詐欺
「で、あるからして、吸血鬼そのものは少なく、その殆どが吸血鬼に被害に合った方々または望んで吸血鬼二世になった方々なのです、その方々も枝分かれし、頂点の吸血鬼から二世吸血鬼、三世吸血鬼と別れ、狼男や、屍食鬼、洋語ですと、オーガやレイス等呼ばれてます、ほかにも...」
吸血鬼の話なんて聞かされても分らんわと思いつつ、一週間前に拉致された事を思い出す。
オフロードバイクで山の中を駆け回って居たら強烈な甘い臭いを感じバイクを停めた。
頭が惚け、バイクのスタンドを上げずにそのまま臭いの方に体が動いた。
ふらふらと歩いて行くとそこには一人の女性が木の洞に寝ていた。
裸でだ。
それを見た瞬間思ったね、抱こうと。
何も考えず一発よろしくしようと服を脱ぎ始めるも焦って焦ってブーツにズボンが引っかかって転げまわったんだ。
そしていざ飛び込もうとしたら、後ろから頭を鉄の棒....なんだ、点検ハンマーで殴られたと言った方がわかりやすいか。
ズキッと言うよりかもんどりうって頭を押さえてたら次聞こえて来た音は凄まじい銃撃音。
普段聞いたことない音だから頭が痛くて音がしたのか銅鑼を真横で叩かれてる様な状態だった訳だよ。
それでも諦めきれなかったんだよな如何してもヤりたかったのよ。
必死に頭を起こして洞を見ると何にも居ないのそれどころか周りが血だらけなのよね。
んでヘルメットをかなぐり捨てて痛い頭触ると血がすっごい出てる訳よ。
死んだと思ったね、いや実際はほぼ死んでたんだけどさ。
後でわかったんだけど、入射角が良かったんだろうね後頭部のちょい上からおでこまで弾丸が這ったみたいなんだよな。
大切な所だけど置いといて、触って叫んでいると、男が5~6mの所でなんか叫んでんのよ。
思わず自分の益荒男を隠したね
あの時は何が何だか分からなかったけど離れろか逃げろ的な事を言ってたんだと思う。
そしてパニックになってる俺は俺で、女をどこにやったとか言ってたらロープがね、いろんな方向から飛んでくるわけよ。
それを手で払いのけようとすると頭撃たれてふらふらだったからさ脳震盪ってやつだろうね両手を絡め取られて引きずられて両手をタイラップで縛られそこから記憶がないんだよな。
気が付くと何処かの病院に居て起きてからバイクでコケて救助されたんだろうなとかどうせ夢なら一発やりたかったとか考えてたんだ。
痛む頭を労りながらボーっとしていると半日くらいしてからナースコールの存在を思い出し初めてのナースコールを押した。
すると直ぐに看護婦さん...今は看護師さんか、が来て言うわけよ。
「もうすぐすると会社の方が来られるのでそのまま待っていてくださいね」
いやいや、俺ニートだし会社なんか務めてないしと思い家族を呼べと言ったんだ。
そしたら
「安心して待っていてくださいね」
そう言いそのまま去るのよ、もしかして人身で逝ってるのかと思い携帯を探そうとするも持ち物が一切合切置いてなく待つしかなかったんよな。
それでまたボーっと意識を飛ばそうとしているとごついおっさんが入ってきたんだ。
人相は悪いが、見た目は小奇麗、ブルーのスーツはダブルで時計は目立ち靴はブラウンのウィングチップ。
金持ちだね、俺が記憶が有るように答えた方が貰える物も多いだろう。
「あなたが新井さんだね」
一言目から謝罪の言葉は無しか、うーん俺が加害者側か?
