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第二十一話「イケメン黒騎士は変人だらけ!?」

 私は状況を把握出来ず、完全に思考が停止していた。何故、私は数分前に初めて出会った黒の騎士様の懐に包まれているのでしょうか?しかも、その騎士様は一見女性には興味がなさそうな、とてもクールで硬派な方だと思っていたのに…。


 そんな彼から私は熱く抱き締められ、しかも私の温もりを噛み締めると言わんばかりに、顔を左右に振られていた。一体、硬派な騎士様はなにをされたいのか?私の理解出来る範ちゅうを超えていた。


「クローバー、女が固まっている」


 暫しの清閑な空気が流れた後、ふと潔癖騎士が突っ込みを入れてきた。クローバーというのは、きっと私を抱擁している、このセクハラ騎士の事だろう!私はヤツの言葉に停止していた思考を再起動させた!


 ―――はぁぁあああああ!?


「なに勝手に抱き締めてんのよ!こんのセクハラ騎士め!」


 私は渾身の力を込めて、セクハラ騎士を押し退けて離れた。彼はケロッとした表情をしていて、悪そびれた様子がない!なんだよなんだよ、このセクハラは!見た目は硬派でさっきまでの潔癖騎士との会話からしても誠実そうな感じだったのに、なんで突然セクハラに豹変してんのよ!


「セクハラではない。君の傷を癒そうとしていただけだ」

「なにが傷の癒しだ!初対面の女のコに対して、許可なしに触れてセクハラのなにものでもないわ!」

「触れるといっても、まだ肝心な場所にはどこも触れてはいないではないか。それをセクハラというのは話が誇張され過ぎている」


 セクハラ騎士はいけしゃあしゃあと口答えをしてきやがったよ!


「なんなのよ、貴方は!肝心な場所ってなに考えてたのよ!」

「なにって…」


 そう言うセクハラ騎士…なんとぉぉおお!私の左胸をガシッと掴んできやがったぁぁあああ!


「きゃぁぁあああ!なにするのよ、このセクハラ変態騎士!!」


 私は反射的に叫んだ。


「さっきから煩い女だ」


 こんなセクハラを受けている私を見て、潔癖騎士は煩いと言いやがった。なんなのよなんなのよ、このおかしな黒の騎士達は!私が目を潤ませて目を瞑った時だった。


「スターリー?」


 聞き覚えのある甘い声に名を呼ばれて、私はすぐに目を開けた!そして声の主の姿を目にした私は…。


「シャークス!」


 私は助けを求めるようにシャークスへと駆け寄って彼に抱き付いた。私の様子にシャークスは目を大きく見開いて、


「どうしたんだ?スターリー、なにがあったの?」


 子供を宥める親のように優しい声で問うシャークスに、私は涙腺が緩んで、さらに抱き付こうとした瞬間!


「は?」


 どさくさに紛れてシャークスの右手が私のお尻を愛おしむように、ナデナデしているんですけどぉぉおおお!もうなんなの!


「は、離れろ、この変態!」


 私はシャークスから無理に離れた。


「え?でもスターリーから抱き付いてきたよ?」


 シレッとして答えるシャークスに私はタガが外れた。


「もう、なんなのよ!黒の騎士達は!揃いも揃って(無駄に顔はいいけど)変人ばかり!」


 私の言葉にヤツ等は反応を示さない。その態度にさらに私はカチンときた!


「シャークス、この品のない女と知り合いか?」


 私の噴火中にも関わらず、潔癖騎士がシャークスに問いていた。


「あぁ、このコが例のオレのフィアンセだよ❤」

「奇特な悪趣味だな」


 シャークスの答えに潔癖騎士が深い溜め息を吐きながら吐露した。奇特な悪趣味って!どんだけ悪趣味だって言いたいんだよ!こんな潔癖騎士に言われたかないっての!


 しかもシャークス、なに勝手に私をフィアンセとして紹介しとんじゃ!しかも例のって事は前からそう話をしていたって事かぁぁああ!どげんしたら、そんな勝手な発想が生まれるんじゃ!

 

「シャークスの女だったのか。食い損ねておいて正解だったな」

「クローバー、手当たり次第に女性に手を出すのは良くないって言っているだろう?もし、オレのスターリーに手を出していたら、さすがに君でも生首をガーネット宮殿の尖頭にかざすところだったよ」


 おいおい、サラリと恐ろしい事言うなよ!ていうかセクハラ騎士、やっぱ心底セクハラ野郎だったのか!誠実そうな振る舞いを見せておいて裏では女性を食いものにしている。片や潔癖騎士はタラシそうに見えて実は大の女嫌い!極めつけにシャークスはド変態ドM騎士!!


 黒の騎士様は騎士の中でも上位に立つ格式ある方々でしょ!それが実際はこんな変な人達で成り立っているって言うの?もうどこまでも黒の騎士様のイメージを壊せば気が済むのよ。自分が目指す黒の騎士への夢がグラついた瞬間だった。私がゲンナリとしていると、


「スターリー、彼等を紹介するよ」


 頼んでもいないのにシャークスが変人騎士達の紹介を始めようとしていた。


「まず、彼はザクロ・シェカラート」


 シャークスは最初潔癖騎士から紹介した。紹介されたヤツは興味なさげにそっぽ向いてやがる!


「そして隣がクローバー・グラブ」


 次にセクハラ騎士を紹介する。彼は軽く微笑んでいた。


「二人共オレと同じ黒の騎士だ。それに片腕とも言える大事な仲間だよ」


 片腕というぐらいだから、長のシャークスと同じぐらいの身分で?あ~、こんな変人達が何故黒の騎士様のトップに?私はみるみる眉間にシワを寄せていると、


「スターリー、彼等にも今後調査に協力してもらう事になったよ。これからまた深く介入していく中、オレ等だけでは限度があるからね」


 にこやかに伝えるシャークスに対して、私は口がポカンとしてしまう。だってだってだってだよ?この潔癖騎士とセクハラ騎士と一緒に行動を成せと?そんなの違う意味で前途多難じゃんかぁぁあああ!!


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