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本当にそれ、ダンジョンですか?  作者: ポリエステル100%
中級冒険者の章

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第77話 ここはどこですか?


「むむっ……ここはどこだろ?」


 赤いゲートに侵入したボクは森の中に立っていた。森林浴が出来そうな気持ちの良い森で、木の間隔が広くて歩きやすそうだ。よく見れば足元にはアスファルトで舗装されたような道があった。


 振り返ると赤いゲートがモヤモヤしていた。どうやら帰るならここを通れっていう事らしい。でもいつものダンジョンと違って地図とか無いから戻って来れない予感がする。まるで異世界転移をしたラノベの主人公になった気分です。


 ここはどこのダンジョンなのだろうか。分かるのはサキュバスの館じゃないという事だけだ。森の中だし、ここは『古代エルフの森』かもしれないな!


 そう言えばエルフとの交換品を持っていない事に気が付いた。やっちまったなぁ!


「まあ今日は偵察だからね。冒険者らしくお宝をゲットして帰ろう」


 マジックバッグからギルマスに借りた装備を取り出した。


「ぐぬぬぅ……! こ、これ重いんだけどっ」


 鋼鉄の剣と盾、そして必中の指輪を装備してみた。いつものダンジョンだったら勝手に装備されるけど、どうやら自分で出してキチンと持たないとダメらしい。親切設計なダンジョンのルールじゃないですね……。


 つまりボクの貧弱な体で冒険しろって事だ。ジャージ姿で剣と盾を持ってみたけど、きっとモンスターに遭遇したら即死な気がする。



【必中の指輪】

遠距離攻撃が絶対に当たるようになるよ!



 ふむ、名前の通りだ。けど矢とか持ってないんだけど……。


「す、ステータスオープンっ!」


 ステータスを確認するためにステータスオープンと呟いて見たけど何も起こらなかった。恥ずかしいけど誰もいないからオッケーだね!


「ここだとステータスすら確認出来ないんだね。まあいいや、頑張ろー!」


 そうしてボクは森を進んで歩き出した。




   ◇




「…………何も出て来ないよ?」


 整備された道に沿って歩いて行くけどモンスターとエンカウントしません。盾を構えてゆっくり歩いているのがアホらしくなる感じです。


 たぶん30分くらい歩いたはず。モンスターもエルフも居ないし、変わらぬ景色を眺めているのにも飽きました。もう手と足が痛くなって来たし、大きな木の下に座って休憩しようと思う。


 剣と盾をマジックバッグにしまってマッキュセットを取り出した。まだお腹は減ってないけどジュースを飲もう。ふむ、今日はオレンジジュースですね。ゴクゴクうまぁ。


「はぁ……これがギルマスの言ってた迷いの森なのかなぁ。歩道を歩いているのに街に辿り着けないよ」


 滞在時間は6時間と言っていた。あと5時間ちょっとか? 空腹で死ぬ事は無さそうだけど街まで行って交流して帰るのは難しそうだ。


「ああ、この森は空気が美味しいな。もうこのまま制限時間いっぱいまで遊んでようかなぁ」


 ポカポカ陽気に鳥のさえずりが眠気を誘う。夢の中なのに眠くなるっていうのも変な話だけど、とてもリラックス出来て気持ちがいい。


 最近のボクは頑張り過ぎなような気がするのだ。平日は学校行ったりバイトしたり、そして夜は七海さんとエッチして、夢の中では冒険です。


 たまにはこうしてゆっくりとリラックスするのはいいと思います。なぁ、愛棒?


「…………――ふぁっ!?」


 ゆっくりと流れる雲を見つめていたところ、遠くでサイレンのような音が聞こえた。


 耳を澄ませてみれば、ビーッ! ビーッ! という警告音が聞こえる。イベント発生ですか?


「このまま居てもしょうがないし、ちょっと行ってみようかな。どうせ今日は情報収集だもんね」


 立ち上がってマジックバッグを肩に掛けた。どうやらマジックバッグに入っていると重さは無くなるらしく、剣と盾を入れても軽いのだ。


 どうせ盾を装備していたところでモンスターに不意打ちされたら即死だろう。このダンジョンだと盾を装備してるだけじゃ意味がないからね。運動音痴なボクが敵の攻撃を盾でジャストガード出来るとも思えない。諦めが肝心です!





