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第三十五話「運命線上のルーレット」

「運命線上のルーレット」は作者オリジナルのゲームですので、実在しません。ですので突っ込み厳禁ですw

 ボーイさんはご丁寧にルールの説明をしてくれた。それをまとめると、


 ① 始めに賭け金が多いプレーヤーにポケットの色の赤または黒のどちらかを選ばせる。


 ② その後、ディラーは37区分の回転盤ホイールの中へ5つの玉を同時に投げる。それを二回行う。一回目は賭け金が多いプレーヤーの分、二回目はもう一人のプレーヤーの分。ポケットに入った数字の合計を出す。その合計をさらに一の数字にして足す。例えば合計が「78」なら「7」+「8」=「15」とする。その合計の数が多い方が勝者となる。が!これには続きがある。まずはその合計の数字が奇数か偶数かを把握しておく必要がある。


 ③ ディーラーはもう一つ赤い玉を投げる。これはいわばジョーカー玉だ。この玉が入ったポケットの数字をまた一の数字にして足す。例えば「15」なら「1」+「5」=「6」となる。ここからが重要で、下記の二点に該当した場合、勝者の勝ちが「取り消し」となる。


 A:ジョーカーと勝者プレーヤーが互いに偶数同士または奇数同士となった場合。例えばジョーカーが「6」の偶数、勝者プレーヤーが「15」の奇数であれば、条件対象外。しかし、勝者プレーヤーが仮に「14」の偶数であれば、ジョーカーと偶数同士で条件の対象となる。


 B:最初に賭け金の多いプレーヤーが「選んだ色」のポケットに玉が落ちた場合。


 ④ AとBの両方に該当する場合、勝者プレーヤーの勝ちは取り消しとなり、賭け金はディーラーの懐に入る。敗者であったプレーヤーの賭け金は自分の元へと戻るので、破損金額はなしだ。上記条件に該当しない場合、勝者のプレーヤーはもう一人のプレーヤーからの賭け金を貰う事が出来る。


 というルールだ。説明だけではさっぱわからない私は睡魔に襲われそうになっていたところに…な、なんと、気が付いたら、ザクロがプレーヤーとして席についていて、私はあんぐりとなった。


 ―――なんでそこにアンタがいるのさ!


 私は突っ込みたかったが、ギャラリー達から色んな意味で歓声が上がっていた。


「君の連れが勝負に出るみたいだね。新規プレイヤーにギャラリー達が興奮しているみたいだ」


 またもやボーイさんはご丁寧に状況まで説明をしてくれた。


「オレは君みたいなバイオレンスなコに興奮するけどね」

「ん?」


 なんか今ゾクッと悪寒がした?それにこのお兄さん、頬を紅潮させて息荒くない?…気のせいかな?それよりもだ。無駄に煌びやかなザクロは一際目立っていた。まだゲームは開始されていないのに、いつの間にか一番ここにギャラリーが集まっているではない!


「誰?あの人、見かけないプレイヤーよね?でも超カッコ良くない?」

「プレイ終わったら、声をかけてみようかしら?」


 と、とにかく女性群の黄色い声が上がっている。中には…。


「もしゲームに負けて嘆いているようなら、一晩付き合ってくれたら負けた分のお金をあげてもいいわよって言って気を引こうかしら?」


 って言っている人物が歴とした男性なんですどぉおおお!奇抜な衣装を着て、ザクロとは違う意味で目立っていた。このアダルティ~な世界なら、性別の云々は関係ないのね。私にはまだ理解したくないワールドだけど。


 ザクロの前にはライバルとなるプレーヤーがいた。アレは例の商人かな?漁師かな?褐色の肌をしているから、漁師の可能性が高い。


「若い兄ちゃんに負けんなよ。負けるのは顔だけにしとけ、ハハッ」

「余計なお世話だ、クソッタレ」


 相手のプレーヤーにギャラリーの数人から応援の声が入った。あの調子の声援からして、仕事の仲間からの戯言だろうな。プレーヤーの年は40歳超えだろうか。頭にタオルを巻いたイカついおっちゃんだった。服装も一応は正装をしていたけど、服に着させられている感じで違和感がありまくり。


「ファーストゲーム、スタート」


 と、やたら発音の良いディーラーの声にゲームは開始された。始めに賭け金が多いプレーヤーがポケットの色の赤か黒かどちらかの色を選ぶんだけど、今回は…、なんとザクロの方が賭け金を多いじゃん!初めから飛ばして大丈夫なの?


 ただでさえヒヤヒヤしていて見ているのに、さらにドキドキさせられていた。ザクロは「黒」を選んだ。そしてディーラーがホイールを回し、銀色の玉が5つ同時に投げられる。一回目は確か掛け金が多いプレーヤーの回だ。


 玉は「3」「6」「17」「22」「33」の数字のポケットに入った。合計が「81」だ。この数字を一の位にして分けるので「8」+「1」で「9」の奇数となった。


 次はもう一人のプレーヤーの番だ。「2」「7」「18」「24」「31」の数字のポケットに入った。合計が「114」だ。この数字を一の位にして分けるので「8」+「2」で「10」の偶数となった。


 この時点でザクロの負けだ!相手のプレイヤーはニヤリと余裕の笑みを浮かべた。私の心臓の音は一層高まった。


 ―――ど、どうしよう!ザクロ、負けてるじゃん!


 当の本人は無表情でなにを考えているのかさっぱわからない。それに、まだおっさんは「仮」の勝者なのだ。次からが肝心だ。ディーラーからジャーカーとなる赤い玉が投げられた。


 その玉は……?ホイールの間を回る赤い玉にみな釘付けとなる。この玉は仮の勝者を本物の勝者にさせるのか、それとも敗者にさせるのか、重要な存在なのだ。


 ―――ドックンドックンドックン!


 赤い玉が徐々に徐々にスピードを落とし…そしてポケットへと入った。そのポケットの数字は黒の……。


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