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14.まだ居たんですね

 ---お兄様の名前がわかりました。発表します「カインセミュー」と言うらしい。


 だってねぇ・・・直接話をした事ないし、記憶が無いのだから仕方が無い。3歳前の意識が曖昧で会っていたとしてもボンヤリとした夢の中だったから仕方が無いよね。


 ---今はあまりにもハッキリ!くっきり!鮮明な夢なのである意味怖いです。・・・本当に夢ですか?誰か教えて欲しいよ!!


 メイド3人の情報によると、お兄様は家にはあまり居ないらしい。何故って?あの王子様・・・アルフレッド様のご学友でお友達という名の従者候補だからなんだそうな。

 ---えっ、それってイヤだ。めんどくさい・・・なんて思ってしまう私には勤まらないよね。良かった、ちびっ子で。---ってお兄様も十分お子様だけどね。


 お兄様は、1年くらい前までは家に居て・・・たま~に、私にも会いに来てくれていたようだけど、ご学友になってから忙しく、城で一緒に教育を受けているんだって。


 ---そうそう、意地悪王子とお兄様は共に8歳なんですって。小学生くらいの男の子は見た目より年齢が1つ、2つは上の事が多いから、見た目じゃ判断できないね。

 もしかして、フォードおにいちゃまの年齢も確認した方がいいのかも・・・機会があったら聞いてみよう。


 お兄様情報を聞いていたら、私の誕生日が分かりました。後、10日程で4歳さんになるんですって、びっくりしたよ!この前3歳だって聞いたら、もう誕生日って・・・7月生まれの幼児の誕生パーティはガーデンパーティが主流なんだって。---いつものお茶会と変わらないんじゃないか?!と思ってしまうのは仕方が無いよね。


 そんな情報を入手して、私の「お友達作ろうお茶会」の夜は更けていったのだ。


 ---明日はのんびり読書しよ。あとフォードおにいちゃまと勉強して、遊ぶんだ・・・と平和な一日なるよう心の中で祈りを捧げ眠りに付く。


 その祈りは、翌日の朝、木っ端微塵に打ち砕かれる事になるのだが、・・・この時の私はのんびりと出来ると疑っていなかったのだ。









 ・・・なんでいるんだよ。マジ帰れ!!


 メイドさんに扉を開けてもらい、ダイニングルームに一歩足を踏み出したまま私は固まった。心の中で盛大に毒を吐いていた。

 後ろからこっそりと「皆様お待ちかねですよ・・・」と声を掛けられ、やっと私の頭は再起動した。


 とてっててて・・・と、先ずは毎朝の日課を行うことにした。

 お父様の席に近づきホッペにチューをして、デコチュウとハグしてもらう。その後でお母様にホッペにチューをして、ギュウとハグをしてもらうのだ。

「---おはようございます。お父様、お母様」


 通常は、この後私は、自分の椅子に着席するのだが・・・この兄と王子の対応は---どうすればいいのだ?・・・考えろ、考えるんだ。


 ---いやいや、お兄様がこの王子の名前は呼んだのだから、名前は知っていても変ではない。でも王子だという情報はあの時---聞いたよ!フォードおにいちゃまが言っていた!!---いやいや、そんな気の回る幼児がいたら変だし・・・ここは一つ挨拶だけでいいか??・・・でもお兄様の名前を知らない振りをするべきか?あーどうしよう。



 ・・・もう、身内だからいいや。まずは、王子に挨拶だよね。でも王子だとは知らない振りをして・・・席に着いちゃお。---無礼だって怒っても知らないも~ん。


 よっこらせ・・・とちょっと大きめの椅子に座り、王子とお兄様を交互にみてニッコリと微笑む。---そうだ、私!!出来るだけ可愛らしく微笑むのだ!!


「・・・おにいちゃま方---おはようございます」


 言った後は、・・・そう少し恥ずかしそうに俯いて、上目遣いに相手を見る。・・・その後、二人の様子を確認してから前を見てから、またニッコリと笑うのだ!


 はあ〜何であんなのに媚びを、売らねばならないのだ・・・。

 二人まとめて、挨拶になってしまったが、まあいいか。お父様も敢えて何も言わないのだから、こっそりと滞在しているのかもね・・暗黙のルールって奴か。


 お父様からアルフレッド様の紹介は無かったが、代わりに王子みずから呼び名を指定してきた。

「レッドと呼んでくれ」



 ・・・・・??



 これは。やはりお忍びで滞在という事なのか?まあ、私には関係ないね。お兄様が、相手するだろうしと、王子みずから呼び名を指定してきた。


 ---しかして『レッド』とは!戦隊もののヒーローを思い出す。名前を呼ぶ時笑わない様に気をつけないと・・・ぷぷぷ。


 アルフレッドが、レッドに変身!なんて~ややうけです、ニヤリ。もっと面白い事言わないかな~・・・髪も赤ならもっと良いのに・・・目が赤だよ。流石レッド、やるな~と独り笑いです。もちろん心の中で。


 さて、心の中でこっそりと笑いながら、黙々と食事をするという、器用な事をしていると、本物お兄様から声を掛けられた。


「・・・わかりました。------・・・行くかい。キャロライン、どうする?」


 と・・・おう、聞いてなかったよ。え~っと行くかい?と、聞かれたから・・・行く?行かない?の選択肢しかないよね。


「・・・フォードおにいちゃまが、一緒なら行きます」

 よくわかんないけど・・・。もう後でメイドさん達に聞くしかないよね。


 ・・・ちゃんと、聞いていてくれるといいなぁ~大丈夫かな?



 ・・・あれ?レッドお兄様は、口元に手を当て、プククッて、笑っているね。なんでだろう??

 隣のお兄様は、引きつった笑みを浮かべていた。・・・眉間にシワが寄っているけど大丈夫かなぁ。






 そんなこんなで、朝食は終わったんだけどね・・・部屋に帰ったら残念な子を見る眼差しを朝食に付き添ってくれたエリーに向けられた。


「---??何か失敗した?どこ行くって聞かれたの?聞いてなかったよ〜教えて?」


 そしたら、がっくしと項垂れていた。済まんの~だって、レッドとか名乗っちゃうから。


「お買い物に街に行くのでご一緒に連れて行って下さるそうですよ。---お兄様がご一緒して下さるのに、ギルフォードさんと一緒がいいなんて。しかも『おにいちゃま』とお付けして。カインセミュー様がお気の毒です・・・」


 おおう、エリーさんその通りだよ。ごめんね~そんなシクシク泣きまねまでしなくてもいいから・・・次から気をつけるよ。後でフォローしますよ~。


---そんな、3人でジトッーと見ないで下さい。もう、たまには失敗するよ。仕方ないじゃん、情報少ないんだから!!・・・メイド仲間の噂話だけじゃなくて、家族情報を私にくださいよ!!全く!プンプンだぞ。



 ・・・・お兄様ゴメンね---てへ。






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