7話:オリエンテーション
翌日。今日から学園では本格的に授業が始まる……わけではなく、オリエンテーションだ。学園の案内。無駄に広い学園なので一日掛けて案内するらしい。
そもそも、俺が通う【私立響乃学園】だが、元々、それなりの歴史があるらしく、【響乃歴史研究会】なるものが発足しているほどである。
教室棟、教務棟、部室塔、業務塔、体育館、実技棟、教会など様々な施設を巡る。
教室棟は、その名の通り、教室のある棟だ。教務棟と繋がっている。普段授業を受けるのはここだ。
教務棟は、一棟丸々教師達の職員室となっていて、生徒はあまり立ち入りたくない場所である。
部室塔は、棟ではなく塔で、十二階建てで、各部の部室がある。この学園において、部活動の発足はわりと自由で何人もの生徒がいくつも部活を作っている。
業務塔は、購買部を大きくしたものと思ってもらえればいいか。様々な企業が業務として、物を売っている塔だ。ちなみに、だが、この学園の建物の中で一番高い建物である。なんとかと煙は高いところが好きと言う言葉の通り九澄は、はしゃいでいた。
体育館は、様々な競技用にコートがある。体育の授業では使わない試合用だ。
実技棟は、実習や調理などをするための棟。
教会は文字通り、教会だ。授業内容に、キリスト教について学ぶものがあり、そのときに使う。それ以外でも毎日礼拝を行う生徒もいるらしいが。ちなみに、それも部活である。
一日で案内するには無理があるが、何とか全て見終わった。しかし、位置関係を把握して気づく。このドジ教師、道間違えて遠回りしてたのをこっちが気づかないのをいいことに黙ってやがったな……。
「さて、皆さん、長時間ご苦労様でした」
にこやかな顔で言ったので、俺は、ボソリと、それでいて他のやつに聞こえるように
「お前が遠回りしなければ、もっと早く終わっただろ」
と言ったのだった。
「あ、あれ……。もしかして、雨月君知って……いえ、いえ、間違えてませんよ。ましてや遠回りもしてませんから!」
無理矢理誤魔化す紀乃。
思わずクラス中から溜息が出たのだった。
長引いた学園案内が終わり、閑散とした教室に俺はいた。
教室にいるのは、俺だけで他には誰もいない。随分と寂しい空間だった。
「さて、と」
俺は呟きながら、立ち上がった。そして、ゆっくり教室を出る。
不意に目端に女生徒を捉える。
何の変哲もない女生徒だった。強いて言うならば、その髪色が目立つことだろうか。鮮やかな銀髪。煌く銀色の髪は、風になびき、キラキラと光を反射する。
綺麗な髪だった。見とれていた。しかし、その女生徒は俺には気づかず去っていった。それにしても興味深い。後姿しか見ていないが、彼女は、一体誰なのだろうか。
その日、その後偶然会った良介に銀髪の女生徒について心当たりがないか聞いてみたが、
「銀髪?聞いたことがないなあ……。あっ、もしかして、お前の趣味か?確かに銀髪はいいよなあ~、ロシア系か?」
などとブツブツと呟きだしたので、俺は無視してその場を去った。
更新は不定期の予定です。