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13.フラグはいらないから

「おにいちゃま~絵本よんでくだしゃい!」


 カオスな動きをする3歳~4歳くらいの子供達の子守をする事になった私達・・・3歳と6歳です。

 これは・・・いったいどういうことでしょうか??


 おい!メイドさんたち・・・ちゃんとお仕事してください。と周りを見渡せば、要所要所に立っていて、目の届かない範囲に行こうとした子供を注意しているようだった。


 イヤイヤ・・・ちゃんと相手してくださいよ・・・。


 そんな恨めしい気持ちを隠し、私はフォードおにいちゃまに甘える振りをして、絵本を読んで欲しいとせがむ。

 もちろん、読み聞かせをして欲しい訳ではない!!このカオスをどうにかする為だ!!


 蝶を追いかけていたちびっ子もそろそろ疲れて来た頃だろうし、蝶もそう簡単には捕まるわけがない。必死に逃げるのだよ・・・ならば、次の手を考えて先手を打たねばならないのだ。


 ---体力の消耗をおさえ、尚かつ、皆が大人しくなる方法・・・本を読んで聞かせる事だ!


 フォードおにいちゃまは、私の申し出を快諾し、私から差し出された本を見る・・・ちょっと意外そうな表情を浮かべ私を見たが、ニッコリと笑みを浮かべる私を見て、微笑み返してくれた。


 ・・・意思疎通しました!!やっぱり素敵なおにいちゃまですよ!


 うふふふふっ。と含み笑いをし、私はフォードおにいちゃまの横に座り込む。

 もちろんそのまま地面に座ったわけではない。メイドさん達は、ちびっ子様にカーペットを地面に敷いていたのだ。

 ---金持ちは凄いね。私にはまねできないよ。・・・すわり心地はいいけど。


 今回おにいちゃまに読んでもらう絵本は、騎士とお姫様のお話だ。

 まぁ、簡単に内容を話してしまえば、さらわれたお姫様を助けに行った騎士と恋に落ち、騎士はお姫様を助けた事から、結婚を許され、めでたしめでたし。という話だな。

 ・・・まぁよくある王道です。子供向けだしね、こんなもんですよ。男の子にも女の子にもそれぞれ受けの良い話を選んできたのだ。


 おにいちゃまが声を出して絵本を読み始めると、子供達が集まってくる。私とおにいちゃまはニッコリと目を合わせて笑いあう。・・・いいね~。


 1ページ読んだところで、ちびっ子達が勢ぞろいして後ろに立っていたので、最初から読み直しする事にした。本を立てて、皆に見えるようにして、フォードおにいちゃまは読み始めた。


 ・・・ちょっと読みにくいけど、がんばって!と心の中で応援する。


「きゃ~助けて、騎士様!」

 と、私はお姫様役で急遽参加して、おにいちゃまをサポートしながら楽しい読み聞かせ時間は終わったのだ。





 ---これで終われば、良かった。本当に良かったのに!!


「なんだ、その現実離れした、まるで夢物語だな・・・そんな子供だまし面白いのか?」

 読み聞かせが大盛況に終わり、ホッと一息ついていた私達に投げかけられたその声。


 ---いいんだよ!お子ちゃまなんだから、難しい事わかんないだろう!

 と思わず睨みつける。

 ---キラキラ光る金髪頭の子供がいた。今日いる子供達よりも少し年上っぽいなぁ。フォードおにいちゃまよりも一つ上?くらいかな。なんて思っていたら・・・もう一人現れたよ。サラサラ銀髪が!!

 あれ?あの髪の色どこかで・・・??と思っていたら、私とお母様と同じ色ですよ!!血縁者ですか?

