第十話「何故このような事になったのか」
―――あぁ~、何故か話がとんとん拍子に進んでしまっているのは何故~。
私は頭をクシャクシャにしながら、悩みまくっていた。私がガーネット宮殿に足を運んでから、今日で4日目だ。田舎娘が王様の暮らす宮殿に4日間も滞在しているのか不思議だよね!それは私が一番思ってる事だもの。
そもそも事の発端は、あのド変態ドM騎士(でも無駄に超美形)のシャークスと出会った事からだ。彼がいい年をした不良軍団に絡まれていた所を助け、その夜、素っ裸で息を荒くした彼が何故か私の寝ているベッドに侵入してきて!?
助けたお礼は躯で払うとかなんとかで、私は初を奪われかけ!?そうそう、先日の初日に宮殿で起きた出来事が衝撃過ぎて(シャークスのセクハラで)聞きそびれていたけど、出会った初日の夜に私の初は奪っていなかったらしい。
私はそれを耳にした瞬間、安堵の涙を流したけど、次の瞬間に「君の初めてはオレが確実に貰うけどね❤」と、シャークスからキショコメを言われ、悶絶しそうにはなった。どうして次から次へと変態キモコメを発するのか!
あ、さっきから彼を「シャークス」と呼び捨てにしてるのは、本人から「様」をつけないで欲しいと言われているんだ。「様」をつけられると、他人行儀な扱いで淋しいと。呼び捨ての方が親しみがあって、恋人同士に思われ易いからと付加されて言われた時には、そりゃぁ絶対に呼び捨てにしないと決めていたのだが…。
ヤツは意地が悪かった。「シャークス様」と呼んでもシカトしやがったんだな。そもそも最高の位をもつ黒の騎士様に向かって呼び捨ても周りから見たら変に思われて嫌だったんだけど、この宮殿の中での生活は彼なしでは厳しいし、仕方ないから「シャークス」と呼ぶようにしたんだ。
それと、彼との会話はタメ語になりつつもあった。もち敬語を使っていたんだけど、あのキショコメに対応していると、もう敬語も煩わしくなって。「おやめ下さい!」→「やめてってば!」→「やめろっつてんだろぉ!!」と、まぁ、こんな感じで徐々に口調の変化が見受けられるように…。
シャークスも敬語は使わないで欲しいって言っていたし、もう今となってはタメ語も自然化しているのが怖いな。なにせ騎士様と接せるのって、私の住んでいた村じゃ考えられないし。まさか彼を助けた事柄から、こんな展開になるとは夢にも思わなかったよ。
私は今、ガーネット宮殿で用意された一室にいた。何故私がここに滞在するようになったのかというと…。例のシャークスからのお礼の内容が、ここ首都ジョンブリアンで起きている不可解な出来事の調査をし、黒幕が誰かを暴き、その者の目的を突き止めたら、国王様に私を女騎士一号へと推薦してくれると言うのだ。
なんか上手く交換条件を出された感じだよね。でも今はそれしか女騎士になる道がなくって、私は悩みに悩みまくって、その条件を呑んでしまったのだ!。調査といっても私の住む村は首都に近い方とはいえ、毎日ここまで通うのは厳しかった。
自分の馬を持ってはいないし、歩いて来るなら片道2時間半はかかってしまう。(首都の入口から宮殿までが長いのだ!)そしたらシャークスが調査の仕事をしている間は宮殿内に滞在すればいいと言い出して!?
「大丈夫だよ。スターリーは成人しているから、王宮で預かる事が出来るし」
「そういう問題じゃありません」
「でも調査の仕事に毎日片道2時間半もかける気?」
「それは…」
「早く事件を解決するようにオレも努めるからさ」
って言われて、結局彼の言う通りになっってしまったんだよね。そうそう、シャークスと出会った初日、なんで私の名前を知っていたのか、それは兄達から私の事を聞いていたからみたい。でもあの私の部屋に侵入した謎は未だわからない!マジキョワシシ!
「あ~あー」
シャークスってば「早く事件を解決するようにオレも努める」とかなんとかカッコイイ事言ってたけど、この4日間放置プレイですけどぉ~?私、本当にな~んにもやる事がなくて、この部屋にいるだけ。監禁されたみたいで超退屈。でも下手に宮殿を歩く事も出来ないし。変にそそう起こして牢獄行きになりたくないしさ。
一体なにをどうやって調査をすればいいのよ!そもそも国王絡みの調査なんて、本当に私なんかで役立つ事が出来るの?その不穏な事件というのも全貌を明かされていないし、先の事を考えると、本当に生い先真っ暗だった。いつまで監禁されてなきゃならないのよ~。私は躯を動かさなきゃ死んじまうってぇ!
「シャークスのバカァ!放置プレイし過ぎだっての!」
私は部屋のベッドで仰向けになって叫んだ時だった。
「え?」
人の気配を感じ、咄嗟に上体を起こした。目の先には見覚えのある男性が立っていた。
「シャークス?」
いつの間にコイツはいたんだ!黒騎士の制服を纏ったシャークスだったのだ。
「ノックなしに入って来ないでよ!着替えでもしていたら、失礼とか思わないわけ?」
私は一発目から罵声を浴びさせてしまう!
「ん~❤今日も元気があっていいね。オレのハートにズキュンだよ♪」
「ちょっと、そんなどうでもいい話はいらないから、人の話を聞きなさいよ」
「だってこの部屋、オレのなのになんでノック?」
「今は私が使用しているんだから、アナタの部屋ではありません」
そう、この部屋は元々シャークスのだった。私を宮殿に置かせてくれると言っていたから、部屋を用意してくれているんだって思ったら、いきなりヤツの部屋に案内されて!しかも一緒の部屋で過ごそうとするもんだから、全力で追い出したんだけどね。
「淋しい思いをさせて悪かったよ」
「は?」
ヤツはまたしても私の話をシカトして、次の話題に入り出した。それも意味プーだけどさ!
「放置プレイし過ぎって叫んでたから、淋しかったんでしょ?やっぱ一緒の部屋で寝るように…」
「絶対にしない」
「変な輩が君を襲って来たら大変だ。オレの心配をわかってくれ」
「アナタが一番大変で心配事なんですってば!」
「はぁ~」
「なんじゃ、その溜め息は!」
全くいい大人が!