すれ違う車
たった今起きた出来事だ。
どうやら私は霊を見たらしい。
母と車に乗って帰宅中、白い車が坂の上から降りてきた。
こんな夜中にも関わらず、白い車は無点灯だった。
同じ坂を登る私達の車とすれ違う形で、白い車は通り過ぎた。
助手席にいた私は「うわっ」と声を上げ、「無点灯なんて危ない車だなぁ」と言うと、運転していた母が「そんな車いないよ」と言う。
バックミラーで確かめたのだが、一本道しかないこの坂を下る車は映っていなかった。
無点灯の白い車。
よくある怪談話のようなシチュエーションに私自身がまだ信じられないでいる。
真偽を知るにはドライブレコーダーを確かめるしかないのだが、母に頑なに断られてしまった。
鳥肌が立ち、少し泣いた。
明日、墓参りにでも行ってこようと思いました。