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第六十六話「慮外な波瀾」

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公開処刑が下されたスターリーとシャークス!救いの手は現れるのか!?

 処刑は大剣による首の切断だなんて!それであんな大剣を持った兵士達がいたのか。なんて惨いやり方なの!ど、どうしよう!無理強いさせる兵士を突き放そうと抵抗してみたけれど、頭の中が錯乱して力が出ない!

 

 そして私とシャークスは最前へと突き出され、その後を追うようにパナシェさんが、こちらへ向かって来た…その時だった。

 

「民衆がエクストラ王を受け入れぬなど、貴様等の勝手な憶測だろう?」

 

 ―――え?今の声って?

 

 何処からかともなく響いてきた声に、反射的に私は背後へと振り返った。すると…?そこにいたみなが同じ思いだったのか聞こえた声の方向へと道が開かれる。……目に映った人物は?

 

 ―――やっぱり…ザクロ!?

 

 黒の騎士様の制服を身に纏ったザクロとクローバーさんが立っていた。2人はやたらキラキラとした煌びやかなオーラを放ち、存在感が大だった。そんな彼等を目にした周りの司祭や兵士達は戸惑いの表情を見せている。思わぬ展開に動揺しているのかもしれない。


 そんな中でも大司教とパナシェさんだけは表情を崩さず、ザクロとクローバーさんを直視していた。その内に、パナシェさんはザクロ達の前へ赴き、そして冷酷な表情を向けて口を開いた。

 

「この場所へは王のみをお通しした筈です。の者の乱入は違反行為となります。事もあろうに黒騎士の長に続き、またもや黒騎士の不法侵入ですか?これも王のご承知の上ですか?何処までも顔と名に泥を…」

「長を返して貰おうか」

 

 え?パナシェさんをシカト?ザクロはてんでパナシェさんの言葉を、いや彼の存在には目もくれず、私とシャークスの方へ足を走らせた。大司祭様をシカトって、アイツある意味最強?


 つぅか、囚われの身はシャークスだけじゃなくて、私もいるんですけど?きっとアイツにはシャークスしか見えてないんだろうな!私がポカンとしている間にも、ザクロの後をクローバーさんも追い、私達と兵士達の前まで来ると、

 

「長と娘を放して貰おう」

 

 2人はサッと腰から剣を抜き取り、兵士達へ突き付けた。兵士達はギョッとし、怯んだように見えたが、それはほんの一瞬の事で、次の瞬間には大剣をザクロとクローバーさんの前へと向けていた。その様子に今度は私が怯む。さっきとは違う張り詰めた緊張が流れ、息を呑む!

 

「ぶった切られたくなければ、言う通りに2人を放せ」

 

 ザクロは再度兵士達を煽った。だけど、その言葉に私を拘束していた兵士が思い切ったように、ザクロへと駆け出した!ザクロは剣の握りを強め、先を後頭部へと向け振り被った!その刹那、ザクロの前まで来た兵士がそのまま勢い良く大剣を振り落とす!

 

 ―――シャキ――――――ン!!

 

 鋭利な音が辺り一面に響いた!次の瞬間には兵士の大剣が宙に舞い上がり、地面へと鈍い音を鳴らして降下した。なんと!ザクロが斬り上げた剣がいとも簡単に兵士の大剣を突き放したのだ!

 

 ―――えぇええ!?

 

 あんな巨大な体格をした兵士の豪然たる腕力をあんなアッサリと!?ヤツの中性的な美貌からは想像もつかない力だ!手元から剣を失った兵士もあまりの驚愕に固まっている。その隙にザクロが取っ手の先で兵士の腹部にドスッと、攻撃を食らわせると相手は大きくよろめき、

 

 ―――ドッス―――ン!!

 

 大きな音と共に、その場へ倒れた。呆気に捉われるのも束の間!

 

「ぐあぁ!」

 

 隣でシャークスを拘束していた兵士が悲鳴を上げて、前に突き出された。

 

 ―――な、何事!?

 

 どうやらシャークスが足蹴りを飛ばしたようで、彼は長い脚を宙へと上げていた。が!足はかなり重い鎖で繋がれているから、あんなに上げられなくない!?突き出された兵士が無様にヨロヨロとなって、ふらついていると、前方から現れたクローバーさんに、

 

 ―――ガッ!!

 

「フンガァッ!」

 

 顔面ストレートパンチ(by剣の取っ手)を食らわせられ、悲痛な叫び声を上げて、ドスンッと派手に頽れた!ザクロもクローバーさんも一応は考慮して、剣の刃では攻撃しなかったようだ。

 

「ナイスキャッチ&パンチだったね、クローバー。ザクロは毎度あっぱれだよ♪」

 

 今まで黙然としていたシャークスから、久々の笑みが零れた!白馬に乗った王子様がはにかんだような笑顔をしていて眩ししっ!私達の周りに、余裕とばかりの雰囲気が流れ、張り詰めていた空気が緩和される!

 

 そして、いつの間にか私の前にクローバーさんがいて、彼は私を繋いでいる鎖の輪をガシッと掴む。すると、シャリンシャリンッと鎖が足元へと落ちた。隣からも同じ音が聞こえて?どうやらザクロがシャークスの鎖を解いたようだ。

 

 ―――えぇええ!?鎖はガッチリと施錠されていたんだけど!?

 

「え?えぇ!?どうやって外したんですか!?」

 

 私一人が驚いてあたふたしていると、

 

「大司教の前で随分と畏れ多い事をしてくれましたね」

 

 凍てつくような鋭い声が耳に入る。

 

「このような事、それなりの覚悟があおりでされたのですよね?ちょうどいい、処刑は黒騎士の長と娘以外にも貴方達も行う事にしましょう」

 

 ゾワッとするパナシェさんの表情は聖職者としての神々しさは微塵も感じられぬ恐ろしいものだった。パナシェさんの言葉に、またしても新たな兵士数十人が姿を現した。それでもシャークス達は少しも動じてないように見える!

 

 シャークスはノックアウトしている兵士の前に落ちていた大剣を拾い上げ、パナシェさんと兵士達の前へと立ちはだかった!


 そして…!

 

今日こんにち民衆に集まってもらった目的はエクストラ王の退位表明でも騎士と女子おなごの公開処刑でもない。貴様等の不当な悪事を晒す公開日だ!」

 

 凛と張り詰めた空気の中、シャークスは大剣を前へ突き付け、決然と言い放ったのだ。


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