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本当にそれ、ダンジョンですか?  作者: ポリエステル100%
初級冒険者の章

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第56話 検品


 夢の世界からマジックバッグごと持って帰って来たのはいいけれど、シオンちゃんは刀を見てウットリしてるし、七海さんは左手の薬指を嬉しそうに見ていたのだ。


 ボクは一人寂しくマッキュポテトをモキュモキュしていたところ、七海さんが正気に戻りました。


「ユウ君、何食べてるの?」


「これですか? これはマッキュですよー。ダンジョンの中では空腹度っていう設定があって、お腹が減ると死んじゃうんです。なのでこれは食糧アイテムってやつです。良かったらどうぞ~」


 マジックバッグからビッグマッキュセットも出してみました。ホカホカの出来立てで良い匂いがします。ジュースはメロンソーダっぽい。


「これがマッキュかぁ……うん、初めて食べたけど結構美味しいね」


「…………ぇ?」


 世界規模で展開するファストフードの王様と言っても過言ではないマッキュを初めて食べた……?


 ポテトをモキュモキュと食べる姿が可愛いこのお姉さんはドラマとかで出て来るようなお嬢様なのか。


 そんな事を考えてマッキュを食べていたらシオンちゃんも戻って来た。


「持ち帰ったアイテムはこれだけかしら?」


「あ、まだありますよ。全部出しますね~。防護盾に透視の指輪、回復薬、上級回復薬に解毒薬、目薬、解呪カードですー」


 さっきマサムネを取り出したときに分かったけど、鞄から全部出た瞬間に重さが正常になる仕組みらしい。バカでかい防護盾を取り出すのを油断していたため、危うく床に落とすところだった。


 床に傷がついちゃうのでクッションを間に挟んで立てかけておきました。でも盾には興味が無いのか、チラッと見ただけで終わりでした。玄関にでも飾っておこうかな……。


「へぇ、沢山あるわね」


「この指輪も綺麗~」


 シオンちゃんはポーションに興味津々だ。上級回復薬は緑色だけど、普通の回復薬は赤色なのです。解毒薬は紫色で毒々しさが溢れていたけど、紫色って毒薬みたいなイメージだよね。目薬はドラッグストアで売ってるような小さいやつで透明な液体です。


 逆に七海さんは指輪がお気に召したようです。透視の指輪はプラチナリングに小さなサファイアが嵌め込まれたデザインでカッコイイね。ボクが装備しても違和感なさそう。


 解呪カードは名刺サイズで魔法陣が描かれていて、裏面には『解呪』って漢字で書かれている。この世界で呪いとかあるのかな?


「指輪はレアなのでボクが欲しいですけど、他のアイテムは珍しいものじゃないのでお譲りしますよ~。効果はそれぞれ――」


 夢の世界での効能を説明しました。どれも危険な性能じゃないから使い方を間違ったところで問題にはならないだろう。


 でも上級回復薬は1本くらい常備しておこうかな。ケガした時に役立ちそう。


 七海さんが指輪を渋っていたけど、ボクが自分の左手の薬指に付けたところ上機嫌で許してくれました。この世界に罠なんてないから見えないけど、この指輪ならおシャレアイテムとして付けておける気がしたのだ。


「ふふ……ユウタ君は優秀ねぇ。そうだわ、報酬の事を色々と考えたんだけど現金をそのまま渡すのは色々と問題になるから難しいと思うの。だから報酬の先払いとして、このマンションのオーナー権を七海(・・)に譲ろうと思います」


「分かりました、紫苑様」


「えっ、あのっ、ボクじゃ無くて七海さんですか?」


 確か幸せの薬を持ち帰ったらこのマンションのオーナー権をくれるって言っていたのだ。ちょっと腑に落ちないぞ。


 そんなボクの表情を読み取ったのか、シオンちゃんがニヤリと笑い出した。


「うふふ、そんな顔しないでも大丈夫よ。ほら、赤の他人であるユウタさんに財産を分けるというのはとても複雑で面倒な手順が必要なのよ。税金だって凄く取られちゃうのよ?」


