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第十八話「苦肉の策は成功を治るのか!?」

 激しい紛争のデモが起きた翌日、デモンストレーター達は負傷者を出したせいか、今日は音沙汰を見せていなかった。でもシャークス率いる黒の騎士様達は今後のデモ対策について緊急会議が入り、それが長引く可能性が高いとの事で今日の調査も延期となった。


 ―――しかし、外出がないとなると、やる事がないから困るんだよね。


 私は深い溜め息をつく。今は自室で一人ベッドで仰向けになっていた。時間を持て余すと、色々と考えが浮かんでくる。デモや調査の事が一番気掛かりだけど、最大の難題は……やっぱシャークスだ!


 相変わらず、いや日に日に強まる私への凄絶な愛情攻撃。息を荒くして強行突破を成し遂げようとする、あの異常な彼の偏愛ぶりに何度心を廃人化させられた事か!


「宮殿の中には綺麗な女性ひとがたくさんいるじゃん!なんで私なの!」


 容姿、着飾りと共に美しく絢爛な貴婦人方、嗜み気遣いが完璧な侍女さん達と魅力的な女性は数多くいるし、それにシャークスのあの完璧なルックスなら、自分がなにもしなくても女性の方から寄って来るだろうに、なんでなんの変哲もない田舎娘の私に執着してんだろ。未だわからず謎々だっての!それを当の本人に聞いてみたら、


「宮殿内の女性達はしおらしく美しいとは思うけど、オレ的には魅力を感じないんだよね。オレはスターリーみたいに勝気で強いのコの方が好き……いや、愛しているんだ!」


 最後の言葉はどうでもいいとして、私って女性としての嗜みが欠けているって事じゃん?シャークスの好みがバイオレンスってのがヤバヤバだよね!それが強ければ強いほど、快感って、し・か・も「性的に」って言うんだもん!


 なんであんなんなの!あの容貌にそのド趣味って重罪でしょ!私は頭を抱え込むように顔を大きく振った。うぅ~と唸りを上げそうになるぐらい窮地に追い込まれたような感覚に陥った後…、


 ―――ん?


 ふと「ある事」を閃いたのだ!も、もしかして…。私はババッと上体を起こし、咄嗟の閃きを最大限に広げた。その考えはある希望への光となり、私の心をキラキラと輝かせたのだ。


 ―――これは絶対にイケるだろ!


 ほぼ確信をついたその「希望」に私は思わずニンマリとした!


 ―――さぁ、来い!シャークス!


 *★*――――*★* *★*――――*★*


「お帰りなさいませ!シャークス様」

「スーターリー?」


 長時間に及ぶ会議を終えた黒の騎士様の制服を身に纏ったシャークスは真っ先に私の部屋へと足を運んで来た。その彼に私は深々と頭を下げて、お迎えをした。私の姿を目にしたシャークスは目を大きく見張って、私の名を呼んだのだ。


「スターリー?どうしてそんな格好を?それに“様”って…」


 そう、彼は私のいつもと違う格好、口調、さらに仕草に戸惑っている様子を見せていた。今の私の格好は真っ白な襟付きのエプロンドレスに、頭にはホワイトブリムを付けて、いわば侍女さんの姿をしていたのだ。


 これで「様」を付けられたら、完璧にご主人様扱いだよね。それに口調も自分でもキモイッて思うぐらい、しおらしく女のコらしい甘い声を出して、シャークスの名を呼んだのだ。


 これぞまさに私が編み出した「希望」だ!シャークスはバイオレンスな女性が好きで真逆タイプには魅力を感じないと、ハッキリ言い放ったからね。しおらしく大人しい性格に変われば、私への興味がなくなるのではないかと思ったのだ!我ながらナイスアイディーア~❤私はシャークスの前まで行き、可憐に微笑みを浮かべ、


「さぞお疲れでいらっしゃいましょう?お食事になさいますか?それとも湯浴みに入られますか?」


 まるで本当の侍女さんのように問いかけた。


「スターリー、どうして侍女の仕事をしているの?それに君にはその口調はらしくないよ」


 シャークスは悲しげな表情をして私を見つめて言う。彼には悪いけど、私はしめしめと心の中でニヤリとしていた。


「そうですか?しかし、シャークス様は黒の騎士様の長でございます。これまで対等にお話をしていた事自体が、やはりよろしくないと反省をしまして、改心を致しました。これからはこのように敬意をもって、貴方様に接して参ろうと思っております」

「オレの身分の事は気にしなくていいって言ったよ?」


 シャークスは表情を深めて、再度確認をするように伝えてきた。


「そうは参りません。それに少しでもお役に立ちたいと思っておりますので、身の回りのお世話もして参ります」


 極めつけは家庭的な女性アピール。どうだ!ここまでしおらしい誠意を見せつけられたら、さすがのシャークスも執着心がしぼむに違いない。


「自分の事ぐらい自分で出来るからいいよ」

「遠慮なさらずに。まずはお食事になさいますか?それとも湯浴みに入られますか?」


 再び私は質問を投げた。


「うん、じゃぁ、まずは食事から頂こうかな」


 にこやかな表情をしてシャークスが答えた。よしよし、素直に答えたな。このままこの作戦を実行して、私への興味を払拭させよう。


「それではすぐに用意をいたしますね」


 私も笑顔で答え、部屋に食事を持ってこようと、その場から離れようとした時だった。いきなり、シャークスが私の腕を掴んで…?


「え?」

「今すぐに頂こう」


 そのまま私を自分の方へと引き寄せて、顔を近づけて来たのだ…。


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