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第四十三話「再び腐った輩達と大奮闘!」

 逃げてもすぐに捕まると思った私は輩達の前へナイフを構えた。戦うしか逃れる手はないと思ったからだ。


―――うぅ~ザクロのヤツ、なにやってんのよ!こんな一大事に!全っ然すぐに戻って来ないじゃん!


「お嬢ちゃん、勝ち目はないんだから、おとなしくこっちへ来な」


 輩の一人が自分達の方へと来るよう促してきた。誰がおとなしく従うかっての!


「なに目的で私をさらおうとしてんのよ!」


 私は目の前の輩達をキッと睨みながら問う!


「いいからこっちへ来い!」


 さっき背後にいた輩が私目掛けて疾走して来た。きっと肘鉄を食らわされて、相当頭にきているんだ。私も条件反射のように持っていたナイフを投げつける!


「うわぁぁ!」


 …と、投げるフリをして相手がビックリして怯んでいる隙に、今度は私が相手へと向かって疾走をする。相手の目の前まで来ると、足を思いっきり上げ、相手の胸元へと跳び蹴りを食らわす。


「ぐぁあ!」


 相手は後ろへと派手に倒れた。キックをした際、私は逆さ宙返りをして、見事に着地を遂げた。仲間が無様に転げ落ちる姿を目にした他の輩達は吃驚して、私をガン見している。


「この娘、思ったより跳ねっ返りだ!」

「あの成金騎士の女だけあって尋常じゃねぇ!」


 は?なに跳ねっ返りだとか、誰が成金騎士の女だって!しまいには尋常じゃないって!?聞き捨てならないんですけどぉおお!!私の中でメラメラと燃え上がるなにかが生まれた。無性に目の前の奴等に腹立たしさを感じ、再びナイフを構えた。


「おい!全員で娘を掴まえるぞ!」

「「「おー!!」」」


 構える私の姿を目にした輩達は一斉に私を目掛けて疾走して来た。もうなんか前にも確かそう!シャークスと初めて会った日も、こんな場面に襲われた。なんで黒の騎士といると、こんな目ばっか合うのよ!そんな文句の叫びも一瞬の内で、目の前には既に輩達が飛びかかって来ていた。


「うわぁぁあああ!!」


 私は羽織っていたストールを奴等の前へバッと投げつけ、輩達の視界を妨げる。彼等が躊躇している間に、私は奴等の後ろへと回り、そしてドロップキックをお見舞いした。


「「ぉぉおお!!」」


 中央にいた輩二人が前へとすっ飛んだ。地面にズザザッと滑り込んだから、擦り傷が酷そうだ!両足に渾身の力を込めて、お見舞いしたからね。残り二人は開いた口が塞がらず、呆然としている。そしてキックを食らった計三名は衝撃が強かったのか倒れたままであった。


―――残るはあとニ人だ!


 私は気合いを入れ直し、目の前の二人へとナイフを構えた。


「こんの小娘、よくもやってくれたな!」

「次はそう簡単にはいかねーからな!」


 輩二人からかなり殺気立っているのがわかる。思っていた以上に、事が上手くいかず、苛立っているのだろう。こっちだってそう簡単に捕まってたまるか!お互いに睨み合った後、一人が思い切ったように、こっちへ疾走して来た。


 私の目の前まで来ると、覆い被るように襲って来た!寛大に抱き締めて来るような体勢に、気持ち悪さを感じた私は相手へ体当たりをし、跳ね退ける。


「ぐほっ!」


 ドスンッと鈍痛が走った相手は酷く咽って表情を崩し、ヨロヨロと後退する。そこへ私はクルンと身を翻し、右足を高く上げ、輩の顎下へとクリティカルヒットをさせた。


「ぐぁああ!」 


 輩は空高く舞い上がり、そしてもう一人の輩の上へと身を落とした。下敷きになった輩は運が悪かったとしか言いようがない。私からしたら一石二鳥でこの上ない幸運ラッキーだった!


「はぁ…はぁ」


 乱れた息を整える。目の前には輩数人が大の字になって倒れていた。


―――や、やったぁ!一人で倒したぁ!


 私は目をキラキラさせて歓喜に満ち溢れた。思わず万歳をしジャンプして喜んでいたら、


「ふんぐぅ!」


 突然に背後から口元を押さえられ、そのまま後ろへ無理に引き寄せられる!ドスンッとなにかに当たった時には、


「こんのアマ!よくもこんなんやってくれたな!!」


 躯全体を押さえつけられ、動きを封じられていた。喜びに浸っている間に、輩の一人が背後へ回っていた事に全く気付かなかった!不覚だ!


「んーっ!んー!!」


 私は必死でもがいて離れようとするけど、相手は凄まじい力で拘束してきていた。


「さぁ、とっとと一緒に来るんだ!オマエからしっかり奪わなきゃ、オレ等に生きる道はないんだからな!」

「!?」


―――な、なにコイツ、わけのわからん事を!


 そして私はズルズルと引きずられるように、連れて行かされそうになる!


―――やだやだやだぁぁああ!!だ、誰か助けてぇ!!


 目を瞑って助けを求めた時だった。顔にフワッとなにか柔らかいものが触れ、思わず目を開けると…、キラキラのワインレッド色の……髪の毛?が舞い上がっていた!これって…もしかして!


「ひょぇええ!」


 それが「なにか」と認識した時には頭上から、叫び声が上がっていた!顔を上げて私は目を大きく見張った。叫び声の理由がわかったからだ。頭上に鋭利な剣が輩の顔へと突き出されていた!


 しかも輩の顔を覆っていた布がきれいに縦真二つに切れてハラリと落ちている。きっと目の前の剣で切られたんだ。そして輩の素顔が現れて?


「あ―――!アンタは!?」


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