 頭に『???』を浮かべ、フォードおにいちゃまの服をギュッと握る。


 ---負けないよ!!受けてたつ。と言いたいところだが、子供のたわごとなど、聞く気はないし、相手にしていられないのだ。私の精神年齢は大人なのだ。


「---フォードおにいちゃま行きましょう」

 ここは、この場に来た乱入者に任せ、私達は退散しよう。責任を持ってここの子供達の面倒を見てもらう事に勝手に決めて、私は席を立つ事にした。


 おにいちゃまの手を握り、早く早くとせかし、立ち上がらせ私はお母様の元に向かおうと背を向けた。


「---・・・なんだ、逃げるのか?」


 逃げるって何だよ!背を向けたら逃げる事になるのか?まだ何も言ってもいないし、お前には、全く興味がない。話す価値もないよ!無視だ無視!

 私は、フォードおにいちゃまの手をとり、歩き始めた。・・・が前にあの金髪の子供が立ちふさがった。


「おい、話しかけているだろう。何処に行く気だ!」


 イライラした口調で私に話しかけてきた。言っとくけど、私もイライラしているんだよ。声掛けんな!・・・と思ったら、金髪小僧が睨んでいたのは、フォードおにいちゃまだった。

 なんか余計むかつくわ!

 何も言わないフォードおにいちゃま・・・そりゃそうだよね、だって此処にいる子供って皆貴族の子息ばっかりだから。

 フォードおにいちゃまや、この舘の人達はみんな優しいくて、お父様もお母様も皆を大切にしている。でも外から見たら使用人のただの子供だ。口答えは出来ない・・・ここは私ががんばるのだ!


 よし!と気合を入れて、私は金髪小僧の挑戦を受けて事にした。おい!お前、私の大切なおにいちゃまをいじめるな!と。


「・・・あの、おにいちゃま、なんで怒っているんですか?---ううっわ~ん、こわいよぉ」


 瞳に涙を一杯にためて指差して泣きまねだ・・・。左手でフォードおにいちゃまのシャツをギュッと握り締め、胸に顔を埋めて金髪小僧を指差しながら、ポロポロと大粒の涙を一つ。

 おっ、相手は少しひるんだか・・・

「おい、泣かすな。お前勝手に泣くんじゃない!!」


 ---いやいや、私を泣かしてるのは、横柄な態度の君だよ!君!そんな事言われて泣き止む幼児が何処にいるんだ?いたら変だろう・・・ふふっ。


「いや~~ぁ、こわい~よぉ!!」


 と声を張り上げ泣きまねをする事にした。---あっ、ヤバイよ。本当に涙が・・・。子供って感情の起伏が激しいのか、コントロールが難しいね。自分で泣きまね始めたのに、引きづられるよ・・・マジ泣きです。うううっ。


 もう視界に入れたくないと・・・フォードおにいちゃまの胸に顔を埋めたところで、気になっていたもう一人の銀髪男の子が口を開いた。


「---アルフレッド様、妹が怯えています。お止め下さい。・・・・・ギルフォード、邪魔をして悪かったな。キャロルを頼む」


 ---あー、血縁者かな?・・・とは思っていたけど、お兄様か?!髪の色が同じだけど、私は知らない・・・フォードおにいちゃまの名前知っているから、そうなのだろう。


 とりあえず、自称お兄様にお任せして、私達は退散します。泣いてしまった私は、フォードおにいちゃまに抱っこされ、移動となりました。・・・やっぱり、私のおにいちゃまの称号はギルフォードおにいちゃまにしか、あげない。ただ見ていた銀髪自称お兄様は知らんよ。抱っこと、何もできなかったから、今日のお礼を言っておかねば・・・。



「---おにいちゃま、ありがと」

「・・・いいえ、私のせいで怖い思いをさせていまいました。申し訳ございません」

 少し気落ちした感じで、出来るだけ無表情でいたフォードおにいちゃま、お礼を言った私に、ハッと視線を下げ、苦笑いをしていった。


「そんな事ないよ。みんな楽しかったって思っている。おにいちゃまは私の王子様なんだよ?」


 とおこちゃまらしく、言ってみた。---また微妙な微笑みを返してきた。・・・何故だ!何が駄目だったんだ??


