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本当にそれ、ダンジョンですか?  作者: ポリエステル100%
初級冒険者の章

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第72話 チートプレイヤー


 チートとは、いかさま、ごまかし、詐欺、不正行為などの意味を持つ英単語である。そして、運営様()が定めたものとは違う非正規な手段を用い、有利なものへ状態を改変する行為などを俗にチートと呼ぶ。


 つまり何が言いたいかというと、ビアンカちゃんのチートっぷりは酷いの一言であります。


「おにーちゃんとこうやってダンジョンを散歩するのも楽しいね~。あ、階段あったから降りよう~」


「う、うん……」


 まるでボクの大好きなゲーム、ドラゴンなクエストの5作目における主人公になった気分だ。敵が出て来ても父親(パパン)が全部倒してくれるし、死にそうになったら回復までしてくれるんだよ。もう至れり尽くせりなあの感じです。


 ビアンカちゃんと手を繋いで階段を下りたのはいいけど、何もしてないのにもう10階ですよ。ボクは落ちてるアイテムを拾うだけで階段があったらすぐに降りるイージープレイです。はぁ、いいのかな?


「もうすぐおにーちゃんとエッチ出来ると思うとキュンキュンしちゃう。知ってる? 赤いゲートの先にあるダンジョンって滞在時間が決まってるんだよ」


「え、そうなんですか。知りませんでした」


 この黒いゲートで来るダンジョンも同じフロアに長い時間居ると地震が起こって強制的に次のフロアへ飛ばされる。赤いゲートの先でも同じような事があるのだろう。


「えっとね、だいたい6時間居られるんだよ。死んじゃったらお終いなのは同じだけどね~」


「なるほどー」


 つまり6時間耐久エッチしようね、っていう遠回しなお誘いなのだろうか。ビアンカちゃんがニヤニヤ笑いながらボクを見つめてくる。


 マズイぞ。このままでは本当にビアンカちゃんに食べられてしまう。そんな事になったら七海さんに合わす顔が無い。


 ビアンカちゃんの策略によりモンスターに倒される事も出来ず、罠で死ぬ事も無理。更には空腹死まで封じられてしまったのです。ここまで徹底されるともうボクに手は無かった。


 いや、まだ何かあったはずだ……。


「あ、見てみておにーちゃん! カードが落ちてるね~」


「カード……!?」


 初級冒険者カードを得た事でダンジョンが少し変わったのを思い出した。泥棒猫が出て来たり、マサムネを拾ったり色々とあるけど、一番嬉しかったのが10階に必ず落ちている『脱出カード』である。七海さんと初めて二人プレイをした時は拾い忘れていたようだけどね。


 これさえあればこの困難な状況から脱出出来る! 『あっ、間違っちゃったごめんね~。てへぺろ♪』って言って謝ればいいのだ。いけるっ!!


「へくちっ」


「えっ……?」


 ビアンカちゃんが可愛いくしゃみをした瞬間、彼女の綺麗な指先から赤い光線が飛び出した。それは一直線にカードへと向かい、ピカッと光った後に周辺が爆発した。まるで地雷を踏んだ時のような爆発でした。


 そして何も無くなっていたのです。ボクのカードがぁぁぁああ!?


「あっ、間違っちゃったごめんね~。てへぺろ♪」


「はわわわわわわ」


 ボクはジロリとビアンカちゃんを見つめた。絶対に今のはわざとです。もしかしてボクの心を読んでるのか!?


「そんな怖い顔しちゃダメだぞ~。ほら、もう観念してビアンカちゃんに食べられちゃいなよ♪ おにーちゃんはね、もうすぐビアンカちゃんのお家でエッチするんだよ。6時間っていう制限時間の中、全力でアヘアヘのトロトロに気持ち良くなってぇ、脳がバカになっちゃう快楽を得るの。大丈夫だよ、夢の中なら浮気にならないから♡」


「で、でもっ」


 困惑するボクにビアンカちゃんが抱き着いて来た。甘い甘い蜂蜜のようなドロッとした香りがボクをダメにする。ボクは浮気しないんだっ!!


