第95話 LOVEドール
「ふぅ、いっぱい買いましたね~」
ビアンカちゃんと大人の玩具を大量購入してきました。帰りの電車とかでハローバイブのロゴマークの入った大きな袋を持つ美少女二人組は大注目だった。中にはエッチなお誘いをしてくる男性もいたけど、その人はビアンカちゃんが対応してくれました。不思議な事に、話し掛けて来た男性は次第に力が抜けて行き、最後には生気の抜けた虚ろな目になったのは怖かったです。
ナンパ野郎はビアンカちゃんがやっつけちゃうぞ! って言っていたから何かやったのだろう……。
『ニャニャ!? 変なものが大量ニャン! これは猫じゃらしみたいニャー』
楕円形の物体に細い棒が付けられたブルブルに猫パンチしているチロル、でもそれ猫じゃらしじゃなくてエチエチダンジョンを攻略するアイテムだからね?
「もう、おにーちゃんったら買いすぎだよぉ。こんなに買い込んでどれだけビアンカちゃんをイジメたいのかなぁ?」
「えへへ、これで良い勝負が出来そうですー」
元々はエッチな玩具を夢の世界に持って行けるかという実験をしたいだけなのだが、タイミングの良い事に今宵は赤いゲートの先へ探索出来るのだ。サキュバスの館で繰り広げられる死闘、後世に語り継がれる伝説の一戦になるに違いない。
ふと、袋いっぱいの玩具を見てボクは思った。七海さんの居ない今ならちょっとくらい性能テストをしてもいいんじゃないかと……。本番前に練習とか必要だと思ったのだ。
「あのあのビアンカちゃん……」
「ふふふ。なぁに、おにーちゃん?」
モジモジとするボクの態度から言いたいことを察したであろうビアンカちゃんが笑いかけて来た。うう、自分からエッチのお誘いをするのは緊張します。でもビアンカちゃんがお誘いを断る事は無いよね!
「そのぉ、ちょっとだけエッチしたいなぁって……」
「………………へぇ。エッチしたいんだぁ。おにーちゃんは興奮してビアンカちゃんを押し倒したくなっちゃったんだねぇ」
ボクを焦らすように見つめるビアンカちゃん、その顔はいたずらっ子のように見えた。
「でもだ~め♡」
「えっ!?」
まさかのお預けでした。そんなー!
「だっておにーちゃん、今は女の子でしょ? いくら愛するおにーちゃんでも女の子は対象外なんだよね~。しかもルナとか絶対にムリムリ」
「待ってよビアンカちゃん、女の子みたいだけどほら、ここは立派なものがあるんですよぉ」
スカートを捲ると元気に挨拶する愛棒さんの姿が見えた。実はエッチな玩具のパッケージってエロいんですよ。可愛い女の子が描かれていたり、アヘアヘな顔をした女の子がいたり、あのパッケージで売り上げが大きく左右されていると思います。
コッソリと愛棒さんのトレーニンググッズも新調しておきました。貫通タイプです!
『うにゃぁ……ルナ様の恰好でそれは見たくないにゃぁ』
「チロルは黙ってて! あとでちゅる~んあげるから」
『ミャーはお口チャックしてるニャ』
冬場の愛棒さんはやる気が無い事が多いからね、今みたいに自発的な時はしっかりと活躍してくれるに違いない。
「おにーちゃんはさぁ、ビアンカちゃんが男の恰好になってもエッチ出来る? 試しに誰か友達で想像してみてよ」
「むむっ、友達ですか……?」
試しに王子様系のイケメンであるホッシーに変身したビアンカちゃんを思い浮かべた。サラサラの黒髪、甘いマスクが魅力的なイケメンさんだけど、股間には女性のアレがあるのだ。ふむ、ボクには無理だ……。想像したら愛棒さんがシュンってなっちゃいました。
「あはっ、おにーちゃんも無理でしょ。だから夜まで我慢しよ?」
「ううぅ、分かりましたぁ」
しょうがない、夜になったらサキュバスの館に行けるはずなのだ。それまで我慢しよう。ショボーンとした気持ちでチロルにちゅる~んを上げていたところ、ビアンカちゃんが慰めに来た。
「そんなに落ち込まないでよおにーちゃん。そんなおにーちゃんに朗報だよ。ビアンカちゃんは一足先に館に戻ってるからさ、この体好きにしていいよ?」
「えっ……?」
賢さが6しかないボクには言っている事が理解出来なかった。先に館に戻るのに体を好きにする? なぞなぞですか?
