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第五十話「近づく真実と魔の手」

足をお運び頂き、有難うございます!

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「…………それは言えねーな」

「え?」

 

 私は目が点になる。肝心なところですけど?なに勿体ぶってんだっての!真ん丸のおっさんは一応申し訳なさそうな表情はしていた。

 

「え~、どうしてですか~?」

 

 私はわざとかまととを演じ、可愛らしく聞いてみる。

 

「まぁ、ちょっとな」

「…そうですか。残念です。どうしてもダメなんでしょうか?」

 

 今度は潤んだ瞳をさせながら、上目づかいで聞く。自分で演じていてキモイと、悪寒がしちゃったよ。

 

「ん~参ったな~。お嬢ちゃん、わざわざオレ等のお見舞いに足を運んで来てくれたしな」

 

 ―――お、いい感じで折れそうじゃ!

 

「誰にも話はしません!教えて下さい!」

 

 私は切なる表情を見せ、懇願体勢に入る。

 

「わかったよ。嬢ちゃんには特別に教えたる。実はな、ローゼンカバリア女神からのお告げだったんだ」

「はい?」

 

 おっさんの言葉に突拍子のない声を漏らしてしまった。「女神のお告げ」ってなに?目の前のおっさんがまともかどうか疑念の眼差しを向けてしまう。

 

「どういった事なんですか、それは?」

「オレ等の大半は税金に苦しめられている嘆きを大聖堂や礼拝堂に行って話を聞いてもらっていたんだ。税金の減税の交渉も兼ねてね。そしたら…」

「?」

「そこから意外な事実を知らされた」

「まさかそれが?」

「そうだ。オレ等を苦しめていたのは、諸侯や領主、司教殿ではないと。すべて国王からの指示で動いていると言われたのさ」

 

 ―――やっぱり。

 

「生活の苦しみから解放するには、オレ達が力を合わせてデモを起こし、改革を起こすしかないと、女神からのお告げを頂いていたんだ」

 

 ―――なんという事なの!信仰者の思いを利用したという事ね!

 

「あの、その事実を知らせた人物というのは…?」

 

 私が知りたいのはそこだ!一体黒幕は誰なの!

 

「それはな…」

「それは!?」

 

 私と真ん丸のおっさんは無駄に見つめ合う。のが堪え難かったが、次の重要な言葉に、私はおっさんからの視線を逸らさず我慢した。

 

「それは……わからない」

「はい?」

 

 もうなんなの!いっちいち焦らし効果を出してきて、私は段々イラッとしてきた。

 

「あの…?教えては?」

 

 イラついていても、出来るだけ下手に出て問う。

 

「残念だが本当にわからないんだ」

「え?でも相談された時に、顔を合わせていらっしゃいますよね?」

「相談はな、懺悔のと同じ場所で聞いてもらうから、相手の顔を見る事は出来ねーんだ」

「……………………………」

 

「懺悔の間」とはある小部屋に司祭様または神父様と信者が敢えて顔を合わせられぬよう、ついたてが立ってあり、その真ん中には細かい網目の小窓が立っていて、それによって、お互いの顔が見えなくなっている。そこで信者は自分の罪を懺悔するのだ。

 

 確かにあの小窓からでは相手の顔を覗く事が出来ない。でも……でもでもだよ?黒幕はもしかして…そちら側の人達って事なの?……あ、いや、もしかしたら彼等も黒幕に動かされている可能性もある?

 

 女神を信仰している大元は確か………大聖堂だ!あそこに行けばなにかが掴める?大きな閃きに胸が大きく高鳴った!これはかなり有力な情報じゃない!?


「どうしたんだい?お嬢ちゃん?」

 

 ヤバイヤバイ!ここで急にパ~と表情が明るくなったらおかしいよね!私は「なんでもありません」と答えた。

 

「あの、お話有難うございました。よろしければ、こちらのお花をもらって頂けますか」

 

 *★*――――*★* *★*――――*★*

 

 私は急いで病院から出た。まさか大聖堂が関わっていたなんて。そこに黒幕が潜んでいるかはわからないけど、ヤツの正体を掴むには大聖堂から情報を得るのが確実のような気がする。

 

 私は情報をもらったおっさん達に花束を渡して、気持ち良く別れて来た。また会いに来てくれと言われたけど、きっとそれは叶わないな。それはともかく、シャークス達にいち早く伝えに、とっとと宮殿へ帰ろう。……の前に買い出し忘れてたぁああ!早く帰らないと、めっちゃ怪しまれるよ。バタバタとしながら、馬の停車位置まで戻ると…。

 

 ―――あれ?

 

 私は目を大きく見張った!

 

 ―――え?え?借りた馬がいない!?

 

 何頭か並ぶ馬にはそれぞれ番号がつけられ、同じ番号の札を受け取っている。でも私が乗ってきた馬が定位置にいないんですけど!?

 

 ―――え~~!ど、どうして!?

 

 盗難防止に見張りの人はいるし、馬を連れて行く時には馬につけた番号と札の番号を確認してもらってから渡されるから、持って行かれる事はないよね!なのにどうして!?

 

 私は完全に頭が真っ白になった。ここから宮殿までは歩いて30分もかからず戻れるのはいいとしても、盗られた馬はどう弁解しろと?私は呆然となり、その場で立ち尽くしていると、

 

「お嬢つぁ~ん!」

 

 無駄にキモイ声の人から声をかけられた。声の主の方へと振り向くと、眼鏡をかけ、物凄ぉく太ったデデーンとした男性が立っていた。

 

 ―――なにこの人は?ん?でもどっかで見た事があるような……?そんなわけないか!

 

「37番の馬、さっき見かけたよ~!」

「!?」


 37番はまさに私の馬だ。


「男性に引っ張られていたのぉ~」

 

 やたら喋りがキモイ人で不快だったけど、わざわざ馬の事を教えてくれたんだ!

 

「どちらですか!」

「こっちで見たよん!こっちこっち~!」

 

 と、相変わらず不快な喋り方は難だったけど、私はデデーン男性の前まで行き、

 

「あっちですね!有難うございます!」

 

 指をさして確認した。私は急いで馬を追いかけようと走り出そうとした時!

 

「あん!お嬢ちゃん待った待ったぁ~」

 

 デデーン男性から呼び止められる。もう!急いで取り戻さないとならないのに!


「こっちだったのぉ~ごめんね~」

 

 と、さっきとは真逆の方向を指され、

 

「え?そうなんですか?」


 指された方向へと身を翻した時だ!

 

「ふぐっ!」

 

 不意に後ろから口元と腕を押さえられて!?反射的に後ろへと振り返ろうとすると、

 

「きゃぁあああ!」

 

 いきなりに力づくで躯を地面に叩きつけられ、私はうつ伏せになって倒れた。

 

 ―――な、なにが起こったの!?


次話いよいよ(作者的に)待ちに待った展開が繰り広げられます!お楽しみぃ~♪

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