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第一話「ド変態ドМ騎士様からの襲来」

 何故、私の目の前に昼間出会った「彼」がいるのでしょうか?そう……私のベッドの上に!いや正確に言うと、私の身の上にいるんだぁああ!しかも裸体だよ!下もなにも穿いてなくて、赤裸々なんですけどぉおお!!

 

「はぁはぁはぁ」

 

 ―――ヤ、ヤバイ、コイツ!


 相当息を荒くして、まるで私を獲物扱いとして見ているんだ。今すぐにも食い千切りそうなイカれた目と恍惚な表情を浮かべている。コイツはいつ私の上に来たんだよ!


 家には鍵がかかっていた筈だから不法侵入だよね!?私はベッドの上で仰向けに寝ていて、ふと目が覚めたら彼がいたんだよ!部屋は小さな灯りで薄暗いけど、かろうじて彼だと認識できる明るさがあった。

 

「はぁはぁはぁはぁ」

 

 ―――さっきよりも息が荒くなっている!なんなんだよ、なんなんだよ!こ、怖い、怖すぎる!そして荒い息がキモ過ぎる!


  昼間会った時は長身で絢爛たる美貌に、プラチナブロンドの少し癖のある髪、吸い込まれそうなマリンブルーの瞳、騎士様のカッコイイ制服を着こなした超イケメンで、ときめいた相手だったけど、今の彼はただのド変態だ。

 

 私は完全に表情が固まった。いや、表情だけじゃない、躯も心もすべてが目の前のヤツの気色悪さに犯され、人間としての色味を殲滅せんめつさせていた。そんな私の心とは裏腹にヤツは意味ありげな笑みを浮かべて口を開いた。

 

「昼間見た時は凛々しかったけど、寝顔も可愛いな♪ゾクゾクしちゃう♪本当は見ているだけで去ろうと思ったんだけど、我慢出来なくなって思わず身を乗り出しちゃった♪」

 

 ―――ひぃやぁぁああ――――!!


 身を乗り出し過ぎだろぉおお!なんか下からおっ勃っているモノを感じるんですけどぉおお!犯罪だ!重罪人だ!真っ裸で異常だ!狂気じみた悪魔だ!逃げ出したいのに、逃げられる隙間もないぐらい接近されているし、躯が恐怖心に襲われ、動かす事が出来なかった。

 

「ひぃぃぃぃぃ」

 

 そんな私をいいことに、ヤツはとうとう私の頬に手を添えてきた。私は恐怖のあまり叫んでしまうが、すぐにヤツの手で口を塞がれてしまう。

 

「ふんぐぅぅぅ」

 

 このまま確実にヤツに襲われると感じ、恐怖のあまり目が瞬時に潤んできた。これが私に出来る唯一の抵抗だった。それなのに、それなのに、ヤツは!

 

「あぁ~、泣かないでくれ。泣く姿の君よりも怒っている姿の方がそそられるんだ。だから泣かないでくれ。泣き止んでくれ。そして今すぐにでもむしゃぶりつきたい、その可愛い顔でオレを罵って欲しい!」

 

 イッヤァァアアア―――――――!!神よぉおおお―――!!何故、私を見捨てたのですかぁぁああああ―――――!!!!


 *★*――――*★* *★*――――*★*


 私の名はスターリー・クランベリー。首都ジョンブリアンから数キロ離れた小さな村に住む20歳の女のコ。村は至ってのどかで平穏。私は生まれた時から、この村で過ごしていて、ここが大好き。


 首都から近いけれど、首都の喧騒が嘘のように静かで、のどかな村なのだ。そして豊潤な土地と水に恵まれ、作物も良く育ち、人も家畜もすくすく育つ、とても良い環境だ。

 

 私はクランベリー家の末っ子。なんと上に9人もの兄がいる。そしてみな首都ジョンブリアンの国王様一族に使える騎士の仕事をしている。ガサツな兄達だけど、コレばかりは私にとって、いや一家にとって、とても誇りに思っている。王族に仕える仕事は格式が高く、有能でなければ就く事が出来ないもの。

 

 唯一、私だけが女子として生まれ、9人もの兄がいるせいか自然と男勝りがつき、少々女のコらしさに欠けている。お料理やお洗濯、縫い物や編み物といったものは好きだけど、どちらかというと躯を動かす力仕事の方が好きだったりする。そんな気質の為、秘かに女騎士一号を夢見ているんだ。


 外見はルビーレッドの瞳をもち、胸まで伸びた黒に近い紫色の髪をトップに束ね、元気はつらつとした容姿は性格とも合っていて私らしさが出ている。

 

 今日は母の使いで、首都ジョンブリアンまで足を運んだ帰りの事だった。雲一つない青空に、平和な日常を表す天気に気分は上々。でもその気分を覆す出来事が待っていたのだ。村に入る手前の森である光景を目にした。

 

「あ、あれは!」

 

 思わず声を漏らす。大きな樹木に座っている騎士様?の制服を着た男性と、彼の周りを囲んでいる、どうみても人相の悪い5人の輩達だった。しかも彼等は物騒な事に全員ナイフを持って騎士様に突きつけているが、逆に騎士様はなにも持っていないようだ。

 

 あれはリンチとも言える状況で騎士様の分が悪い。私は正義感からか気が付いた時には躯が勝手に輩達の前へと立ちはだかっていた。

 

「な、なんだこの娘!」

 

 輩の一人が叫んだ。私はそこら辺に落ちていた図太い棒切れを手にして、彼等の前へと構えた。座っていた騎士様は驚愕して立ち上がる。

 

「君は?」

 

 背後から聞こえてくるカッコイイ美声に思わず痺れそうになったけど、今はそんな事を悠長に浸っている場合ではない。私は騎士様に背を向けたまま伝える。

 

「微力ながら助太刀致します」


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