「確かに……」


 このマンションのオーナー権というのはボクが想像する何十倍もの価値があるのだろう。それをポーンと見知らぬ大学生にあげるなんて無理な気がして来た。


「七海だったらそこら辺の面倒くさい仕事も少しは軽減できるのよ。それに将来七海と結婚すればユウタさんのモノと言っても過言ではないわよね?」


「け、けけけ、結婚!? でもでも、七海さんとは付き合って日も浅いですしぃ……」


 結婚ってそう簡単に決める事じゃないよね。相手の気持ちだって大切なのだから。チラッと七海さんの様子を伺うと満更でもなさそうだった。


「大丈夫だよユウ君。私ももう少し恋人気分を味わいたいから、結婚はユウ君が大学を卒業してからで良いよ」


「あ、はい……」


 これってもしてかして婚約って事ですか? 確かに七海さんは綺麗で優しいしボクには勿体無いくらいに素敵な女性である。でも……その、あんまりこういう事を言いたくないけど、体の相性ってあるじゃん? ボクが七海さんを満足させられるか不安なのでした。


 大学を卒業する頃になって『はぁ……ユウ君は可愛いけどやっぱり早漏は止めとけば良かったかなぁ』とか陰で言われても困ります!


「それと七海にはこれを」


 そんなボクの気持ちも知らないで、シオンちゃんが真っ黒いカードと通帳を七海さんに渡していた。なんだろね?


「紫苑様、これは……」


「こんな事もあろうかと七海の口座に資金をプールしておきました。少ないですが、ユウタさんへの報酬の一時金とします。ユウタさんには申し訳ないけど、欲しいモノとか七海にお願いしてね」


「えっと、良く分からないけど了解しましたー!」


 幸せの薬をゲットした場合の報酬は先渡しとして七海さんに預けて、ここにあるポーション類の報酬は七海さんの口座にあるから欲しいモノを買って貰えって事ですか?


 賢さが6しかないボクは頭が混乱して来ました。つまり……ヒモ生活ってこと!?






 ボクがポカーンと口を開けて二人の会話を聞いていた。旦那をしっかりと管理するのも天王寺家に生まれた女の務めとか言ってるけど、もうボクは結婚する事が決定しているようだ。初エッチもまだだよ?


 チラッと通帳のページを見せられたけど、ゼロが8個くらい並んでいて理解不能でした。


「さて、午後には引越し業者が来るから任せましたよ。不用品は業者がそのまま処分する手筈になってるから、七海がしっかりとフォローしなさい」


「はい、紫苑様」


 なるほど、ボロアパートの荷物を全部持って来てくれるのか。助かるね!


 この家に備え付けの家具があるからほとんど処分して貰う事になりそうだ。でもこのお家はファミリータイプだからボクには広すぎるんだよね~。


「じゃあ最後に、ユウタさんにお願いがあります」


「ふぁっ!? ぼ、ボクですか? えっと、何でしょう」


 頭の中で色々と荷物整理の算段をしていたところ急に呼ばれてビビッてしまった。


「ええ、ユウタさんにしか出来ないアルバイトのお願いです。いくら七海に欲しいモノを買って貰えるとはいえ、少しくらい現金が欲しいんじゃないかしら? ほら、コッソリとプレゼントとか買いたいでしょう?」


「確かに……」


 喫茶店でシコシコとアルバイトをしているけど、七海さんを満足させられるプレゼントとなると敷居が高かった。さすがにダンジョンから持って帰ったアイテムだけって言うのも変だもんね。


 でもアルバイトってどんな事をさせられるんだろう。女装してエッチな写真を撮影させろとか言われたら困るぞ。ボクの魅力ならかなり良い感じに女装出来そうだけど、冬の有明に参戦か……!?


