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本当にそれ、ダンジョンですか?  作者: ポリエステル100%
ひよっこ冒険者の章

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第40話 ユウタのヤバい未来が確定した日(七海視点)


 私がミキに無理を言ってユウ君を連れて来てもらったあの日、私は二人が座る席の後ろで盗み聞きをしていた。あんな酷いフリ方をしてしまったためユウ君が落ち込んでいないか確認したかったのだ。


 最初の作戦ではユウ君に謝ってお友達になるつもりだったけど、ユウ君のサプライズ告白がカッコ良くてキュンキュンしてしまった。


 ユウ君と恋人になれたのは良かったけど、キムタコのせいで可愛いユウ君が刺されてしまった。でも可愛いユウ君が身を挺して守ってくれた姿に私は完全にやられてしまったらしい。ユウ君ほど可愛くてカッコイイ男の子は存在しないと思う。それくらい惚れてしまった。


 病院に運ばれた彼の容体を見た医者の話を聞いたところ、ナイフで刺されたにしては傷が浅かったらしい。まるで刺された瞬間にナイフが止まり、それ以上奥まで刺さらなかったような……。


 体が休息を求めているのだろう、彼とのキスを何度か続けていたら充電が切れたかのようにストンと眠りに落ちた。スヤスヤと眠る彼の顔は穏やかだった。


「おやすみ、ユウ君……」


 可愛くて可愛くて食べちゃいたくなる可愛い男の子……笑った顔も好きだし、オロオロした顔もキュンとする。


 彼も私の事を好きだって告白してくれた。相思相愛になった私達はこれから大人の階段を上るのだ。絶対に逃がさない、私無しじゃ生きていけないくらい甘々のドロドロにして幸せにするんだ。どうやら私は思った以上に愛が重いのかもしれない。


 ふと、キムタコに刺された恐怖を思い出し怯えるユウ君の顔を思い出した。愛するユウ君を傷付けたキムタコに対して、私の中で憎悪の炎が生まれてしまった。


 愛するユウ君を可愛がっていいのは私だけ。焦らして切ない顔をするユウ君も、限界まで気持ち良くして男の子としてダメな顔になったユウ君も、身も心もドロドロに溶かして愛してあげられるのは私だけなのだ。私の愛する可愛いユウ君を傷付けたキムタコは殺してしまいたい、そう強く思った。


「じゃあユウ君、また明日来るからね。んっ……大好きだよ」


 寝ている彼にキスをしてしまった。でも許して欲しい、この気持ちは抑えられないのだ。今まで生きて来た中でこんなにも胸が満たされた事は無かった。きっと彼がケガをしていなかったらここでセックスをしていたと思う。それくらい愛している。







 幸せな気持ちを胸に病院を出た。夜も更けて街が静かになっている。今日は雲一つない綺麗な夜空が広がり、満月が妖しく輝いていた。こんな日は悪魔でも出そうな雰囲気だった。


 明日は彼の着替えを持って行ってあげよう……そんな事を考えていたら声を掛けられた。こんな夜更けに似つかわしくない幼い女の子の声だ。


「おー、いたいた。ななみんこんばんはー! ファーストキスはどうだった~? おにーちゃんも嬉しそうだったね~」


「…………どちら様ですか?」


「えへへ、ビアンカちゃんで~す♪ おにーちゃんとななみんの理解者って言えばいいのかな~?」


 そこに居たのは悪魔だった。露出の激しい艶やかなドレスにコウモリの羽のような翼、尻尾まで生えている。そして何より宙に浮いているのだ。まるで物語に出てくるサキュバスのように……。


 おにーちゃんと呼ぶ相手はユウ君の事だろう。つまりさっきまで病室で繰り返しキスをしていたのも見られていたのか。


 無意識に肌を抓ってみたが痛みがある。やはり夢じゃないらしい。キムタコを殺したいと願ったから悪魔が出て来たとか……?