「おにーちゃんがサキュバスの館に行ったとしてだよ、ななみんはどうやって知るの?」


「…………えっ?」


 その言葉を聞いた瞬間、ボクの理性を守る最後の壁にピキピキとヒビが入る音が聞こえた。


「だってさ、ななみんとエッチしても二人でギルドに来るのは難しいでしょ? ほぼ毎日生エッチしてるのに全然来れてないじゃん。それにななみんが来れたところでさ、おにーちゃんがビアンカちゃんとエッチした証拠なんて確認できっこないんだよ♪」


「で、でもでもっ、ギルマスや夏子さんが喋っちゃうかもしれないし……」


「そこはほら、ビアンカちゃんがお話(・・)してあげるから大丈夫だよ。知ってるでしょ? 筋肉の人も店員さんも、み~んなビアンカちゃんが怖くてビクビクしてるんだよ。ビアンカちゃんが『絶対に内緒ね♪』ってお願い(・・・)すれば……ほら、もうななみんにバレないね♡」


「ご、ゴクリ……」


 ビアンカちゃんとサキュバスの館で6時間耐久エチエチバトルかぁ。愛棒、いけるか?


 レベルアップでMPも増えたし、時魔法はフルで使えるはずだ。このエチエチなサキュバスクイーンを倒すには全力で挑む必要があるだろう。


「早漏なおにーちゃんのためにサポートグッズもいっぱい用意してあるんだよ♪ ビアンカちゃんがいつも一人でエッチしてるブルブルでぇ、い~っぱい気持ち良くしてくれていいよ♡」


「エッッッッッッ!!!」


 その言葉を聞いた瞬間、ボクの理性を守る最後の壁がパリーンと粉々に砕ける音が聞こえた。


 初心者なボクを助けてくれるサポートグッズを使っていいんですか?


 実はボク、七海さんと玩具で良く遊んでいるのです。ブルブルでアンアンさせてぐったりした隙に愛棒が果敢に攻めるのだ。ちょっと卑怯だけど凄い効果的なんですよ。


 これならビアンカちゃんにも勝てる気がして来た!!


「よし、さっさと中級冒険者カード拾って帰りましょう!!」


「おっけおっけ♪ 今日が記念日になるような凄いエッチしようね~♡」


 そうしてボクはダンジョンを進んだ。ビアンカちゃんとのイチャラブエッチを夢見て。


 でもボクは忘れていたのだ。ビアンカちゃんが悪魔だという事を……。




   ◇




 本当に、本当にあっという間にクリアしてしまった。ただ一度も剣を振らず、ただ一度もダメージを受けず、まるで散歩をするようにダンジョンを進んだ。


 24階以降に待ち受ける凶悪なモンスターさえサキュバスクイーンの前ではゴミ同然であり、可愛い指先でパチンと音を鳴らすだけで燃え尽きてしまった。


 これがサキュバスクイーンの本気、いや、これでさえ幻影と言っていた。サキュバスの館で待ち受ける本体はどれ程のポテンシャルを秘めているのだろうか。


「えへへ、ここを上がったらゴールだね♪」


「う、うんっ!!」


 もうボクの頭は早く帰ってサキュバスの館に行く事しか考えられなかった。早くこのエッチな体を味わいたい。早く愛棒さんでダンジョンアタックをしたい。それだけしか……。


 二人で腕を組み階段を上って行く。ああ、光が見えて来た。あそこがギルドだ。


 ふと、腕を組むボク達がラブホに入るカップルのようだなと思った。


 そして…………。






「ユウタ君、ビアンカ様、ダンジョンクリアおめでとうございま~す!」


「…………えっ?」


 パンッパンッというクラッカーの弾ける音と共に夏子さんが出迎えてくれた。赤いドレスを着ておめかしした夏子さんがインタビューマイクを片手に近付いて来たのだ。


 キラキラと紙吹雪が舞う中、ボクはポカーンと口を開けている事しか出来なかった。


「ビアンカ様、遂にユウタ君が中級冒険者になりました。これでサキュバスの館に行けるようになりましたが、今のお気持ちはいかがでしょうか?」


「えへへ、随分と待たされちゃったけどやっとエッチ出来るから嬉しいかな? もう、こんなカメラの前でエッチするとか言うの恥ずかしいよぉ~」


「カメラ…………?」


 ビアンカちゃんが夏子さんからインタビューを受ける中、正面からボク達に向けて巨大なビデオカメラを向けるギルマスが居たのでした。


 もしかしてこれ、撮影されてますか……?


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