11.勉強開始します
さて、お勉強する事にしたキャロラインです。
フォードお兄ちゃまと、スミスおじいちゃまと奥の書庫でお勉強する事になり、ウキウキしています。
「キャロライン様は何を学びたいのですか?」とスミスおじいちゃまは聴いて下さいました。
---何って、学べられる事全部だけど?
そんなこと答える3歳児いたら怖いよね。
この前読めなかった絵本をジルに出してもらい広げて見せた。
「このご本を読みたいです。いろいろな国のご本も!」
と引き篭もりらしからぬ、元気なお子様らしく答えてみた。
「では、読んでお聞かせしましょう」
ニコニコと、私を絵本の前に座らして、フォードお兄ちゃまにも聴いている様に言った。
先生って呼ばなきゃダメだよ・・・。
ずず~ん・・・。と、急に顔が凍りついき、うついてしまった私に、フォードお兄ちゃまが気が付き、屈みこんで顔を覗いた。
「どうなさったのですか?お嬢様?」
「だって、スミスおじいちゃまは先生で、『先生』とお呼びしなければならないのに。---ごめんなさい。スミス先生」
幼児の感情は・・・厄介だ。少し間違えに、気付いただけで、涙が瞳から溢れ落ちそうになる。楽しければ私の気持ちも上昇気流に乗ってグングン上がるのだが、一度下がると急降下。なかなか制御し難い・・・気を取り直して、と思うのだがなかなか難しい。
「---ふむ、では授業の時は『先生』と、そうでない時は『おじいちゃま』で、お願いしても宜しいですかな?・・・可愛いお嬢様に『先生』『おじいちゃま』と呼んでもらえるとは嬉しい限りです」
と目尻のシワを深め笑ってくれた。
ゴシゴシと涙を拭うと、ホッと笑みをこぼしたフォードお兄ちゃまがハンカチを出し、目元の涙を拭いてくれた。
「お嬢様、ハンカチをお使い下さい。目元が、赤くなってしまいます」
---おおう、そんなイケメンスキル何処で手に入れた。
泣いたカラスが真っ赤になってしまった。
・・・誰が、教えたの!いろんなお嬢さん引っ掛けない様に気をつけてあげなきゃ!!
さて、気を取り直して本を呼んでもらいました。
ですが、全くこの本が読める様になる気がしません。
例えば、「これは、何て読むの?」と聞くと「『森』です」と答えてくれるのだか、「読み方は?」と聞いてから答えてくれる、という事の繰り返しなのだ。
---めんどくさい。次々いこうよ!!
3歳さんは、もう飽きたよ~。と、床に付かない足をプラプラさせて、ジルを呼んでこっそり内緒話をして、ちょっと飽きました・・・いう振りをする。
内緒話っても、メモ取りたいから、筆記具用意してね〜と、言っただけなんだけどね。
スミス先生は、古語を一文ずつ読むので、私とフォードお兄ちゃまが復唱することになった。
早速使うチャンスがきた!
私は、ジルを椅子に座ってもらいメモを取ってもらう事にした。
もちろん、これから読み上げる古語の文に対する読み方だ。それを見ていたスミス先生は、単語一つ一つがわかるように、ゆっくりと発音しながら一文一文読み、私達に復唱させる。その間、ジルは数回確認ができ、書いた発音が間違っていないかを確認していく作業をしていた。
絵本1ページが終わったところで、休憩する。声を出すと喉が乾くし、疲れるからね。上手く発音出来ないとちょっと可笑しいから、笑い過ぎて喉が渇いたよ。
ぐったりと、机に倒れそうなジル、一番疲れたと思う。でも・・・一応侍女なので、私達にお茶を入れるために動き出す。
---配膳台の上に用意されたカップは3つ、私はその上に、もう1つのカップを用意した。
「ジルもお疲れさま。いっしょにお休みしよう。スミス先生、フォードおにいちゃま良いですか?」
二人に了承を得ないとね。・・・ジルはメイドさんで、休憩を一緒にとる対象ではないらしいから・・・。
ジルのがんばりを見ていた二人は、もちろん快諾してくれた。---良かったよ。
「良かったね~ジル」
3つのカップに注がれた紅茶をジルに皆に配ってもらい、私は注がれていなかった4つ目のカップに紅茶を注ぎ、ジルが座っていた席に置いた。
・・・一緒にお茶を~なんて言われても自分で、進んでは用意できないよね。と苦笑してしまった。
「はい、ジルどうぞ。座ってください。私がジルの為にいれたんだから飲んでくれるよね?」
と強制的に飲まざるを得ない風にやんわりと言ってみる。よくある『私の注いだ酒が飲めないのか!?』と酔っ払いがお酒を拒否した際に無理やり飲ませようとするかのように。
そんな感じで言ってみたのだが、周りはとっても穏やかな・・・生暖かい雰囲気だった。
この強制的なニュアンスが伝わってない?!ちょっと困った我がままお嬢様風だったと思うんだけどね~。
今回は、こんな感じで授業は、終わりました。最初だし、こんなもんだよね〜。
取り敢えず、お部屋に帰ってから復習しよう。
やる気スイッチはONのままでいきます!
辞書みたいのは無いのか?と探していたら、ジルが既に見付けていた。ちょっと呼吸がらあってきたかな?察して持ってきてくるらるなんて、嬉しすぎ!
---いいアシストだ。次も頼むよ~。