第五十一話「バイブレーションの恐怖再来!」
頭上から声が落ちる。
「連れて行く前に、そのコ少しスリスリしてからでもいい?」
な、なんか凄絶にキモイ言葉が耳に入ってきた。私を案内しようとしていた男性だ。でもこのキモさ何処かで?それに……誰か…もう……一人……いる……?
―――あ、あれ?なんだか…急に……眠気…が……襲って……??
「そんな暇ねーよ!早く連れて行って、金貰う方が先だ!」
「え~~~」
これ以上は完全に意識が遠のいていき、記憶にする事が出来なくなったのだ…。
*★*――――*★* *★*――――*★*
―――ガタッ!
なにかの音が聞こえ、意識が目覚める。
―――あれ?…私?
夢現のような感覚で頭がぼんやりする中、私は状況を把握しようと、懸命に思考を巡らせていた。
―――ここは?
限られた視界の中には木造の壁?床?そして埃クサイにおいまでもする。古びた小屋といったところだろうか?
―――確か…私……?
「ったく、いつになったら金が来るんだ!ソイツが目覚める前にずらかりてーのに!」
「ねぇ?そろそろスリスリしてもいいよね?」
「オマエは黙ってろ!」
「え~~~!早くしないと、そのコ目覚ましちゃうよぉ~~~」
―――キモッ!
全身余るところなしに嫌気が回った瞬間!意識がハッキリとしたんだけど……なんか拘束されている?躯の身動きが取れない!視線を落とすと……えぇ!?なんか私、縄で手足を縛られて横たわっているんですけどぉー!!
―――ど、どうしてこんな事に!?
視線をさ迷わせると、ハッとする!
「「「あ!」」」
目の前に輩2人と視線が絡み、同時にヤツ等と叫んだ。
「あ~~ん!目を覚ましちゃったよ~~。バイブレーションのチャンスがぁ~~!ウィリアムのバカァ―!!」
「うっせー、騒ぐな!オマエがウダウダ言うから、ソイツの目が覚めたんだ!チャールズ!」
―――こ、この2人は!?
いつぞやのシャークスと初めて会った時、彼に絡んでいたおバカな……ウィリアム&チャールズ!なんであの二人がここに!私はヤツ等をガン見する。ウィリアムは相変わらず、無駄にチャラチャラした格好をしていて目ざといし、チャールズは全部がキモイ!
「もうバイブしちゃうもん!」
「来ないでよ!キモオタ!!」
キモオタ、チャールズはバイブレーションとかほざいて近寄って来ようとしたもんだから、私は叫んでヤツに制止をかける。ガチキショイッ!前回も私の頬にバイブしようとしたキモオタだ!病院で声をかけてきた男はコイツが変装していたのか!どうりで不快な雰囲気を感じていたわけだ!
「ウィリアム、君キモオタだって言われたのぉ~」
「てめぇの事だ!」
チャールズに向かって叫んだのに、ヤツは自分の事だと気付かず、ウィリアムに被せていた。ある意味、無駄にポジティブなヤツだ!
「ボク、キモオタじゃないもん!だからボクの事じゃないもん!」
プンスカと怒って頬を膨らませるチャールズの姿は言葉では表せられないほど、キモかった!コイツはなんでこんなにキモイんだ!
「ちょっと、私にこんな事してなんのつもりよ!」
「答えるよりバイブが先なのぉ~!」
「キモイんだよ!キモオタ!近寄るな!私に指一本でも触れたら、生まれてきた事を後悔させてやるからな!」
「あーん!怖いの怖いの怖いのぉおおお!!」
―――いっちいちキモイし、悍ましい!
状況を把握したいのに、チャールズのキモさが勝って先に進めない。身動きも取れないし!わかっている事は目の前のヤツ等に捕まったって事だよね!この間の報復って事なの!?
「この間の事を逆恨みして人を拉致したのね!拉致は大罪なんだから!死刑判決になりたくなかったら、今すぐに縄を解きなさいよね!」
「ソイツは無理なお願いだ。オレ等はもう去るからな」
うつ伏せの体勢から顔を上げ、悪あがきのように叫ぶ私に対して、ウィリアムは蔑み跳ね返した。
「とりあえず外で待ってっぞ」
「え~~~バイブ~~!ちょこっとバイブしてからでもいいでしょ~~?」
「好きにすれや!金づるからは縄で縛る以外、ソイツにはなにもするなと言われてんだ!早く終わりにしろよ!」
「やったぁ!」
―――ひぃぃぃ!!
しつこいチャールズの要望に、とうとうウィリアムが折れてしまった。そして、そのままウィリアムは部屋から出て行ってしまい……私はキモオタチャールズと二人っきりに!バイブなんて、いーやーだぁぁああ!!
あれ?でも今、ウィリアムは「金づる」って言ってたよね?どういう事!……って、その前に頬を紅潮とさせ、目をキラキラと潤ませ、息を無駄に弾ませて、こっちに向かってくるチャールズを止めたいぃぃ!!
「来ないでって言ったでしょ!」
「そんなの知らないも~ん!」
私の言葉をフルシカトしたチャールズは私の前まで来ると、勝ち誇ったように見下ろしていた。
「じゃぁ、早速君の頬をボクのほっぺで、スリスリとしちゃおっと♪」
―――ひぃぃぃ!!
チャールズは腰を下ろし、満面のキショ笑顔を見せながら、私へと手を伸ばしてきた!!私はあまりの気持ち悪さに血の気が引く!!完全に私の心は死……ん……で……い……く……。そして………とうとうチャールズの手が私の頬へと触れ……、
―――神よぉぉおおおお!!今すぐ私をお救い下さいぃぃぃ!!
キタァアア―――――――――――――――――――v(*゜∀゜*)v再登場まで長かった。。。(第二話で初登場!)個人的には気に入っているチャールズ♪ゴメン、スターリー(笑)