第二十九話「新たな調査の始まり」
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今回からまた調査が戻って参ります!どんな調査が待っているのでしょうか?
「さて今日から、また新たな調査を始めるよ」
シャークスがキリッとした真面目な表情をして伝える。私は今、シャークス、ザクロ、クローバーさん達と、地下の応接間に集まり、例の調査の打ち合わせに入ろうとしていた。
しかし…こうやって改めてシャークスを客観視すると、美形騎士様だよね?私は対面に座っているシャークスの顔をマジマジと見つめる。完璧なパーツの端整な顔立ち。それに、とても誠実そうに見える。
が!実際はド変態ドM騎士!結局この間の自害事件からシャークスの変態行為はなくなった………なんて事は全くない!あの時、確かにシャークスは一言も「変態行為をやめる」とは言ってなかったもんね。
むしろ「オレに愛されたら、諦めて君もオレを愛してね❤」って、ちっとも自分の変態ぶりを反省する素振りは見せず、無駄に愛をぶつけてくる。どなんしてド変態ドMの貴様を愛せと言うんじゃ!
だけど、また下手な動きをすると、この間みたいな度胆を抜かさせる行動をされたりするだろうから、とりあえず、今のところは耐えているよ。ヤツの変態行為にね!でもやっぱキツイ……。
「はぁー」
私は無意識に深い溜め息を吐いてしまっていた。その様子を見たシャークスが…。
「スターリー、どうしたの?もしかして、調査の事を心配しているの?」
「え?そうじゃないけど」
「この間の失態をまだ引きずっているんじゃないのか?くよくよとねっちこい性格だ」
私が答えた後、彼の横にいたザクロが口を割って入ってきた。
「はぁ?」
私は思いっきし、しかめっ面をしてヤツを睨む。
「ちょっと!誰が失態を引きずっているって?そもそもアンタはあの時の調査で、なにしてくれたってのよ?ただ人の様子を見ていただけなのに、そんな謂れないわ!」
あったまきたから、ピシャリと言い返してやる。
「オマエなんかに不埒な行為をした輩共をコボコにしてやった」
「それってやらなくてもいい行為でしょ!調査に貢献する内容ならともかく、なに偉そうな言い方してんのよ!」
無駄に偉そうな態度をして言うザクロに、私はさらに鋭い突っ込みを入れた。すると、ヤツは眉を潜め、
「調査に失敗したオマエに言われたくない」
「なんですって!」
ドッカーンと怒りに噴火した私はその場から立ち上がって、ヤツに食ってかかろうとした。
「まぁ、二人共落ち着け。過ぎた話をどうこうよりも、これからの話に耳を傾ける方が利口だ」
「そうだよ」
透かさず、クローバーさんからの正論にシャークスが賛同した。私は二人の言葉に大人げなかったと反省し、腰をかけた。ザクロも目を細めて無言でいるところをみると、私と同じ気持ちになったのかもしれない。
「今回はどんな調査をするの?」
私は最初の本題へと話を戻した。その言葉にシャークスはシリアスな表情を見せ、淡々と話し出す。
「今回は第二の事件を起こした商人と漁師から情報を得ようと思っている」
「それって、前回みたいにお酒の力を借りて?」
「いや、今回は別の方法で行う。もっと確実な情報を得る為に、深い調査に入ろうと考えているよ」
「深くって?」
「ん」
シャークスは何故か一瞬間を置いた。
「スターリー、ザクロと一緒にある場所へと行って欲しいんだ」
「へ?」
ザクロって、この女嫌い潔癖ヤロウと!調査自体がややこしいものなのに、こんなヤツなんかと行って上手くいくわけないじゃん!
「ある場所って何処よ!」
思わず八つ当たりをするような罵声を上げてシャークスに問う。
「カジノだよ」
「カジノ!?」
シャークスの答えに私は絶句した。全くの予想外の言葉に刹那、思考がショートした…。
………………………………。
硬直している私と共に、重たい空気が降りる。
「この女、まさかカジノを知らず固まっているのか?これだから田舎娘は」
その空気を打破したのはザクロだ。ヤツは呆れたと言わんばかりに、深い溜め息を吐いた。
「カジノとは賭博場の事だ」
「お金を賭けて勝負するゲームの場所だよ!」
ザクロの言葉を鵜呑みにしたクローバーさんが補足してきて、それがまだ難しい言葉だと思ったのか、シャークスがさらに、ちょ~わかり易い説明を加えてきた。
「カジノぐらい知っているわよ!ルーレットやブラックジャックといったゲームを行うギャンブルの場でしょ!バカにしないでよね!」
いくら田舎に住んでいてもカジノの意味ぐらい知ってるっての!コイツ等、揃いに揃ってバカにしてあったまくる。
「知っていたのか。だったら、紛らわしい態度を取るな」
ザクロは至って不快そうな口調をして吐いた。
「アンタが勝手に勘違いして言ったんでしょ!カジノに行けなんて突拍子もない事言われたら、普通は呆然とするわよ!」
「オレは別にしなかった」
私の言葉にザクロは反論してきた。
「アンタは普通じゃないからね」
私はここぞとばかりに言い返してやった。
「オマエと一緒というのが虫唾が走ると思ったけどな」
「それはお互い様だっての!」
あー言えばこー言うザクロに、私は食ってかかった。
「結局、言い合いに戻るのか?本当にこの二人に任せて大丈夫なのか?シャークス?」
私とザクロの様子を見ていたクローバーさんは呆れて物が言えないという表情をシャークスに向けて言う。
「まぁ、今回の作戦はザクロが一番適任だと思うし、スターリーには騎士への道を開いてあげる為にも頑張ってもらわないと。それに今回の調査が上手くいけば、黒幕の名が上がるかもしれないしね」
「え?」
ギャーギャーとザクロと言い合いをしていた私だったけど、シャークスの意味ありげな言葉に思わず口を噤った。