第7話 ドラゴン
宿屋の上空から、見たこともないピンクの幼竜が炎を吐いていた。
「く、くそぉ〜、な、何だ?何が起こった?」
「あ、あれは幼竜…?あんな色見たことないぞ」
「あ、あれはもしかして…」
「え、遥って食パン好きだったりする?」
「うん、大好き!ってこんな時に何聞いてるのよ!」
「やっぱり。いや、ほらあれ、あのピンクの竜のネックリング見てよ」
「食パンのマークが刻印されてる」
「え⁈ え⁈ どういうこと?」
「いや、今は気にしないで、急いで逃げよう!」
ピートはラルを背に担ぐと、遥達に首で宿屋の方に走るよう合図した。
「あ、ああ…!おい、あいつまた炎を貯めてやがる、もう一発来るぞ!」
「あの勢いの炎はやばい、逃げろ!早く逃げるんだ!」
と言って男達は急いでドラゴンの手綱を締め、飛び立っていきました。
宿屋に戻ると、ピンクのドラゴンは、地上に降りてきて、遥かにすり寄る様に近づいた。
「え!っこの子ってもしかして」
「そうだよ、遥のドラゴンが孵化したんだ」
遥はまじまじとドラゴンを見ると…。
グワっと両手でドラゴンを抱きしめた。
「始めまして、私は遥。その、あ、あなたの相棒よ!」
〜〜〜〜宿屋〜〜〜〜
お爺さんは、遥と戯れ合うドラゴンを見ながら
「しっかし、驚いたのぉ。こんな幼竜があれ程の炎を放つとは」
「ああ、あんなの俺も初めて見た」
「お爺ちゃん、、、これはもしかしてってこともあるかな?」
「ふむ、、、それこそ神のみぞ知る…じゃな。」
「あ、そうだ、この子に名前付けてあげなくちゃ」
ピートはすかさず、
「ピンクだからピン!」
「キルト…うんうん、キルト!あなたは今日からキルトね」
「いいね!遥って裁縫好きなの?」
「うぅん、この子の顔を見てたら思い浮かんできたから、きっとこれがいいんだって思って…」
「キルト、これから宜しくね、一緒に色んな所に冒険に行こ!」
キルトは遥に甘えるように持たれかかたった。
「あ、そう言えば、私が食パン好きって何で分かったの?」
「だってほら、キルトが首に付けているリングを見てみなよ」
「ネックリングには、持ち主のドラゴンマスターが1番好きな物が刻印されるんだ。それは食べ物かもしれないし、物かもしれない」
「ドラゴンマスターとドラゴンは一身一体という訳じゃよ」
「だからみて、ラルのネックリングには俺が好きなロッドが刻印されているのさ!」
〜〜〜翌朝〜〜〜
「さて、そろそろ行こっかな!冒険に!」
ピートは荷造りをしている遥かをじっと見つめると
「俺も、、」
遥はピートの方に振り向くと、ピートの次の言葉を待つかのように動きを止めた。
ピートがお爺さんの方を見ると、お爺さんは
「ピート、おまえの人生を生きなさい。ワシのことは心配せんでも大丈夫じゃ」
「ほれこのとおり!」と力瘤を作って見せた。
ピートは
「俺も、俺も一緒に行きたい!」
「もちろん、良いよ!」
遥は元気に応えると
「さーて、私達の冒険の始まりだね!」
と片手で拳を作り高らかに掲げました。
(さてと、ここらでセーブっと)遥がそう思うと、遥はブルーのウィンドウをタッチして、ログアウトした。
〜〜〜現実世界の遥の部屋〜〜〜
遥はゆっくりゴーグルを置くと…
「面白い!めっちゃ面白い!すっごく面白い!!」
遥の声は、高らかに夜空に響いた。