表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/75

第二十二話「変人黒騎士達とミッション開始」

「これからの調査だけど、今日からある場所へと聞き込み調査を始める。それによって、おのずと黒幕を暴く証拠を掴んでいくだろう」


 シャークスは真剣な表情をして、これからの仕事について話し始めた。私達は中庭から宮殿のある応接間へと移動をした。調査の話は極秘で外で容易に話せる内容ではないのだ。


 そして今回から調査方法が変わる。今まではシャークスと二人だけで礼拝堂や修道院、はたまた大聖堂といった祈りの場所へ訪れては、館内を見て回るだけで、これといった大きな手掛かりは掴めていなかった(パシェナさんの件は相変わらず不明)。


 新たな方法で調査の進行に希望が見えるかと思いきや、私の心は廃人化していた!今回から新しい仲間が増えたのだ。情報収集の為、人数が多い方が事が早く済むのはわかる。しかし、その一緒に調査をする仲間に問題があるのだ!


「さっきからこの女、無反応だが理解出来ているのか?頭が悪くてついてけてないんだろ?」


 ほら来た!変人その1!「ザクロ・シェカラート」。ワインレッド色の瞳と髪をもち、タラシそうに見えて、実は大の女嫌いときた潔癖の黒の騎士コイツはなにかと暴言を吐いては人を不快にさせる天才だ。今も私の事を平然として頭が悪いと言い放った。こっちだって貴様が視界に入るだけで、噴火しそうなんだからな!


「しかし、思ったより胸は大きかった」


 変人その2!「クローバー・グラブ」。短髪の黒髪でガタイが良く、如何にも騎士様らしい雰囲気をもち、硬派に見える……みてくれはただの騙しだ!実際のヤツは多くの女性を食い物にする超タラシの黒の騎士なのだ。その性癖は無意識にセクハラをしてくる要注意人物!


「なんでスターリーの胸の大きさを知っているの?それは目ん玉を抉りだす刑に値するけど?」


 変人その3!「シャークス・トゥース」。出会ったその日の夜に、人が寝ているベッドへ真っ裸で侵入してきた恐ろしいド変態男!しかもバイオレンスを受けると快感と喜ぶドMでもある!そんなおぞましいヤツの正体はなんと黒の騎士様の「長」なんだ!これなにかの間違いですよね?って、今でも突っ込みたくなるよ。


 なんでこんな変人達が揃いも揃って、上位の黒の騎士様が務まるのか不思議で仕方ないし、なによりこんなヤツ等と一緒に調査するなんて真っ平ゴメンだ!と、叫びたいところだけど、なにせこの調査を無事に終えれば、私は念願だった女騎士一号への道が開ける。


 あ~自分の夢の為に多少の困難は我慢よ、スターリー!私は変人共に囲まれる中、前向きに気合いを入れ直した。


「シャークス、ある場所に聞き込みと言っていたけど、何処でそれを行うの?まさかお祈りの場所とかって言わないよね?」


 これ以上、変な突っ込みが入らない内に、私は本題へと話を促した。向かい合せに座るシャークスの表情がフッと真顔に変わる。


「うん、とりあえずは祈りの場所には行かないよ。今回は最初に事を起こした貿易船の乗組員達へ聞き込みをしようと思っている」

「乗組員?彼等は容易に話をしてくれない筈じゃ?」


 私はシャークスの答えにすぐ様、突っ込み返してしまった。だって起きてもいない荒波が起きたと虚言をした彼等だよ?以前、問い詰めても一向に嘘を認めなかった彼等が今更真実を話すとは思えない。


「そうだね。真っ向に話をしても彼等は話さないだろう。だから酒の場を借りて暴露させる」

「それはイイ提案だ」


 シャークスの提案にザクロさんが賛同した。


「でしょ?」


 得意げと言わんばかりに微笑むシャークス…には悪いけど、


「でもいくらお酒が入っていたとしても、みず知らずの人に話すかな?」


 またもや私は懸念事を口に出した。


「それも考えられるね」

「じゃぁ、どうするの?」

「それこそスターリー、君の出番じゃないか」

「はぁ?」


 私は思いっきし面食らって、シャークスをガン見する。どういう意味かさっぱわからんけど?……というかめちゃめちゃ嫌な予感がする。そんな不安な私とは反対にシャークスはニヤリとした表情を見せた。


「君には酒場のウェイトレスのフリをしてもらう」

「なにそれ!」

「しかもウェイトレスの制服を着てね♪」

「はぁぁああああ!?」


 あまりに予想外の事柄を叩きつけられて、私は素っ頓狂な声を上げてしまった。


「いちいち反応が煩わしい。見ていて不快だ」


 今の私の反応が癪に障ったザクロは口を挟んできた。驚いているだけなのに、この言い草!足と手を組んで態度もデカいし、こっちは貴様の存在が不快なんじゃ!


「まぁまぁ、ザクロ。オレの婚約者なんだから、辛口はよしておくれ」


 シャークス…フォローしてくれるのはいいけど、なんで私がアンタの婚約者になってんの!その妄想で話をする癖なんとかしてくれっての!


「それに、この制服姿のスターリーを見れば、ザクロでも彼女にキュン死にしてしまうのは間違いないしね♪」

「「は?」」


 私とザクロが同時に声を漏らした。突然どっから出したのかシャークスは女性物の洋服を目の前へと出した。それは黒のワンピースとフリルの付いた白いエプロンドレスであり、同じくフリルの付いたカチューシャまで付いて、いわばメイド服じゃないか!さらに、その服は袖がパフ・スリーブとなっていて、スカートはクリノリンデザインのマイクロミニだったのだ。


「なにそのコッテリのブリブリは!」


 私は口をポカンとさせながら、シャークスに突っ込んだ。すると、ヤツはケロッとして答えた。


「うん、だからね、これがスターリーの着るウェイトレスの制服だよ❤」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