「あれあれ、ビアンカちゃんの姿を見ても驚かないのー?」


「先日不思議な体験をしましたので、この世には私の知らない事がいっぱいあると理解しました」


「な~るなる。ビアンカちゃんはななみんのような頭の良い子が大好きだから助かるよ~。あ、でもおにーちゃんみたいな可愛い男の子はちょっとアホな方がキュンとしていいよね~」


「ふふ、どうやら趣味が合いそうですね」


 話をして理解した。この悪魔も可愛いユウ君が好きなのだと。ユウ君を独占したい気持ちはあるけど、この悪魔も同じ気持ちなのだろうか。


 まずは様子見といこう。


「そんな警戒しないでもおにーちゃんを取らないから安心してよ~。逆にビアンカちゃんがななみんの手助けをしてあげる」


「手助け……ですか?」


「うんうん。まずはビアンカちゃんの事を教えてあげるねっ! サキュバスクイーンであるビアンカちゃんは――」


 そうして彼女は自分の事、ユウ君が夢の世界で冒険している事、そして夢の世界の不思議なアイテムで私を助けてくれた事を教えてくれた。


 にわかには信じられない事だけど、キムタコの時の言動やこの腕輪の事を聞いたら少し理解出来た。前の時間では私が刺されて泣き崩れるユウ君が見れたらしい……写真とかないかな?


「そんでねー、おにーちゃんが死ぬまではななみんが好きにして良いから~、死んだ後は許してニャン♪」


「…………魂の契約ですか」


 それを聞いた私は胸が苦しくなった。私もユウ君とずっと一緒に居たい。永遠に愛し合いたいと強く思ってしまった。ビアンカと名乗るサキュバスが羨ましい。


「うひひ、ななみんもサキュバスになっちゃう~? ビアンカちゃんはななみんの事好きだし、そうしたら三人で仲良く遊べるよ」


「それは…………今は保留です。それで、本題は何ですか?」


 ビアンカさんの提案は魅力的だった。サキュバスになるというのがどういう事か分からないが、ユウ君と一緒に居られると思うと心が揺れ動いた。


 でも即決は危険だと本能が警鐘を鳴らしていたのだ。


「流石ななみん、良く分かってるね~。えへへ、実はお願いがあるんだよね~」


「私に出来る事なんて大してないですよ」


「そんな警戒しないでよ~。嘘吐いたり裏切らないってビアンカちゃんの愛するおにーちゃんに誓うよー!」


「そうですか。では聞くだけ聞きましょう」


 こんな私でも天王寺家に名を連ねる女、世界の重鎮を相手にして来た強い女の遺伝子が私にも入っている。甘い考えで約束をすることの恐ろしさは重々承知しているし、それが悪魔ともなれば尚更である。


「うへへ、実はおにーちゃんのお陰でこっちの世界でも遊べるようになったんだ~。それでね、色々あってシオンちゃんが私の戸籍とお小遣いを用意してくれることになったのー。あ、もちろん変な事はしてないよ? おにーちゃんに誓って何もしてないです。もう、そんな怖い顔しちゃおにーちゃんが泣いちゃうぞー」


「…………失礼しました」


 どうやら顔に出てしまったらしい。私もまだまだ甘いのだと痛感した。でも彼女の言っている事は本当だと理解出来た。夢の世界の住人だというビアンカさん、その彼女がこの世界に遊びに来る。今だって浮いてなければコスプレで通用するが、職質されたら一発でアウトだろう。あの紫苑様がそう簡単に戸籍を用意する訳が無い。きっと何かを取引をしたに違いない。


「という事で、もうすぐ天王寺ビアンカっていう養子になるから宜しくね、七海おねーちゃん♪」


「はぁ……分かりました。それで、肝心なお願いというのがまだですが?」


「あはっ、そうだったそうだった。お願いっていうのはね、これを受け入れて欲しいんだ~」


 悪魔の右手がピンク色に光っている。怪しさ満点のその光を即決で受け入れる人はいないだろう。


「…………一応聞いておきますが、それは何ですか? そしてそれを私が受け入れる事にどんなメリットが?」


「きゃはっ! ビアンカちゃんったら嬉しくて先走っちゃった。てへぺろー♪ これはちょっとした感覚共有の魔法……みたいなもの(・・・・・・)だよ。これでななみんとビアンカちゃんを結ぶとね、傍に居なくてもおにーちゃんとのエッチが楽しめちゃうんだよー♡」


「天才ですか!?」


 エッチな漫画でありそうな設定に思わず叫んでしまった。


「これがあればおにーちゃんの初体験(はじめて)をななみんを通じて体験できるって感じ。それにワンワンスタイルで必死に腰を動かしてパンパンするおにーちゃんを楽しんだり、だいしゅきホールドで動けないおにーちゃんをトロトロになるまで愛したり、あとは貞操帯を付けて我慢させるものいいよね~♪」


「ゴクリ……」


 頬を赤く染めてユウ君との情事を妄想するビアンカさんを見て私は確信した。彼女は私の敵ではなく、同士であると!