「この体は魔力で作った入れ物、つまりお人形なんだよね。お人形を遠隔操作してる感じ? だからね、今からおにーちゃんの好きにしていいよ♡ じゃあ館で待ってるからね~」
「はわわわわ、ビアンカちゃん!?」
そう言ったビアンカちゃんの体が糸の切れた人形のように倒れ掛かって来た。慌てて抱き締めるが呼吸をしていない。でも何故か温かいのだ。ソファーに寝かせたが全く反応がない。軽く頬をプニプニしたけど無反応なのでした。
もしかしてこのまま意識の無いビアンカちゃんと……ゴクリ。
キョロキョロと周囲を確認するとアホな子を見るような目を向ける失礼極まりない猫ちゃんが一匹だけだ。よし、愛棒さんのトレーニングでもしようかな!
『もしかして発情中ニャン? ルナ様の恰好でその御方を……?』
「ごめんチロル、ボクはやらなきゃならない事があるんだ! 夕飯は適当に食べてて、冷蔵庫にお刺身もあるから好きに食べていいからね!」
『ウニャーン!! 後は任せるニャン』
よし、邪魔者は居なくなった。ボクはビアンカちゃんをお姫様抱っこして自室へ運ぶのでした……はぁはぁ。
「……ゴクリ」
思わず生唾を飲み込んでしまった。ベッドの上で抜け殻のようになってしまったビアンカちゃんは、まるでエッチなお人形のようだったのだ。お昼寝をしているメイドさんの部屋に忍び込んだショタのような状況に、自然と息が荒くなってしまう。あどけない寝顔をしたビアンカちゃんに近付き胸を触ってしまった。ああ、こんな犯罪のような事をしていいのか? スカートを捲ってもパンツも見ちゃいますよ?
「も、もう我慢出来ないー!」
ボクは獣になった。
◇
「おうユウタ、今日はいつにも増して気合いが入っているな!」
「えへへ。今日はサキュバスの館に行ける日ですからね、サポートグッズをいっぱい持って来たんですー」
「サポートグッズぅ?」
ギルマスが疑問符を浮かべているけど無視です。
ビアンカちゃんの体を余すところなく堪能したボクはスッキリとした気分で眠れました。もちろん買い込んだ玩具も忘れていませんよ。このアイテムを持って行きたいという気持ちを強く持って寝たからだろうか、上手い具合に袋を持って来る事が出来ました。つまり実験の結果はビアンカちゃんの言っていた通り、持ち帰ったモノは持って行けないという説が濃厚だな。ごめんよチロル、もう帰れません。
JK夏子さんに挨拶をして幸せの薬の入荷を確認したり、酒場の恵美さんから助っ人が居ないことを通達されたり、そんな感じで準備を整えて赤いゲートへやって来た。この装備があればビアンカちゃんといい勝負が出来そうだ。練習はバッチリです。
「おいユウタ。そんな装備で大丈夫か?」
「大丈夫だ、問題無い」
「お、おう……」
今のボクはスウェット姿にハローバイブの袋を持った怪しい恰好です。さすがにギルマスも心配になる装備だった。でも安心して欲しい。サキュバスの館でエッチするだけだから!
赤いゲートへ進みながらボクは考えた。ビアンカちゃんを攻略するにあたり、どのような作戦で戦おうかと……。相手は存在自体がエチエチなサキュバスクイーンのビアンカちゃんだ。無策で挑めば前回の二の舞だぞ。
ふと、チロルに見せてもらった苺ちゃんのエチエチな姿が脳裏に浮かんだ。拘束具でビアンカちゃんを優しく縛り、ダンジョンギミックをチュパチュパするアレで責めるのがいいかもしれないな。そしてトロトロになったところでイボイボがたくさんついたブルブルスティックの出番だ。そしてぐったりとしたビアンカちゃんが『らめぇ、おにーちゃんちょっと休ませてぇ』と言ったところで愛棒が大活躍です。これだ!!
「ふへへ。待っててくださいビアンカちゃんっ!!」
ボクは赤いゲートへダイブした。そして……。
「サキュバスの館……どこ?」
目の前に広がる深い森を見て、ここがサキュバスの館じゃない事を理解させられてしまったのだった。




