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本当にそれ、ダンジョンですか?  作者: ポリエステル100%
初級冒険者の章

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第49話 お引越し


 ビアンカちゃんから最速の男という不名誉な称号を付けられたボクは朝まで眠らずに起きていた。勝負の結果は言うまでもないなく惨敗であり、暗殺者の指輪はビアンカちゃんのモノとなった。


 掲示板でサキュバスの館の話を見た時、どうせ誇張してるんだろとか思ったけど嘘じゃないと分かった。『あは♡ おにーちゃん弱すぎ~』とか『本番はもっと凄いんだよ? い~っぱいレベル上げして強くなろうね♡』ってビアンカちゃんに言われて興奮したのは内緒です。


 どうやら一睡もしないと夢の世界に行けないらしく、これがギルマスの言っていた裏技でありサボリという事なのだろう。


「検査は以上です。特に異常は見られませんでしたのでこのままお帰り頂いて結構ですよ」


「ありがとうございました……」


 胃カメラって何であんなにキツイんだろね。先生から鎮静剤を使った検査もありますよって言われたけど、注射をしないとダメって言われたので断ったのだ。注射怖いからね……。


 でもその結果、鼻からチューブをぶち込まれてオエオエする羽目になっちゃいました。寝不足と疲労感でボロボロな時に胃カメラなんてやるもんじゃないね。




   ◇




「確かこの辺りだったような……?」


 七海さんから受け取った新しいお家の住所にやって来た。どうやらボクが住んでいたボロアパートはマスコミに狙われているらしくお引越しする事になったのです。


 病院の待合室にあった新聞を見たらキムタコの話題がまだ続いていた。有名人による殺傷事件と不審死だからね、しばらくはこの話題が続きそうだった。


「えっ、本当にここ?」


 見上げる程に高いマンションだった。都内の一等地に聳え立つ上流階級の中でも選ばれた人間にしか入る事を許されないであろうこの場所がボクの新しいお家? きっと何かの間違いだろう。入口からしてボクのような庶民は入っちゃダメな雰囲気が出ていた。


 どうしようか悩んでいたところスマホがプルプルと震えた。


『そろそろ着いたかな? ユウ君を登録してあるからそのまま入って大丈夫だよ。4002号室で待ってるよ♡』


 内容がサッパリ理解出来ない小心者なボクはすぐさま七海さんへ電話を掛けた。


『もしもしユウ君、どうしたの?』


「あのあの、着いたんですけどここであってるのかなぁって……」


 『天王寺スカイヒルズ』っていうオシャレなモニュメントが飾ってあるのだ。七海さんの名字も天王寺だけど偶然だよね!


『天王寺スカイヒルズの40階だよ。ユウ君の指紋登録してあるからタッチするだけで来れるから安心してね。玄関ドアも指紋認証で入れるよ。中で待ってるから早く来てね♡』


「ええぇ……」


 どうやらここで合ってるらしい。それにボクの指紋登録っていつやったの。指紋採取された記憶無いんだけど……。


 こうなったら開き直って進むしかない。中で七海さんが待っていてくれるのである。恋人同士だし抱き着いちゃおうかな!?


 そうしてボクは天王寺スカイヒルズ(ダンジョン)に侵入した。入口のセキュリティは指先をピッとしたら入れました。七海さんの言ってた事は本当だったのだ。


「っ!」


 一流冒険者のボクは堂々とした態度でロビーに入ったが、上級国民オーラを振りまく人々から好奇の目を一斉に向けられた。そしてヒソヒソと小さく話しているのである。これはあれだ、ラノベでよくあるテンプレの先輩冒険者に絡まれるやつ。『おいおいひよっこ、おめぇの居場所はここにはねぇぞ。さっさと帰ってママのおっぱいでもチュッチュしてろ! ガハハハッ!!』ってやつ。イメージはギルマスさんです。


 ここで負ける訳には行かない。ひよっこユウタは卒業したのだ!


「あれっ、反応しない…………なんでぇ?」


 意気揚々とエレベーターへ向かい、複数あるエレベーターの中でも謙虚に端っこのやつに乗り込んだまでは良かったものの、指紋認証が反応しないのである。


 もしかしてボクは七海さんに騙されたのか?


