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Saint Works

作者: 幸空 飛翔

 アンヘルは隣に建つ鐘楼から響く音で目が覚めた。夏というのにまだ外は暗闇で、アンヘルはまだその感覚に慣れずにいた。朝起きた後のお勤めを「夜課」と呼ぶことにも慣れてはいない。

 二十分で「夜課」の支度をしなければならない。もし遅れたらば老クレメンテの叱責は免れないだろう。この修道院には「老」と名の付く修道士が七名いる。老クレメンテ、老アナクレト、老エマヌエル、老フィト、老アントニオ、老サカリアス、そして修道院長の老ウンベルトである。アンヘルはその中でも老クレメンテが大の苦手であった。決して恐ろしいわけではないが、あの幾重にも折り重なった目の下の皺、垂れ下がった瞼の隙間から覗く目は鋭く、前に対峙するとすべてを見透かされているような気分になる。

 もともと素行が悪かったアンヘルにとっては、この眼光がたまらなく不愉快なものに感じられた。もちろんアンヘルは修道院に入ってからというものの、一度も日課を怠ったことがない。傍から見ればそれは品行方正で、他の老修道士たちの一目置くところであった。老フィトはアンヘルを「夜課」の係に推戴するほどの見込みようだった。ただ老クレメンテは違った。老クレメンテだけはアンヘルを認めてはいないようだった。

 アンヘルは他の老修道士たちの好評を後ろめたく思うことがあった。

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