「ええ、新井ですが...」
「そうですか、ええ良かった良かった、お医者さまは傷の治りが早く直ぐにでも退院できるって言っていましたので、いやぁーこちらの不手際で」
そう言って胸ポケットから封筒を出す。
示談で済ませたいのか....ここはもう少し望めるな。
「いえいえ、ですが頭痛に腰も痛くて足もあと癪も出てて痛いんですわ、だから警察に」
「警察? それは少し困りますね、我々民間企業なので、公的機関に話されるのはちょっと」
「はぁ? こっちは事故の話をしていましてね」
「事故? Vampi....いや、獣に襲われそうになったところを助けた話じゃなくてですか?」
「ヴァンプ?.....いやいや、そんなまさか....襲われた?」
そういい俺は少し考える。
「新井さん、事故とおっしゃいましたね? 事故って車の事故ですか?」
「いえ、バイクの事故です」
もう俺は言いなりだ、何がなんだか分からんなるようになれだ。
「....なにバカな事言ってんだこいつ」
そういうと病室の扉に向かい椅子で扉を開かなくした。
「なにやってんだアンタそもそも俺はお前の名前聞いてねぇぞ!」
俺は立ち上がりそいつに近づこうとする、
すると俺の胸倉を捕まれ片手で持ち上げる
体重120kg身長180cmの俺をだ。
「何なめ腐った事ほざいてんだ此奴は俺が言ってんのはお前が木に取り憑いたヴァンピールに食われそうになってんの止めたんだ良く思い出せよ!」
夢じゃなくて現実だった事を分かりつつも首が閉まり相手の手をタップする。
「俺があの時お前の頭を撃ったんだ! 敵を増やすくらいならぶっ殺した方が手間が省けると思ってよ
で見てるとお前は立ち上がってヘルメット脱いで頭抑えて血が出てるとかそれでも女とか叫びやがって! 最初はヴァンピールがヴァンパイアを呼んだのかと思いもう一発撃とうとすると仲間からの無線が有って人間ってことが分かったんだ」
思いっきり手を殴り手を離さそうとするも全く効かない
「あの時は仕方なかったんだよ...俺の判断で撃ったんだ味方が殺される位なら俺が罰を受けようと思ってよ、笑えるよな、お前ら一般人を何不自由なく生かすために一般人を殺す事がよ、でも俺も班の長を務めている、だから部下を殺される訳にはいかないってな」
手も上がらずだんだんと意識が無くなってきた、さよなら人生、新井家はここで終わります。
そう思い辞世の句を考えていると
扉が蹴破られた。
「ダラス班長! そのままでは新井さんが死にます!」
「早く引っぺがせ! 自分の中に入ってやがる!」
「椅子で殴れ手じゃ離れんぞ!」
意識は微睡に消えていった。
辞世の句?思いつかんよ...
「臭っせ!」
鼻の奥が痛くなる臭いに思わず飛び起きる。
「お、起きたな、でだ、話が戻るが、あんたは殺されそうになってた所俺たちが助けたって訳」
「話が急すぎるがそれは分かった、もうさっきの額で良いから帰ってくれ」
するとダラスがため息を吐いた後こちらを優しく見て来た。
正直怖い
「ヴァンパイアの話をしたと思うが、あの話聞いたよな」
「誰にも言いませんから帰ってください」
「まぁそう邪見せずに....俺たちハンターは人が少ない、どれくらい少ないかと言うと、全く足りないんだ」
「じゃあ聞きますがヴァンパイアが居たとしてニュースになりませんよ全く」
「いやいや、ニュースにならないようにしてるんですよ、特に日本は大変ですよSNSって有るでしょアレにヴァンパイアという言葉書くだけで数瞬だけでもうち独自の監視衛星がそのSNSで言った人を見るんですよ」
「そんなの何千何万も居るじゃないですかヴァンパイアなんていう人」
「それがその同時にいう人は意外と少ない、しかし、同じところで複数人それに連なる言葉を言えば?」
「一気に監視されるんですね」
「そういう事その人はSNSから一時的に隔離され外に向けて助けてとか言えないし電話もできない」
「その人の記憶が有るんじゃないですか?」
「生きてる人の記憶なんて消すことは出来なくても蓋をすることはできるんで事が終われば解放ですよ、さっき言ったとおり事故でもなんでもいいんで」
「....俺...私の記憶にも蓋をするんですか?」
「いえ、新井さんは良い体持ってるんで勧誘します」
「は? 私の体ですか?」
「ええ、あなたはこちら側の体を持ってます異常体質、回復型と、骨格強化型です」
「異常体質ですか...」
「ええ、傷の治りがかなり早くなかったですか?」
「いえ、そんな大怪我したことないんで」
「ならバイク乗ってるのでコケて骨とか折るような事故も無かったんですか?」
「ええ、無いですほどほどにがモットーなんで」
「そうですか...」
「ええ、そうですね」
「いやいや、班長そこで話終わったらダメでしょ」
「エイハブ君そう言ってもね」
「あー、俺から言う! 新井さんあんたはこの病院でというかうちの施設で血液検査したらそういう事が分かったんだ、で、普通なら投薬とか人体を改造して強くなるところ新井さんは二つパスしてるって訳
まぁそれからも辛いテストがいろいろ有るけどほぼ100%合格するからうちの会社に来ないかと言うか来いって話」
「そうですか...ちなみに断ったら?」
するとダラスが手を挙げる
「申し訳ないが、一生この敷地で生活してもらう事になる、ちなみに新井さんの家族も含めだ」
「親父とお袋もか? やっべえ怒られる」
「いや、うちの会社....会社名言ってなかったな、会社と言っても小さい会社で15人程の零細企業だが、岡田自動車っていう名前だ国に監視されている隠れ蓑だな」
自動車ってまたしょっぱいな
「まぁいろいろハンターをしている企業も有るが、うちは自動車屋だ」
「じゃあこの病院は...」
「ハンター向けの病院だ、国から支援が出る」
だんだんとうさん臭くなってきた。
壮絶な詐欺集団に騙されてるんじゃなかろうか。
「ちなみに皆さんはどういった経緯で入社されてるのですか?
