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第七十四話「明かされる真実」

 ―――一緒になってくれって…それって…。

 

 シャークスの言葉の意味を把握すると、私は一瞬にして顔が赤くなる。足の爪先から顔に向かって猛烈な熱が上がり、頭までのぼせそうなくらいクラクラしてきた。

 

 今まで散々シャークスから甘い言葉をかけられても、突き放すかシカトばかりしてきたけど、今回ばかりはさっきの出会いの話を聞いたのもあって、本気と受け捉えてしまう。

 

 でもなんて答えたらいいのか言葉が出ないよ。戸惑う私の様子を目にするシャークスは至って真剣な表情をして、私の気持ちの核心へと迫ろうとする。

 

「スターリーはオレの事、好き?それとも嫌い?」

「!?……っ」

 

 心臓が飛び出しそうなぐらい驚いた!好きか嫌いかって言われれば、そりゃぁ…。

 

「好きかな…」

 

 やたら自信がなく、シャークスに聞こえるかどうかのか細い声で答えた。だけど、彼にはきちんと聞こえていたようで、悩殺レベルのキラキラ笑顔を広げ…。

 

「良かったよ!スターリーも同じ気持ちでいてくれて!」

「は?」

 

 好きの意味が違…う…よね?好きといっても、それが恋心かどうかは…そうかなとも思……ん~、なんとなくだけどね…、シャークスの気持ちも素直に嬉しかったし。

 

 あーでもやっぱ違う気がする!黒の騎士である彼に対して、憧れの意味である気もするし、恋人としては違和感ありまくりだし、だから…友達としての好きかなって…、あ~、でもな…。

 

「式はいつがいいかなぁ~♪」

「へ?」

「早速、スターリーも一緒の部屋に住めるよう手配をしておかないと!」

「はい?…ちょっと、シャークス?」

 

 私の存在を忘れたかのように、シャークスは勝手な未来予想図に没頭していた。こっちは答えが出ないアンタに対する気持ちにモヤモヤさせられているってのに!


「ちょっ、シャークス!」

「ご両親にもご挨拶だね!」

 

 ―――ダメだ、もう彼の中では完全に出来上がっている!

 

「はぁはぁはぁはぁ」

「は?」

「今夜から熱い夜を過ごす事になるな…。ずっと夢見た、甚振られる日がついに!」

 

 誰か止めてくれ、この男を!気持ち悪いのなにものでもないわ!ヤツの頭の中で不埒な行為が繰り広げられていると気付いた私はそのおぞましさに、ゾワゾワとなにかに憑りつかれた気分となった。

 

 考えてみれば、シャークスはド変態だ!興奮すると無駄に息を弾ませ、迫ってくるし。しかもそれだけじゃなくて、罵ったり踏みつけたりと痛めつけられて快感を得ようとするドM体質だ!

 

 こんな偏執狂の元に嫁にでも行ってもみろ!父さん母さん、兄さん達を発狂させてしまうではないか!しかも私自身も幸せになれるとは思えない。自分と求める幸せの方向ベクトルが違い過ぎる!

 

「マザグラン兄さんの承諾を得る事が出来たらね!」

「え?」


 どうやらシャークスは夢から舞い戻って来たようだ。

 

「それは至難の業だよ」

「でも家族に祝福されないで、一緒になれないもの!」

「マザグラン様の気持ちは固すぎる。だから先に君の気持ちを向けようと「強行突破しようとしたのね!」」

 

 ったく!既成事実を作ってから、承諾を得ようなんて!ちゃっかりとしているんだから!

 

「とにかく!家族全員の承諾を得てからじゃないとダメだから!」

「…わかったよ」

 

 切なる表情を見せ、シャークスは私の言葉を呑んだ。良かったぁー!だって絶対に兄さん達は承諾しないだろうからね。

 

「承諾を得られればって事はスターリーの気持ちがオレへとあるのには間違いないからね、頑張るよ」

「え?」

 

 何故そうなる?

 

「承諾さえ貰えればいいだけだ…」

 

 一人呟くシャークスの表情が……妙に余裕そうなのはなんで?

 

「二人の未来の為だ。一緒に頑張ろうね」

「うん」

 

 って、思わず言っちゃったよ!今の自然な流れだったよね。シャークスが当たり前に言うもんだからさ。…もう!とにかく私は明日から騎士としての新しい生活もあるし、色恋沙汰は考えないようにしよう!この話を終了と私は違う話題を口に出した。

 

「こうやって私が騎士になれたという事は、無事に事件が解決されたって事なんだよね。今思えば、エクストラ王がおっしゃっていた通り、人の手を越えた不思議な出来事だったな。私、そういう力って信じないたちだったけど、あの私達への挑戦を叩きつけた時の動き出す白骨や血の雨を降らせた時は、さすがに神術を信じざるを得ないと思ったよ」

 

 思い出して私は表情を感慨深くした。

 

「アレの何処が神術?あんなの奇術に過ぎないよ」

 

 反対にシャークスは呆れたような表情をして言う。

 

「奇術?」

 

 私は目を大きく見開いて彼を見る。


 ―――それって種ありのわざって事だよね?

 

「だって現れた女神と天使達は?」

 

 シャークスは意味ありげに微笑んでいた。

 

「まずは動く骸骨はただのプラスチック製品で作られたものだよ。ただ関節の部分が微風でも動くよう巧妙に作られたものではあったけどね」

「え?」

「それと血の雨だけど、アレも人工的に降らせていたものだよ」

「えぇ!?」

 

 ダブルの驚きに無駄に声を上げてしまう。

 

「血の水滴は赤い絵の具が使用されていたものだし、雨はスプリンクラーを使用していたんだよ。それも大量な水を遠くへ吹き飛ばせるよう技巧されてね」

「そ、そんな事が…。あ、でも途中から血まみれになってたよね!あの骸骨!」

「それも赤い液体物が入ったゴム製の袋を忍ばせておいて、風圧によってパァンッて割れるよう仕掛けていただけだって」

「うっそーん!」


   ポッカ~ンと私はだらしない表情をする!だってなにそれじゃない!

 

「考えてみてよ?賄賂して神術があると広めた人がだよ?そんな神の力を持っているわけないでしょ?」

「そ、そうだけど」

「それで堂々と女神の使い者で、かつ神術があると公にしていたから、笑っちゃうよね」

「んー、そうだけど。…え、えっと、でもさ、そうそう!おっさん達が倒れたのは!?あれって呪術じゃん!」

「まさかアレは単純に解毒剤が混入されていたんだって」

「え?」

「精密検査させてわかった事実だし、間違いないよ」

「そうだったの。……そしたら、そうだ!シャークスだって、民衆から難病を治したとか貧困生活に潤いを与えたとか言われてたじゃん!あれもヤラセだったって事?それに、あの神秘的な姿で現れた女神や天使達はどうやったの?」

「あ、それは本物の力だけど?」

「はい?本物って?」

「うん、だから本当の術力って事」

「意味がわからない!」

 

 全く意味がわからんっての!私はえらくしかめた顔をシャークスへぶつける。

 

「んー、そうだなー、“魔術”だって言えばわかる?」

「……はい?」


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