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本当にそれ、ダンジョンですか?  作者: ポリエステル100%
ひよっこ冒険者の章

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第38話 舞台裏(薫視点):そうして舞台は整った


 喫緊の課題であったビアンカ様の要望、これから起こるであろう事件の解決のために必要な人員は確保出来たと思われる。紫苑さんに断られた事で胃が痛い思いをしたのにあっさりと解決したのだ。


 電話一本で手配が完了し、僕の出番はこれで終わりと珈琲を飲んでいた。でもそんな訳が無かった。


「さあ薫さん、さっさと移動しますよ」


「えっ、僕も行くんですか?」


「何を言っているのですか。若返り……ゴホン、七海の未来の旦那様を見守るのです。薫さんの占いが役に立つかもしれませんよ」


「…………分かりました」


 それっぽい事を言っているけど本音が駄々洩れだった。しょうがない、これもクエストのためと思って頑張ろう。


 でもビアンカ様が追加のパンケーキをモキュモキュしているから食べ終わってからにしよう。




   ◇




「ここが紅茶とどら焼き……」


 僕の運転する車で約一時間、ビアンカ様に指示された喫茶店に到着した。でかでかと大きなどら焼きの看板が目立つ洋館だった。


 ちなみに、移動中の車内ではしきりにビアンカ様が葉月ちゃんに質問をしていた。どうやら異世界というのに興味津々らしい。逆に僕達もダンジョンが気になったので色々と教えて貰った。


 みんなで喫茶店に歩いて行くと入口が開き女性が出て来た。あの人は恵子さんだな。



港恵子(みなとけいこ)

 天王寺家を支える陰の立役者である港家の人妻さん。

 天王寺家に相応しいメイドとなるべく、たゆまぬ努力をしてきた頑張り屋さん。

 でも最近は紫苑のアンチエイジング話で疲弊している苦労人、小皺が増えたね?



※今日の運勢※

 悩みの種が無くなる予感!?



「奥様お待ちしておりました。全て手配出来ております」


「さすが恵子さんね。いつもありがとう」


 思わず鑑定をしてしまったが、僕と同じようにいつも無茶振りをされているのだろう。あれ、恵子さんって千葉の実家に居たはずじゃ? よし、考えないようにしよう。


「うわ~、素敵なお店ですね!」


 葉月ちゃんが喜んでいるが確かにオシャレで落ち着く店内だ。どら焼きの看板でちょっと萎縮してしまうけどこれは素晴らしい。


 店の奥にある広いテーブル席を確保して作戦会議だ。


「まずは簡単にご説明いたします」


 恵子さんが紫苑さんに説明をしている。どうやらこのお店は老夫婦が趣味でやってる個人経営のお店のらしく、恵子さんのお願いを快く受けてくれたらしい。チラッと500万円の寄付という言葉が聞こえたような気がするけど聞かなかったことにした。


 既に居た常連さんには心付けという名のサービス券を渡してニコニコ笑顔で帰って貰ったらしい。今日の売上の補填もするらしく、まさに太っ腹な対応だ。


 駐車場がほぼ満車だったのは全て天王寺家のスタッフや警察関係者で埋め尽くされているかららしい。他の席を見渡しても屈強な男や女性警察官と思われる人物が緊張した面持ちで紅茶を飲んでいた。みんなイヤホンをしているのは無線で連絡を取り合っているのだろう。


 ビアンカ様から言われた主要人物以外はお店に入れないように調整済みらしい。さすが恵子さんだ。


「おほー! ナニコレ美味しいね~。これがどら焼き~? ビアンカちゃんこれ好きかも~」


「こっちの生どら焼きというのも美味しいですよ。生クリームたっぷりです。はい、あ~ん」


「はむっ、モグモグ…………ウマウマー!!」


 さっきパンケーキを食べたのに甘いものは別腹なのだろうか、美味しそうにどら焼きを食べていた。すっかり葉月ちゃんとビアンカ様は仲良しだ。






 そして無線に連絡が来た。


『緊急連絡。七海様とご友人と思われるお方が来ました。如何いたしましょう?』


 みんなの視線がビアンカ様に向かった。


「んー、確かあそことあそこの席に別れて座ってたかな~? 普通に案内すればいいと思うよ」


 ビアンカ様の言う通りに進める。凄く緊張して来た。


 七海ちゃんは白いドレスのような清楚な衣装で気合が入っているのが見て分かる。僕はバレないようにコッソリと鑑定をしてみた。



天王寺七海(てんのうじななみ)

 今日は特別な日。

 私と彼が結ばれる日。

 そして全ての障害が無くなる日。

 ああ、可愛い可愛いユウタ君。絶対に私が幸せにしてあげるからね♡



※今日の運勢※

 愛しの彼がカッコ良くてキュンキュンしちゃうよ!