 そんな事を考えてながらパネルに色々と指先をタッチしていたところ、エレベーターに向かって来るスタッフのお姉さんが見えた。や、ヤバそう!


「お困りでしょうか?」


「え、えっとぉ、今日引っ越して来たんですけど、機械が反応しないんですー」


「失礼ですがお客様、お名前とお部屋の番号を教えて頂けますでしょうか」


 こんな場所に似つかわしくないショタが居る事を不審に思ったのだろうか、うちのボロアパートじゃ見たことのないような美人さんが声を掛けてくれました。


 記憶力に乏しいボクはスマホを確認して部屋番号を伝えました。


「こちらのエレベーターは低層階用でございます。40階でしたらこちらをお使い下さい」


「そ、そうだったんですね。えへへ、ボク間違っちゃいました。てへぺろ~」


 まさかのエレベーターに違いがあるなんて思わなかった。ど真ん中にある豪華な装飾が施されたエレベーターに案内されたボクは、指先をポチっと機械に当てたらキュピーンって反応しました。さっきまでボクを見てクスクスと笑っていた外野連中が『おいおいマジかよっ!?』っていう顔をしていたのが面白かったですね。ギルマスざまぁ。


 あと、七海さん疑ってごめんなさいー!


「はぁ…………疲れた」


 凄い勢いでビュビューンと上昇していくエレベーターに驚いてしまう。40階ってどれくらい高いのかな。そしてこのエレベーターに表示されている停止階は40階から43階でした。


 もしかして七海さんってお金持ちなのか? 七海ママもセレブなオーラを出していたしお金持ちな一族なのかも……。そう言えば天王寺グループとか言ってたし調べなきゃ。


 あっという間に40階に止まってしまった。もう後戻りできないボクはビビりながら進んだ。王城みたいなラストダンジョンに挑む勇者な気分である。


「ここがボクの新しいお家かぁ」


 4002と刻まれた玄関ドアを眺める。白を基調としたオシャンティーなデザインのドアです。うちのボロアパートとは雲泥の差だね。


 中には七海さんが待ってるって言ってたし、驚かせちゃおうかな! 玄関ドアにタッチしてカチャリとドアが開錠された。


「…………お邪魔しま~す」


 今日からここはボクのお家だけど、ただいまという感じじゃなかった。七海さんを驚かせようとコッソリと侵入した玄関はフローラルな良い香りだ。ツルツルで高級感のある石の床がカッコイイ。


 広い廊下をすり足歩行で忍者のように進んだボクは、キッチンでエプロン姿の七海さんを発見しました! 後ろ姿だけど長い金髪ポニテが綺麗です。


 ここでボクは思った。もうボクと七海さんはお風呂でイチャイチャする大人な関係であり、最後の一線を超えていないだけのイチャラブな関係なのだ。お風呂では情けない姿を見せてしまったが、ここで男らしくリードして甘い関係に持っていけば童貞卒業もすぐだろう。


 という事で、洗い物をしている七海さんに後ろからギュッとしちゃいますよー!!


「七海さんのユウタが来ましたよー!」


「…………っ!!」


 むむっ、今日は昨日と違う香水の香りがします。昨日は甘い桃のような香りだったけど、今日は爽やかな柑橘系で素敵です。そうか、ポニテに合う香水って事ですね。青春な香りがします。


 でもおかしい、一瞬ビクンと震えたのに何も反応がないのである。『今はイタズラしちゃだめだよ~』とか甘い感じになる予定だったのだ。


 この時ボクはキュピーンと閃いた。昨日と同じようにマッサージしてあげようと。へへへ、ボクのフィンガーテクニックを披露する時が来ましたよー!


「あれ、ユウ君いつの間に来てたの? っていうか…………何やってるのかな?」


「ひぃ!?」


 七海さんの大きなお胸に手を近づけたところで背後から七海さんの声が聞こえて来ました。ボクが抱き着いているのは七海さんであり、後ろから来る声も七海さんなのです。どういう事だ!?


 ホラーな展開にビビリ後ろに下がると、前の女性がボクに振り向いた。


「貴方がユウタさんですか」


「ぴぃ!? だ、誰ですかぁ……?」


 七海さんと似た女性がそこに居たのでした。やばい、知らない女性に抱き着いてしまった。

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