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第三十話「調査方法が過激です!」

足をお運び頂き、有難うございます!

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「シャークス、今の言葉、本当なの?」


 急に興味を示したように食いついた私に、


「その可能性があるかな。100%ではないけど、大きな収穫にはなる。だからスターリー、ザクロと協力し合って、今回の調査を成し遂げて欲しい」


 シャークスが本気で懇願する表情を見せた。私はその彼の様子を目にして、ザクロと口喧嘩をしていた自分が恥ずかしく思えた。普段、ド変態なシャークスの真面目な顔だ。彼は真剣に調査の仕事を進めようとしていたのに、私ってば…。


「わかった」


 私が素直に応えると、シャークスは優しく微笑んだ。その表情に、一瞬胸が高鳴った。と、思ったところに!


「オレの足を引っ張るなよ?」


 ザクロが余計な言葉を投げてきやがったから、私は胸の高鳴りをすぐに忘れてしまった。そのセリフ、そのまま返すっての!そう言い返してやろうとは思ったけど、さっきのシャークスの言葉があって、私は噴火を抑えた。


「それでカジノに行って、なにをどう調査しろっていうの?」


 気を紛らわす為に、私は調査の内容を聞いた。


「ん、話しに聞くところ、今例の商人や漁師達はカジノに入りたびっているらしい」

「仕事してないのに?」

「そう。彼等は休業してから、夜派手に遊んで朝帰りをし、昼間に休養して、また夜には活動を始めるといった生活を送っているみたいだ」

「仕事せずに夜な夜なまで遊んでいるなんて、良いご身分ね」

「元は独占の商売をしていた人達だからね。金銭的に余裕があるのさ」


 シャークスはさほど彼等の生活を気にしている様子はなかった。


「カジノって賭け事をする所でしょ?そこでどうやって吐かせるの?まさか賭け事して負けたら、吐かせるとかじゃないよね?そもそも私、賭け事なんてした事ないし、お金もないよ」

「知能もないしな」

「は?」


 何気なくザクロが介入してきやがった。私がヤツを睨み上げていると、


「ザクロ…」


 クローバーさんからザクロへと険しい表情が向けられ、ヤツは視線を逸らし、それ以上は口を開かなかった。


「心配いらないよ。でも賭け事は行う。それをやるのはスターリー、君じゃなくてザクロだ」

「ザクロ?」


 私は思いっきし眉を寄せて、ザクロに視線を向ける。


「なんでザクロが?アンタ、賭け事出来るの?」


 私はザクロに問うけど、ヤツは答えない。シカトかよ!


「ザクロは賭け事の強者だよ。だから今回の調査にはザクロが必要なんだ」

「そ、そうなの?」


 コイツ、騎士様なのにギャンブルをしているのか。ある意味、危険人物じゃん!


「オマエにそんな謂れない」

「は?」


 なんかヤツが私の心の中で思った事に、タイミング良く返してきた。コイツ読心術者か!


「スターリー、君の表情は口に出さなくても読み取れたよ」

「確かに」


 私が固まっていたら、シャークスとクローバーさんからも読まれてしまった。ザクロは蔑んだ表情をして私を見ている!ムッカァー!


「だって賭け事に良いイメージってないじゃん!」


 お金を賭けているって私の中では良くないんだっての!ちょっと負け惜しみのような言葉を吐いてしまった。


「一先ず、個人的な感情はおいとけ」


 クローバーさんから鋭い突っ込みが入って、私は少しばかりシュンとなる。


「スターリー、君の思っている事は尤もだよ。オレもそう思っている。賭け事なんて低俗な人間が行うクソゲーさ」

「オマエが一番個人的な感情だな、シャークス。そんな全く思ってもない事を口にして、スターリーの肩を持つな」


 シャークスは私をフォローしようと間に入ってくれたが、却ってクローバーさんに突っ込まれてしまった。ザクロからは白い目で見られている。ゴメン、シャークス!


「話を戻せ、シャークス」

「わかったよ。さっきの話の続きだけど…」


 クローバーさんに促され、シャークスは話を続ける。


「ザクロには成金者として、カジノで賭け事を行ってもらう。ターゲットはもちろん例の商人と漁師達だ」

「賭け事をした後、どうするの?」

「出来るだけヤツ等を挑発させ、高額を賭けさせ、最終的には負けさせる」

「そして?」


 ん~、シャークスがなにを言いたいのか全くわからない。焦らされている感じに、私は微妙に苛立ってしまう。


「賭ける金が無くなったら、どうなると思う?」

「え?…………あ!」


 ここで私は曇っていたものに晴れ間が広がる。


「途方に暮れてまた働き出すかも」

「そうだ。ヤツ等は働かざるを得なくなる」

「でも黒幕から、それは阻止されるんじゃ?」

「十分に可能性が高いね。でも生活がかかっているのであれば、彼等は働く欲求を黒幕に訴えるだろう」

「もし黒幕が彼等の生活保護をしてきたら?」

「ん~、その可能性は極めて低い」

「なんで?黒幕からしたら、彼等に働いてもらったら困るわけでしょ?今までの計画が台無しじゃない?それに逆に彼等が黒幕を脅してくる可能性もあるよね?なんたって黒幕は王の失脚を狙っているわけでしょ?商人達からしたら打ってつけじゃない?」

「うーん、例え彼等が黒幕を脅したとしても、きっとそれはなんの効果にもならないよ」

「なんでよ?」

「………………………………」


 ここで何故かシャークスは口を閉じてしまう。そこが肝心なところなのに、なんで答えないのよ!


「…黒幕は最初に言った通り、それなりの大物だよ?王の失脚を企てるほどのね。そんな彼がそうそう窮地に追い込まれるような軽率な計画を立てているとは思えない。オレの予測では黒幕はなんらかの形を使って、商人達の仕事に抑制をかけるだろう。でもそれが却って好都合なんだ」


 シャークスはクスリと笑みを浮かべる。まるで勝算が見えているような意味ありげな笑みだ。


「好都合って?」


 私はシャークスの考えが全くわからず、首を傾げる。


「生活に困った彼等に救いの手を差し延べる。その代わりに、彼等から黒幕の正体を明かしてもらうんだ」


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