72話:協力
俺は、桐谷キリエと言う少女を探していた。おそらく、鍵は対になっている。篠宮姓の二人。東雲姓の二人。雨月姓の二人。そうなると、もう一組くらい会ってもおかしくないはず。狂ヶ夜や七夜などの珍しい姓で被ることはないから、おそらく桐谷キリエの苗字に何かあるはずだ、と言うのが、俺の出した結論だ。
「キリエ。いるか」
いつかのように、屋上にいるのではないかと思い、屋上に来た。すると、そこには、美しい銀髪の少女がいた。キリエだ。
「待っていたわ。雨月くん。鍵の一つ。そして、唄姫の子」
「なっ」
俺は絶句した。驚きのあまり言葉が出なかった。
「何で、それを……」
「色々と、ね。だからわかっているわ。貴方が、私に何を頼みたいか……」
分かっているなら話は早い。
「でも、あなた如き貧民が、私に何か頼むなんて一億年早いわ!」
え、ええ?!なっ、何で?
「いや、お前、状況を理解してるんだろ。この狂った世界を」
「正常に直すんでしょ?」
分かっててなんで?
「まあ、貴方が、どうしてもと頼むなら、協力しないでもないわよ」
「えっ、ああ、まあ、どうしても協力して欲しいんだが……」
俺は、頭を下げた。
「ええ。じゃあ、桐谷……、いいえ、希咲霧愛。貴方に力を貸すわ」
希咲……。哀子と対になっているのか?希咲姓が二人揃った。
「じゃあ、これで鍵が揃ったのか?」
「鍵は全部で八つ。鍵穴が一つ。そして、後は、歯車だけ」
歯車?
「鈴蘭の少女が持ってくる歯車を手に、祠の奥、扉を開けたとき歯車を持ちし鍵穴が歯車を戻し、世界は正常に戻る」
キリエの言葉。鈴蘭の少女?爛のことか?爛が歯車を持ってくるってことか?
問題は祠、か。祠の奥に扉があるのなら、祠の位置を特定しなくてはならない。俺は、信也に連絡を取った。
「祠?」
「そう、祠だ。その奥に扉があるらしいんだが」
俺の言葉に、暫し考え込む信也。
「もしかしてだが、これも【焉】とつながっているなら、ありえないことではないか」
信也が意味深な呟きをした。
「朱野宮家の地下に社があるんだ。その奥に祠があるかもしれない」
朱野宮家?ってあの朱野宮家か。
「その社は、俺たちと【焉】が戦った場所でもある。だから、可能性として、なくはない。そう考えれば、奴等があの社を知ってた説明もつくしな」
なるほど。じゃあ、爛が持ってくるって言う歯車を手に、そこに行けばいいのか。