「---キャロライン様・・・本物の王子様をごらんになった後、にそのように言っていただけるなんて、とても光栄です」

「???」

 なぬ??なんだと、本物の王子だと???


 頭にはてなマークを浮かべ、首をかしげ考えていると、頭上から声が降ってきた。


「先程の方は、この国の王子アルフレッド殿下です。ご存知なかったのですか??」


 ---えー知らないよ!知っている3歳児いたら教えて欲しい!!



 余計な事言わなくて良かった。---乙女ゲームとかの世界だったら変なフラグ立っちゃうところだよ。気をつけなきゃ、くわばらくわばら。


 ---まぁ、あんなの真っ平ゴメンだから、どんなフラグが来てもバッキバキに折っちゃうけどね~。











「キャロライン様、今日は大変な一日でしたね・・・素敵なお友達が出来たのでしょうか?」

 王子様談義していた、メイド3人が珍しく私に話を振ってきた。なんかそんな期待に満ちた顔で聞かれても、何もなかった。・・・と思ったけど、これは王子情報が欲しいんだな。

「幼児向け絵本に文句をつけるなんて心の狭い男がいたけど、---興味ないなぁ」



 やっぱり私の一番は、フォードおにいちゃまかな。ふふふふっ。


「そうなのですか?」


 おっ、聞いてくれますか?



「---子供だましだって言うの、幼児向け絵本にだよ?」


「お姫様と騎士・・・好き合って幸せに暮らす。素敵です、憧れます!」


 エリーの発言に、本当にハッピーエンドだと思うのか?と周りを見ると、ウンウンと頷く二人。・・・え~なんだろう、夢見すぎ結婚に夢見すぎている?大丈夫???

 君たちは、現実みた方がいい。


「はあぁ~ぁ」

 と首を振り、3歳児にあるまじき深い溜息を吐いてしまった。


 ダメだ夢見るお年頃か?!現実見て!もうそんなお年頃じゃないよ~結婚迫っているよね?いろいろ話あっているんだよね??仕方ないなぁ・・・。


「現実的に、騎士とお姫様の結婚て無理だよ。よく考えて・・・」


 ---えっ、何その顔?考えるの放棄したの??


「お姫様って騎士と結婚したらどんな生活すると思う?お城と同じ生活できると思う?---できないよね。ドレス一つ買うのだって、お城で生活していたような物は買えない。騎士って貴族かなぁ?伯爵?男爵?それによって生活が大きく変わると思うんだよ~。少なくとも、何一つ自分で何もした事のないお姫様だったら、無理だと思うよ。・・・公爵・侯爵くらいの貴族だったらなんとかなるかもしれないけど・・・。お城と同じように生活したら家計は火の車、赤字です。いくら頑張って働いてもお姫様が今までの生活とは違うという事を自覚しないと、お互いの価値観の違いからうまくいかなくなると思うんだよ」


 と、話をしたら三人ともポケーッと・・・しまった語りすぎたか!?今更だよね。


「だから・・・騎士とお姫様とか関係無く、誰と結婚しても価値観の違いとか、生活するのに使うお金の基準が違ったりするとか、結婚に何を求めているのかによって、最初はうまくいっていてもちょっとした事で、離婚することになるかもしれないから、一緒にお互いの物を買い物したり、食事いったり色々した方がいいよ!!」


「わかったの!!」と3人の前に仁王立ちをして、夢見がちなメイド3人に釘をさす。


「「「---はい!!!」」



 びしっ!!と敬礼をする勢いで返事が返っていた。返事はいいんだけどねぇ~・・・・・。大丈夫か?この3人・・・心配だよ。



 そうだ!忘れていたけど、聞いた置かなきゃだよね?

「わたしに、お兄様っていたんだね??」


「「「えっ!!ご存知無かったのですか?!」」」


 とハトが豆鉄砲くらったような顔をしていた。そんなに驚く事だったかな??そして・・・残念そうな顔になっていた。---何故だ、仕方ないと思うんだけどね。



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