白光
久々の投稿です
昔から私は片目が見えない、その代わりに目に見えないものが見える力があった。それは白い光で、所謂精霊とか妖精と呼ばれる類のものだ。その光は死ぬ人のところに集まってくるものなのだと思われる。現に死んだおじいちゃんや、死んだ俳優さんの周りにも飛んでいた。
私は今まで何度もそういう人たちを助けようとしたが、どうやら人が死ぬ運命はどうやっても変えることはできないらしい。
まぁそういう感じだから、見えたところでどうすることも出来ないし、何かが変わるわけでもない。それでも私はその人を助けるために動いてしまうことが何度もあった。そんな私は片目が見えないからなのか、友達があまりいなかった。
だけど最近、男友達の優太ができた。
「ねぇ、この問題ってどうやって解くの?」
「はぁ?こんなのもわからないわけ。あったま悪ぃなぁ。」
「うるさ。」
「ここはこうするんだよ。」
なんてくだらない会話をするのが楽しくて仕方がない。
ちょっと意識して階段の大鏡で髪の毛を整えてみたり、可愛いリボンをしてみたり。多分私は優太のことが好きなんだろうと思う。
でもある日、そんな幸せな時間が終わってしまった。
授業中居眠りをしてしまって次に顔を上げたのは休み時間だった。
「え…」
目の前の景色に白い光が飛んでいた。最初は目の錯覚だと思った。でも時間とともにどんどん増えていく。
「どうしよう…」
どうにかしないといけない。私はそう思った。
「おい里美。大丈夫か。」
心配してくれる優太の周りにも光が。
助けないと…
「おい!里美!」
「私、放送室に行ってくる。」
「突然どうして。」
全員を避難させなくちゃ。もしかしたら学校が崩れるのかも…
「みんなを助けたいの!」
はやく、はやく。私は放送室まで全速力で走った。私がいるのは四階、放送室は二階。その間の階段を降りる時間すら勿体ない気がして一段飛ばしで駆け下りた。息が上がっている。髪の毛が乱れるのも気にせずに、ただただ放送室に急いだ。大鏡が見えた。あと少しで放送室だ。
「きっと今の必死な私の姿を優太が見たら馬鹿にするんだろうな。」
そんなどうでもいいことを考えたのが間違いだったのだろう。着地した場所が悪く、足を踏み外してしまった。
落ちていく。
落ちていく。
体がズキズキ痛む。もう音も聞こえない。
眩む視界の端で、鏡の中の私の周りだけを白い光が包んでいるのを見た。
「そっか…死ぬのは私だったのか。」
視界が白い光で満たされると目の前の世界は黒い闇に包まれた。