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漂流2日目

右も海、左も海。

足元も海で、上は青空。

どこを向いても地平線しかない。

これが大海原か、雄大だなぁ。

大自然に触れると人は安らかになるな。


……これが遭難中でなけりゃな。


船が大破した時のこと。

オレは無我夢中で泳ぎまくり、沈みゆく船から遠ざかった。

近くに居ると危険だと何かで知っていたからだ。

荒れる海に浮かぶ木の板になんとかしがみつき、ただひたすら耐えた。


そして気がつくと、周りには一切の人工物が無かった。

大きめの木の板だけを残して。



慣れない海外の田舎をさすらう予定が一転、身一つで漂流とは酷い話だ。

このまま人目に触れる事なく干上がるまで待つしかないのか。

何もすることがなくて、オレは木の板の上で寝転んだ。

畳4畳分ほどもあるその空間だけが唯一の領土だった。


太陽は人の気も知らないでサンサンと日差しを振りまいている。

こっちは水分すらまともに取れない状態だというのに、あれは一体何様のつもりか。

そんなにもオレを殺したいのか、この野郎!



ーーカツン。


板に微かな振動が伝わってきた。

魚でも来たんだろうか?

ひょっとして人食いサメとか……?

干上がって死ぬか、サメに食われて死ぬかの2択ってのもおっかねえ。

船を失った人間の末路なんて、そんなモンなのかもしれない。


ーーカツン。


まただ、さっきと同じような振動だ。

気になって音の方を確認すると、目を疑ってしまった。

見間違いじゃないだろうか。

ミネラルウォーターだ、しかも未開封!

慌てて零さないように慎重に開けてから、ゆっくりゆっくり飲み込んだ。

……美味い!


体の隅々まで沁み渡るようだ。

キンキンとまでは言わないが、まだいくらか冷たかった。

これは一体どこから来たんだろう。

辺りに注意を払ってみると、他にも浮いている物が見つかった。


スナック菓子、野菜の詰まった袋、男物の襟シャツ、空き瓶、リンゴやらバナナやら果物まで。

これはもしかして、沈んだ船にあったもの……なのか?

いや、解明は後でゆっくりやればいい。

今は出来るだけ物資を集める事にしよう。


こうして窮地に立たされたかと思いきや、命をつなぐ事に成功した。

いや、最早「つなぐ」なんてレベルじゃないな。

とても漂流者とは思えないほどの快適な暮らしを、ここで手に入れることとなる。


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