション交じりで自己紹介する。

「大阪出身ということで、タイガースをこよなく愛してます。それから趣味は鉄道とか旅行とか。親父の転勤で引っ越してきました」

 まぁ、そんな個人情報を駄々洩れにしてしまうのが温也であった。自己紹介が終わり、担任の下田郷子(しもださとこ)先生が席に座るように案内する。隣の郷子にちらっと眼をやりながら静かに席に着いた。郷子がちょんちょんと温也の脇腹をシャープペンで突っつきながら

「ねぇねぇ。湯田君は大阪のどの辺に住んでたの?」

「へ?俺?俺はな、南海電車の沿線の高石駅のすぐ近くや」

「へぇ。そうなんじゃねぇ。私ね、大阪に親せきがおるんよ。河内長野駅の近くに住んでるんじゃけど、湯田君どのへんかよく知ってる?」

「あぁ、河内長野いうたら、南海高野線と近鉄長野線の駅や。何度も行ったことがあるから、よう知ってるで」

「へぇそうなんじゃねぇ。あ、授業が始まるから、また今度詳しく教えてね」

 担任の下田先生が国語の担当で、1時限目が国語なので、そのまま授業に突入。

「湯田君、教科書とか大丈夫なん?なかったら見せようか?」

「あぁ、教科書はこっちに引っ越ししてからすぐに受け取ったから大丈夫や」

「そうなん?よかった」

 郷子は少し残念そうな顔をして教科書を元に戻して授業を受けた。

「フフ。湯田君、結構身長高いし、なかなか格好いいじゃん。ちょっとタイプかも~」

 そんなこんなで授業が終わって、ホームルームも終わって、下校時間。まだ新学期が始まったばかりであるため、部活動などはなく、郷子は温也のことが気になっていたので、下駄箱のところで待っていた。

「湯田君、家はどこなの?」

「あぁ、家は山口南小学校のすぐ近くやけど?」

「そうなんじゃ、私の帰る方向一緒じゃから、一緒に帰らん?」

「え?いいけど。誰かほかの人と帰らんで大丈夫なん?」

「いいのいいの。まだこっちに引っ越ししてからそんなにたっていないじゃろうから、案内してあげる」

「あ、ありがとう…」

 帰りの道中ではお互いの趣味とか、好きな食べ物とか、他愛のない話をして、温也の家の前まで帰った。

「ありがとう。俺の家ここやから」

「えぇ~。そうなんじゃ。道理でこの前、引っ越しのトラックが停まってるなって思ってた。じゃあ私の家の真ん前じゃん。これから一緒に登下校しよっかなぁ…」

「え?俺と一緒に?なんだか照れるけど、本当にいいの?」

「いいの。まぁ、一緒に登下校するって言っても、学校まで10分くらいやからねぇ。あんまり話する時間ないかもじゃけど、私ちょっと楽しみができたかも。私ね、サッカー観戦好きなんよ」

 そんな話をして温也は家の中に入っていった。

「そう言えば、サッカー観戦が好きだって言ってたなぁ。ここは確かJ2リーグのレノファ山口っていうサッカーチームがあるんやったっけ?今度観に行ってみるかなぁ。それにしても彼女、めっちゃ積極的やなぁ…。なんかぐいぐい来るっていうか。なんか面白そう…。そう言えば今度いつ試合があるんやろ?暇やしスタジアム行ってみるか」

 そうして、ミラスタで行われる試合を調べて、4月14日に行われるザスパ群馬戦に行こうと思った温也である。

「お兄ちゃんさぁ、今日、女の人と一緒に帰ってたやろ。もうこっちで彼女出来たん?」

 そういたずらっぽい感じで声をかけてきたのは、3歳年下の妹の泉である。

「ばか、そんなんじゃないし。まだこっちのことがようわからんから、いろいろ案内してもらってただけや」

「ふーん。それにしてはなんか、すごいいい感じに見えたんやけどなぁ…。いっしっしっし~」

「まだ小学5年生のくせにませたこと言ってんじゃない。俺をからかうな」

「あ~。お兄ちゃん顔が真っ赤になってる」

「もううるさい。自分の部屋に行ってろ」

「ちぇ、つまんないなぁ」

 そうやって、からかう小悪魔みたいな妹を自室に戻らせて、試合観戦の予定を立てた温也であった。

 その一方、郷子も次のミラスタ試合に彼を誘おうかどうしようか迷っていた。

「うーん。スポーツ観戦は好きって言ってたから、誘ってもいいかなぁ。どうしよう」

 そして、夕食と入浴を済ませて、眠りについた郷子であった。こうして温也と郷子が出会った初日は更けていった。

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