 思わず手を握りそうになったけど、良く考えたら今の話だと私にメリットが無さそうだ。


「とても素敵な提案ですが、それではビアンカさんが楽しいだけじゃないですか? その魔法を受け入れる事で私に何のメリットがあるのでしょうか」


「ふふふ、それはもちろん同じ事をななみんが体験できるんだよ。夢の世界でおにーちゃんと繰り広げるちょっとアブノーマルなエッチをななみんにもお裾分けしてあげるの♡ あの可愛いお尻をR18(コチョコチョ)したくない? 一晩中R18(クチュクチュ)して『もうらめぇ、挿入()れさせてぇ……』って懇願するおにーちゃんをいっぱい愛でた後、ギュッと抱き締めながら一つになるの。どう? 凄いでしょー♪」


 本物だ。このビアンカという女の子は本気でユウ君を愛しているのだと理解出来た。


 だからだろうか、私は何の疑いも無く彼女の手を強く握った。


「宜しくお願いします。ビアンカさん!」


「うひひ、契約成立だね。これから二人でい~っぱいおにーちゃんを愛して行こうね!」


 握手を交わした途端、私の中に熱い感情のようなものが流れ込んで来たのが分かった。そして私からも彼女に何かが流れている。二人の間にパスのようなものが繋がった感覚が出来た。


 一瞬早まったか……と思ったが、これはしょうがない事なのだ。私はユウ君を愛している。そしてビアンカさんもユウ君を愛している。彼女の愛は本物であり、キラキラと輝いていた。


 この契約は決して私欲とかそんなんじゃない。ユウ君のお尻をイジメてみたいけど、そんな事したら嫌われちゃうからダメだよね……と諦めていたところに希望が出たからでもない。


 そう、これは彼女のお願いを聞くという事への見返りのためなのだ。


「あ、一個だけななみんに忠告しておいてあげる。ユウ君ってね、ノーマルだから普通のエッチ以外は絶対に無理って言ってるんだよ。あはは、めっちゃ面白いよねー」


「なるほど……」


 危なかった。もしユウ君と良い雰囲気になったら手足をベッドに拘束して、動けないユウ君の全身を舐め尽くして焦らしてから搾り取る予定だったのだ。


「だからユウ君が変な事を言って来ても無理しちゃダメだよ。まずは普通の恋人のエッチを楽しもうね。それに夢の世界だったらやりたい放題だから、ビアンカちゃんがじっくりと慣らしてあげる」


「くっ…………分かりました」


 確かに処女の私にユウ君をトロトロにするテクニックは無いだろう。でも彼女はサキュバスクイーン、サキュバスの女王なのだ。そのテクニックを彼女を通して学ぶしかないわね……。


 感覚共有の魔法とやらがどれ程のものか分からないけどきっと凄いのだろう。


「いひひ、じゃあ契約通りキムタコを殺して来てあげるねー!! またね、ななみん♪」


 これが彼女の魔法を受け入れる代わりに要求した私の願い。愛するユウ君を傷付けた男への復讐。


 そうして悪魔は消えてしまった。夢でも見ていたかのような体験だったが、下腹部からジンジンと焦がすようなビアンカさんの熱を感じる。


 ユウ君を独占出来ないのはちょっと悔しいけど、あの悪魔は信頼出来ると何故か分かった。


 後顧の憂いが断たれた私は怪しく光る満月が進む道を照らしてくれる中、スキップしたくなる気持ちを抑えて笑顔で歩くのだった。


「ああ、早くユウ君のケガ治らないかな~」


 まずはユウ君のケガが治るのを大人しく待とう。そしてケガが治ったら…………じっくりと時間を掛けて甘やかして気持ち良くして私から離れられないように溶かしてあげよう。

ここまで読んで頂いた方、ありがとうございますー!

書き溜めをしますので毎日更新はストップです。

ななみんとビアンカちゃんにやられちゃうユウタ君の活躍にご期待下さいー。

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