「女装しろなんて言わないから安心して頂戴。聞いたところによるとユウタさんは若返りの魔法を使えるそうじゃない。1回5万円でどうかしら?」


「ご、5万円!?」


「あら、やっぱり少ないかしら。じゃあ10万円で良いわ」


「はわわわわわ!?」


 シオンちゃんがどこから時魔法の情報をゲットしたのか知らないけど、あんな魔法1発で10万円とか最高じゃないか! っていうか貰い過ぎですよ。


 愛棒さんに無駄撃ちさせるよりも魅力的な提案だった。愛棒さんから抗議された気がしたけど、弱すぎますからね……。現金の方が欲しいです!


「やります、やらせて下さい! でも大した手間じゃないのでその、1万円くらいでいいですよ。それでも貰い過ぎな気がしますけど……」


 喫茶店で一日バイトするのと同じくらいの金額を数秒で稼ぐって悪い事をしている気分です。いくら相手がお金持ちとはいえ、小心者なボクには気が引けるのだ。


「そう言ってくれると思っていたわ。お金に関しては追々詰めましょう。早速だけど今から良いかしら?」


「ボクは別に構いませんが……あっ、若返りだと必要なものがあるんです」


「必要なもの? 何かしら」


 夏子さんにレクチャーして貰った若返りだけど、その人の若い時をイメージする必要があるのだ。せっかくだから参考になるモノが欲しかった。


「ギルドで教えて貰ったんですけど、魔法を効果的に作用させるには心臓の位置に手を当てて使う必要があってですね、特にイメージが大事らしいんです。なので胸の辺りを触っちゃう事を許して欲しいのと、シオンちゃんが目標とする姿の写真とか見せて下さいー!」


「……それは絶対に必要なのかしら?」


 むむっ、何やら渋っているようだ。胸を触られる事に抵抗があるのか、それとも昔の写真とか無いのかな? ボクのイメージでやるしかないなぁ。


「その、ボクのイメージが出来れば写真じゃなくても大丈夫だと思います」


「そうね…………」


 シオンちゃんがムムムと悩んでいた。


 しばらく悩んだところ、キュピーンと閃いたのかハッとした顔を見せた後、ボクの隣にいる七海さんに命令した。


「七海をイメージして魔法を使って貰いましょう。七海、悪いけど脱いで頂戴」


「はい、紫苑様」


「うぇっ!? あのあのっ、七海さんが脱ぐんですかー!?」


 七海さんが恥じらいも無く洋服を脱ぎだした。そう言えば七海さんはモデルさんでしたね。もしかしたら裸になるもの慣れているのかもしれない。


 お風呂で裸を見た事があるけど、童貞なボクには刺激が強かった。おっぱいおっきいし腰のクビレがしゅごい。はわわわ、薄っすらとダンジョン周辺に茂みがあります。草原タイプのダンジョンですねぇ。


「さあユウタさん、七海の姿をしっかりとイメージしながら魔法を使って頂戴」


「はわわわわ!?」


 いつの間にかブラウスを脱いで上半身を露出させたお姉さんがボクの手を掴んで胸に当てていた。ムニュっと柔らかい感触がドキドキしてしまう。


「ユウ君は私を見ないとダメだよ?」


「は、はいー!」


 急いでシオンちゃんから七海さんに視線を替えた。そうだよね、親戚のお姉さんをガン見したら怒るよね。


 合法的に許可を頂いたのでじっくりと見ちゃいます。肌が白くてピンク色の小さな突起が可愛いですー!


 さて、さっさとお仕事をしましょうか。左手を愛棒に見立て、七海さんにぶっかけるイメージで手のひらから魔力を放出した。


「ピチピチにな~れ♪」


「んんんっ!!」


 シオンちゃんの体を青い光が包み込んだ。これは成功な予感!


 しばらくして光が収まり、頬を赤くするシオンちゃんが出て来ました。あれ、かなり若返っているような? 今まで40歳くらいだったのが30代と言われても通用するような……?


 そんなボクにシオンちゃんがコメカミをピクピクさせながら言いました。


「今の詠唱は失礼だから禁止です。良いですね?」


「ひーん、ごめんなさいー!」


 思わぬところで賢さの低さが露呈してしまった。七海さんもジト目攻撃やめてくださいー!

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