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第三話「イケメン騎士様の正体はイカれたド変態!」

「君、大丈夫かい?怪我はないかい?」

 

 心配した表情を覗かせる騎士様と目を合わせた瞬間!私の鼓動は一気に高鳴った。だって彼はとても背が高くて、彫が深い端正な顔立ち、女の私でさえ息を呑みぐらいの美貌の持ち主だ。

 

 そして長めの前髪と少し癖のある後ろ髪は煌びやかなプラチナブロンドの色。何より目を引くのが、吸い込まれそうなマリンブルーの瞳だった。

 

 それに、私が小さい頃から、ずっと憧れているハイレリーフの肩章が飾られた騎士様の制服(しかも最高の位の黒色!)をカッコ良く着こなした超イケメンだ!


 さっきまでは状況が状況で騎士様の顔をまともに見れてなかったけど、今はマジマジで見つめてしまう。こんな綺麗でカッコイイ人、見た事がないよ!

 

 でもずっと視線を合わせていると、顔に段々熱が込み上げてきて、視線を逸らしてしまう。頬が紅潮したのを隠すかのように、私は口を開いた。

 

「あ、あの何故、男達に絡まれていたのでしょうか?」

「あー、なんか彼等は間近で騎士を見るのが珍しかったみたいで、気が付いたら絡まれていて。騎士ってどのくらい強いのか実力を見せろって言われたよ」

 

 彼は悩ましげな表情をして、でも半ば呆れた口調をして答えてくれた。確かに騎士様って普段は間近では見られないのはもちろん、話もまともに出来ないもんね。ここぞとばかりに力を試したい野心を行動化しちゃったんだろうな。自分達の方が強いんだって夢見ちゃったんだね、ご愁傷様でしたぁ!

 

「オレは騎士なのに、全く出番がなかったな」

「そんな、最後は助けてくれたじゃないですか!」

 

 足を押し付けただけで相手をノックアウトにさせちゃうなんて、ある意味凄い。

 

「言い訳に聞こえるかもしれないけど、あまりに君の凛々しい姿に目を奪われていたんだ」

「え?」

 

 騎士様は男性なのに、なんとも言えぬ艶めかしい表情を浮かべて言われたものだから、私は瞠目としてしまう!

 

 ―――今、なんと?

 

 私に目を奪われて…と?彼の言葉を心の中で再度繰り返すと、私はシュボボボ~とお湯を沸かしたヤカンのように、顔から湯気を放散させた。そんな私の様子を見てか、さらに騎士様は…。

 

「お礼をさせてくれないかな?」

「そんなお礼なんていいで……え?」

 

 私が謙虚に胸元で右手を振って、お断りをしようとすると、騎士様はいきなり、その手を握って…?目の前が暗くなり、私の唇にそっと柔らかい感触が当たっていた。

 

 ―――え?え?これって!?

 

 目を大きく見開き、状況を把握した時には騎士様の唇は私から離れ、彼は柔和な笑顔を見せていた。

 

「本当はもっと大きなお礼をしたかったけど、ここじゃ出来ないからね」

「も、もうお礼は結構ですっ」

 

 ―――もっと大きなお礼って?しかもさっきのチュー、私は初めてだったんですけどぉ!

 

 触れられる前から顔が真っ赤だったのに、もう完全な茹でタコウインナーですよ!私は恥ずかしさのあまり騎士様からの視線を逸らし、俯いてしまう。でもまたしても騎士様から意外な言葉が落とされたのだ。

 

「そうはいかないよ。必ず、また君にお礼しに会いに行くから」

 

 そう伝える騎士様は意味ありげな笑みを浮かべ、スマートに身を翻し、私に背を向けた。そして最後、顔だけこちらに向けて、

 

「じゃあね、スターリー」

 

 軽やかな足取りをして、私から去って行ったのだった…。

 

 ―――あれ?どうして私の名前?

 

 *★*――――*★* *★*――――*★*


「はぁはぁはぁはぁ」

 

 ―――ど、どうしようどうしよう!!

 

 ガチでキモイ!ド変態の騎士様は最高潮に息を荒くして、私に熱い視線ビームを発射していた。こっちは焼け焦がれそうだ!私は完全に目が潤み切り、視界が霞んでいた。

 

「…スターリー」

 

 愛おしむように名を呼ばれ、再び頬に手を添えられる。

 

 ―――ひぃぃぃぃ!今度はなにをする気だ!?コンチキショ―――!?

 

「お願いだ」

 

 ―――なにをだ!?

 

「早く…」

「!?」

「オレを…」

「!?」

 

 ―――も、もしかして!?

 

「罵ってくれぇえええ――――――!!!!」

 

 ―――やっぱソレかぁぁああ!!!!

 

 貴様のせいで恐怖に煽られ、声すら出ないんじゃぁぁああ!!それなのにどう罵れと言うんじゃぁぁぁぁ!!このクッソタレ―――!!そんな私の心の雄叫びをヤツはフルシカトし、徐々に顔を近づけてきた!

 

「唐突過ぎたかな?」

 

 今更気付いたか!!唐突どころじゃねぇぇ!!瞬殺レベルだぁああ!!

 

「まずは深めていく事から始めた方が良かったかな?」

 

 ―――はい?なにを深めると!?

 

 私はヤツの言う意味を把握出来なかった。のは束の間、気が付いた時にはヤツは私の顔へと近づき…さらに?

 

 ―――!?

 

 暴走MAXとなり、私の寝巻の裾の中に手を侵入させてきた!深めるってこういう事だったのかぁああああ!!

 

「一緒に昼間のお礼も払うよ。オレの躯すべてでね♪」

 

 イッヤァァアアアア―――――――!!はやまらないでぇぇええ!!!!私は刹那、三途さんずの川が流れる映像を目にした。間違いない、お迎えが来たのだ。父と母、そして兄達よ、先立つ娘(妹)をお許し下さいぃぃぃぃ!!!!


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