第2話 密林での戦闘
遥は卵を抱えながら、恐る恐る密林を進んでいく。
密林は、葉が異常に大きかったり、蔦のような物がぶら下がっていたり見たこともない植物ばかりだった。
おまけに、常にどこからか鳥なのか猿なのか分からないような動物の鳴き声がしている。
(大丈夫かな、なんか毒蛇とか毒蜘蛛とか、他にも、他にもお化けとか、、そんなの出てこないよね?)
(しかし〜、新しいチャレンジとはいえドキドキするなぁ、でも、、楽しいかも)
(小さい頃にやったゲームは、大抵敵をバジバシ倒して、お金を貰って、よい服買って、ホテルでフカフカのベッドで安眠、、こんなんじゃなかったっけ笑)
すると突然、背後から強烈な衝撃が走った。遥は前のめりに倒れ、卵はコロコロと前方に転がった。
「痛った!何何何⁈」
後ろを振り向くとそこには、大きな出っ歯のウサギがニヤニヤしながら佇んでいた。
(何こいつ⁈ もしかして、これがゲームの敵ってやつ?)
遥が出っ歯ウサギを凝視していると、出っ歯ウサギは遥と目を合わせながら、ゆっくり卵の方に視線をやる。
出っ歯ウサギはサッと身を翻すと、たまごの方に跳ねて、オレの物だと言わんばかりに、たまごを頭の上に掲げステップした。
「ちょ!ちょ!ちょ!っと待って!それは、それは多分大事な物!返して!」
すると出っ歯ウサギはまたも遥かに蹴りかかった。
「痛い!」
遥は地面に倒れ、動揺しながらどうしたら倒せるか、何かないか、手で辺りをまさぐった。すると遥の腰に巻かれたベルトに短剣らしき刃物が刺さっていた。
(はっ、こ、これだ!刃物でえい!なんて現実世界では気が引けるけど、ゲームだもんね)
遥は短剣を抜くと、飛びかかってきた出っ歯ウサギを一突きにした。
と、思ったら身をかわしたウサギの蹴りをもう一撃喰らった。
「ちょ!手加減してよね、まだこれゲームの始まりでしょ?」
当然、遥のそんな言葉には聞く耳持たず、飛びかかる出っ歯ウサギ。
遥は一瞬、出っ歯ウサギの眉間が赤く光った気がして、とっさに短剣を眉間に振り下ろした。
出っ歯ウサギはギャッと声を上げ動かなくなった。
「はぁ、はぁ、はぁ、た、倒せたじゃん」
遥は服に付いた土埃を叩きながら立ち上がった。
「…ギュルルルゥ〜」
「は、お腹空いたなぁ、家に帰ってそのまま始めたから、うーん、かれこれおやつの時間か」
(お腹空いたけど面白いからこのまま、この卵を…)
じっーー…と遥は両手に掲げた卵を見つめた。
ふと、卵越しに行先を見上げると、そこには小さな村らしきものがあった。