「…………ふぅ」


 どうやらビアンカ様の言う通り七海ちゃんは無事なようだ。


 そして時計が14時を指す頃、ついに主人公がやってきた。


『緊急連絡。パリピな男とショタっ子が店に向かっています。如何いたしましょう?』


「あはっ、おにーちゃん来た!!」


 ビアンカ様は大喜びだけど、ショタっ子というのは可哀想に思った。


 店内に入って来たショタっ子を監視カメラの映像をモニタリングして見守る。まるで初めてのおつかいを見ているようだ。


「これが……ユウタという男性ですか」


「可愛い子ですねー」


「楓が見たら大喜びしそうですわね……」


「えへへ、おにーちゃんって見た目も可愛いけど性格も可愛いんだよ? もうキュンキュンしちゃう」


 僕はノーコメントです。ちなみに、楓というのは玲子さんの妹でショタコンなのである。彼は店内をキョロキョロと見渡して席に着いた。


 僕達はビアンカ様の指示があるまで何もしない事になっている。よし、七海ちゃんの旦那になる彼を鑑定してみるか。



白井裕太(しらいゆうた)

 背が低くて童顔でちょっとアホっぽいところが魅力的な20歳。

 だがしかし、その見た目に反して凶悪なモノを股間に隠しているのだった。ちなみに、恥ずかしがり屋で未使用品です。たぶん栄養のほとんどがそっちにいってると思われる残念な子。でも一部女子には絶大な魅力を誇る合法ショタ。

 だけど彼は知らなかった…………天王寺七海の本当の性癖というものを……。

 かしこさは6です!



※今日の運勢※

 ナイフでグサーって刺されちゃうよ。血がいっぱい出て真っ赤なの。

 でも安心して下さい、バックアップは万全です。



「っ!?」


「どうしたの薫さん、もしかして?」


「えっと、はい。……鑑定の結果、彼はナイフでグサーって刺されるそうです」


 コッソリと鑑定した結果をメモ用紙に書いて見せた。


 今ならまだ未来を変えられる。犯人が来た瞬間に取り押さえれば誰も痛い思いをしないで済む。犯人だって銃刀法違反とかで逮捕出来るだろう。


「へぇ~、おじさまの鑑定はそんな未来の事まで見れるんだね。あはっ、おにーちゃんナイフでグサーってやられちゃうのか~。泣いちゃうかな?」


「犯人が来たら取り押さえましょう」


 だけど違った。異界の魔神ビアンカ様の考えは違ったのだ……。


「ダメダメ、そんなんじゃおにーちゃんの頑張る姿が見えないでしょ? ビアンカちゃんはおにーちゃんのカッコイイところが見たいの」


「ですが、刺されてしまいますよ?」


「そうだね。それがどうしたの~?」


 ヤバい、この神様は僕らと考えが違う。ここに来るまでの間、愛くるしい行動が多かったため誤解してしまったようだ。


 みんながギョッとする中、キョトンと可愛らしく首を傾げる神様が続けて言った。


「占いでおにーちゃんは助かるって書いてあるんでしょ? ならいいじゃん。それに万が一にもおにーちゃんが死んじゃったら、ビアンカちゃんが魂を持ち帰ってずっと一緒に暮らすんだよ。うへへ、最初は優しく慰めてあげよっと。楽しみだな~」


「そ、そうですか……」


 僕は愛想笑いを浮かべる事しか出来なかった。目の前で愛する人が刺されても大丈夫と言い張ったのだ。やっぱり人間とは思考が違うのだろう。


 だけどまだ僕は理解していなかった。この美少女が神様であるという事を。


「でも誤解しないでね? おにーちゃんを傷付けたヤツは生かしておかないからね。おにーちゃんにバレないようにビアンカちゃんが容赦なく、徹底的に、無残に、生まれてきた事を後悔させてあげるんだから」


 その言葉は遠回しに僕達に言っているのだろう。愛する男を傷付けたら容赦しないと……。


 誰もが彼女の雰囲気に飲まれてしまい、何も言い返せなくなってしまった。葉月ちゃんは薄っすらと涙を浮かべ、玲子さんもプルプルと震えている。僕も少しちびりそうだった。


 でも紫苑さんは違った。


「…………誰を殺そうと勝手ですけど、絶対にバレないようにして下さいね。貴方は天王寺家の養子になるのですから」


「きゃはっ☆ まかせてよシオンちゃん。こう見えてもビアンカちゃんって凄く強いんだよ? サキュバスクイーンだからね♪」 


 きっとみんな強さとか気にしてないと思う。それにしてもサキュバスクイーンって何だろう。気になる!!


 何故か葉月ちゃんからジト目攻撃が続きました。


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