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第二話「腐った根性の輩達と大奮闘!」

「おいおいおいおい、お譲ちゃんよぉ~、正気なん?こっちは刃物を持った5人の男なんだぜぇ~?」

 

 口を開いた輩は多分、かしらかな?どうみても三十路前のいい年なのに、やたら口調がチャラくて耳障り!見た目も金髪のロン毛をルーズな結びで束ねていて、格好も貴金属ジャラジャラで鼻や口にまでピアスをしている。

 

「正気よ!卑怯じゃない、刃物を持った複数で一人に寄ってたかって!」

「正気だって~。でもこのコ、可愛いずぁん。スリスリ頬ずりしちゃいたいよぉ~ん♪」

 

 今、このキショイ言葉を発したのは、チャラ男の横にいる優に体重100kgは超えているであろう眼鏡をかけたオタク系。無駄に息を荒くし、恍惚な表情を浮かべて、こちらを見ている?キ、キモチ悪ししっ!


 奮起していた私も顔が引き攣って、微妙に後ずさりしちゃったよ。でも怯んでいる場合ではない。私は棒切れをギュッと握り締めて、気合いを入れ直し構えた。

 

「正気って言われちゃ~な~。お譲ちゃん、後で後悔しても知らないよん?おい、オマエ等!お譲ちゃんの相手をしてやんな!」

 

 チャラ男の命令で、残りの3人の男達が私の前へと立ちはだかった。なんの特徴もないただの男達。多分、私と同じぐらいの年に見えるから、チャラ男の子分なんだろうな。刃物を突きつけられ、私の緊張は高まる。が!

 

「本気で刺しちゃダメだよ~ん♪動きを封じ込めてくれれば、後はボクがそのコの全身をスリスリとバイブレーションしちゃうんだから♪」

 

 キ、キッモ――――――イィィ!!またオタクが口挟んできたぁああ!!しかもバイブレーションってなんだよ!?やたら変に発音良かったし!スリスリと振動を与えようとしてんかい!?もうキモイ!キショイ!!全身からの身震いによって血の気が引いたけど、キモオタの言葉で一気に緊張感が解れた。

 

 そして3人の子分たちは私目掛けて疾走してきた。私は彼等の動きを瞬時に把握する。どうみても彼等は私をとっ捕まえようと腕を振り上げて向かっているようだったから、私は彼等に捕まる寸前に素早く腰を落とし、棒切れを振り被り、思いっきり水平に振り下ろした。棒切れは向かって左側の男の足元に強打し、鈍い音が鳴った。

 

「うわぁぁぁ」

 

 その男は苦痛のあまりバランスを崩して、咄嗟に隣の男に身を投げた。

 

「いって―――!!」

「骨が折れたぁ!!」

 

 2人の男から叫び声が漏れた。さすがに骨は折れてないって!でも相当な痛みがあるみたい。こっちも必死だったから手加減が出来なかったや。そして、かろうじて悪影響がなかった右側にいた男が新たに襲いにかかってきた。

 

「この女!よくも小癪なマネしやがって!」

 

 彼は最低な事にナイフを突きつけてきた。男が近づくと私は身を翻し、背を向けると同時に相手が突きつけてきた右腕を渾身の力で引っ張り、そのまま背負い投げをした。

 

「うわぁぁぁ」

 

 男は宙で身を翻し、派手な音を立てて地に落ちた。呆気なく気絶をしている。男達の無様な姿を目にして、チャラ男は言葉を失い、焦燥感と動揺する姿を見せたが、すぐにキモオタに命令を下した。

 

「おい!チャールズ、次はオマエが行け!」

「え?ボクなん?なんかあの子強くて、ボクキョワイよ~」

 

 キモオタにキョワイと言われるのは心外だけど、何よりオタの名前がチャールズって!高貴な名前だけあって、ヤツの風格に不似合いだっつーの!

 

「いいから行け!でないとオマエも後でぶっ殺すぞ」

「うぅ~、怖いこと言わないでよ、ウィリアム」

 

 おいおい、チャラ男もウィリアムって、なんでこんな奴等に高貴な名前がつけられたんだ!名前相応な行いをしろっての!

 

「ゴチャゴチャ言ってねーで、早く行け!」

「わかったよぉ~」

 

 キモオタは意を決して私へと向かって来た!

 

「うおぉぉぉぉぉ!!」

 

 叫び声までキモイ!もう何から何までキモイィィ!しかし、キモオタは運悪く草に隠れていた石に足を掬われ、すっ転んで無様にうつ伏せに倒れたのだ。

 

 シ―――――――――ン。

 

 一瞬の出来事に、その場にいた人達みなが呆気に捉われ、閑散とした空気が流れた。そこにだ。

 

「うあぁぁぁん!!超痛いの痛いの痛いのぉぉぉ!!お母さぁぁぁん!!」

 

 キモオタが顔だけを上げて泣き喚き始めた。その姿は本当にキモイ!「痛い」んじゃなくて「遺体」になってくれっての!

 

「もうボクやだぁ~、お家に帰るぅぅー」

 

 早く帰ってくれよ!もう聞いているだけで、耳障りだし目障りだ!

 

「と、とりあえず、オマエはそこで休んでろや!」

 

 チャラ男は行き場をなくしたキモオタに致し方ない言葉をかけると、オタは急に威勢と気合いがしぼんだようでパッタリと眠りに入った。(多分フリ)

 

「お譲ちゃん、ヤルじゃ~ん?でも女に負けるわけにはいかないよん?男としてのプライドが許さないもんね~?」

 

 そう言ったチャラ男はナイフを突きつけてくる。

 

「女だからって甘く見ていると、足元を掬われるよ?」

 

 私はヤツの脅しに却って挑発させる発言を投げてやった。確かに子分の3人とキモオタと違って、チャラ男には隙がない。確かな自信があるのはわかった。だけど、女騎士を目指している私としては怯むわけにはいかない!どんな時でも毅然たる振る舞いをしなければ。

 

 暫しの睨み合いが続き、とうとうチャラ男が襲いにかかってきた!私は棒切れを持ち替えし、身を構える。疾走如く俊敏な動きで向かってくるチャラ男はナイフを振り上げてきた。

 

 そして私は……!

 

 次の瞬間、目にした光景はチャラ男の顔面に大きな足が押し付けられていて、ヤツの動きが制止していた?

 

「フンガッ!」

 

 声にならない呻きを上げ、チャラ男はその場にドサッと倒れる。どうやら騎士様の長い脚の片足が上がり、チャラ男の顔面に直撃させたようだった。

 

「調子づいてんのも大概にしろっ!」

 

 騎士様は地で這いずくまっているチャラ男に冷めた目と口調をして吐いた。そしてチャラ男が全くと動かなくなると、騎士様はすぐに私の方へと寄ってきた…。


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