「俺は元モサド出身で、今の名前はエイハブ」
どうりで見たことない人種だ、モサドってどこだ?
「モサドですか! それはすごい!」
親指を立てて来た
「私はヴァジム・ホフロフ、元GRU」
はえー分からん!
「GRU!それはすごい!」
目礼して来た
「俺はデルタ上がりの元CIA名前はカイル、日本の名前は無いよ」
「CIAは知ってる!」
そう言うとエイハブとヴァジムが悲しそうにしていた。
「そして私だな、私は高橋で通している、所属や国すべて内緒だ」
そう言ってこちらを見つめる
断ったらばれるってか家にもう人行ってるよな...やべぇ怒られる
ってこれ血の話だよな親父もお袋も超人じゃねぇしってか、新井の血でそもそも俺みたいな逞しいやついないもんな俺だけでかいもんな...親父の子供じゃないのか?
いや、そんな事ねぇなってか弟と妹もここに引っ越しさせられるのか
「うち家族ほかにも弟と妹がいましてその二人もここに引っ越しですか?」
「そうだな...安全を取るのであれば引っ越しさせるのも仕方ないが」
「親父も定年迎えて無いですし弟も妹も働いているのですが」
「こちらで探させてもらう、なに、意外とこの町は広い、親父さんは早期退職でも良いんじゃないですか?」
「いやいや怒られますよ私」
「来てもらう事は確定しているんだからそこは諦めて貰います...来ますか?」
「待遇は?」
そう言うとさっきの紙を渡してきた。
「休み少なっ!って給料....マジですか?ちょっと多すぎません?」
「人体実験に近い投薬で少なからず死んでいく者も多い、しかし、我々が居なければ何れ人間が家畜になりかねん事態だ出張もその分多い今私たちは日本に居るが明日ブラジルの奥地に行くかもしれない、なに、給料はそれでも少ない方だ、日本の議員の給料の方が多い」
「そう考えたらこの金額が安く見えますね」
「そうだ、ちなみに働けば評価され給料も上がっていく」
「そうですか....」
「で、どうしますか?」
「行きます...私無職だったんですが、使い道有ったんですね」
「ありますよ、じゃあこことここにサインを」
そう言われサインしていく
「すべてサインしましたね?」
「はい、しました」
「では、あなたはいまから日本国籍をはく奪されました、あなたは死んだことになり、家族間のみのやり取りは許可しますが、しばらく規約の説明が終わるまで家族間の会話をすべてこちらが把握してからの会話になります、規約をすべて聞き終え、こちら側からの許可が下りれば外部との会話は許可されます。
あと現在のこの会話は、すべて新井さんの家族が聞いていました、会話をつなぎます」
「隼人!お前!そんな戦争するような仕事やめろ!」
親父の怒鳴り声と母親のすすり泣く声が聞こえて来た。
「俺らのことは気にすんな今すぐそんな仕事やm」
「どうですか? 気が変わってももうやめれませんよ親父さん達はしっかりこちらで面倒見るんで新井さん、いや、隼人お前はさっさと用意しろ」
「おい隼人寝てんじゃねぇよ」
そう言って頭をぶたれる。
「ああ、すみません、っと」
周りを見ると誰も居らず高橋が怒っていた。
「もっぺん気合入れっかああ?」
胸倉捕まれ持ち上げられる
そう言う世界だった