 そんな感じでコソコソと森の中を進んで行く。運がいいのかモンスターにも見つからず、ついに森を抜ける事が出来た。


 でもそこは…………。


「な、なんじゃこりゃー!?」


 思わず声を出してしまったが許して欲しい。森を抜けると近代都市があったのだ。いや、近代都市というのは語弊がある。これはもはや未来都市だ!


 銀色に輝く建物やお店のようなもの、そして謎の球体が自動車のように移動している。よく見ると美形な人達が歩いているのが見える。


 ここがエルフの街なのかな? エルフの村って木の上にある小屋ってイメージだったから全然違うぞ。


 警戒心を無くしたショタはタタタタッと駆け足で街に飛び込もうとしたが、街の入り口にある大きな門の外で何やら揉め事が起こっているのが見えた。


『侵入者発見ニャー。侵入者発見ニャー。害虫はぶっ殺ニャー!!』


「クソっ、見つかったぞ!? やっぱり街には入れねぇじゃねーか! おい、どうする!?」


「こうなったらヤルしかない!! ガードロボが1体だ、挟み撃ちすればやれる! 俺が正面で引き付けてるうちに後ろから殺れっ!!」


「おうっ!!!」


 ボクは急いで木の陰に隠れた。緊迫した雰囲気に心臓がバクバクと鳴っている。


 チラッと顔を出してみると、ギルマスのようなマッチョな男が巨大な盾を構えている。そしてマッチョの前にはニャンコがいた。60cmくらいの猫ちゃんだ。ニャーニャー可愛い。


『死ねニャー!』


「ぐおおぉぉぉおぉ! い、今だやれっ!!」


 猫ちゃんがマッチョに殴り掛かった。小っちゃい肉球で猫パンチを繰り出したのだ! おそろしく速い猫パンチ、ボクでなきゃ見逃しちゃうね!!


 そんな感じで気付いたらマッチョの盾が凹んでました。あれってボクのお家の玄関にある防護盾だよね。つまりマッチョは冒険者か。もしかして赤いゲートの先にあるダンジョンはチームプレイも可能なのか!?


 つまりサキュバスの相手も複数人で……ゴクリ。


「――シッ!!」


 いつの間にか猫ちゃんの背後に現れたヒョロイ男が刀を振り下ろした。もしやあれは、マサムネ先生!?


 可愛い猫ちゃんが斬られるのは見たくないので目を閉じたが、カキーンという金属音が聞こえた。思わず目を開けると、折れた刀がシュルシュルと音を立てながらボクの隣に刺さりました。危なかった…………。


 どうやらあの猫ちゃんは只者じゃないようだ。マッチョがガードロボって言ってたし、ロボなのだろう。見た目はちょっとデブい茶トラ柄の猫なのにね。とても可愛いですよ。


『ぶっ殺ニャー!!!』


 猫ちゃんがそう言った次の瞬間、マッチョとヒョロイ男が体をくの字に曲げて吹き飛んだ。ズサーっと土煙を上げて転がった後、二人は霧のように溶けて消えてしまった。ボクでも見えないほどに早い攻撃とかヤバいわよ!


 赤いゲートの先で死ぬとこうなるのか。っていうかあの猫ちゃん強すぎじゃない? ボクの100倍は強そうなマッチョが一撃で死んでたよ!? っていうかボクが食らったら本当の意味で死にそうなんだけど……。お腹に穴が空きそうだ。


 よし、逃げよう。ここはボクが来て良い場所じゃなかったんだ。ゆっくりと後ろに下がりハイハイをする感じで森に進んだ。


『ちょっと待つニャ』


「ぴぃ!?」


 背後から猫ちゃんの声が聞こえた。恐る恐る振り返ると、すぐ後ろにさっきの猫ちゃんが居た。どうやらユウタの冒険もここまでのようだ。今までありがとうございました……!

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