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狂った世界で  作者: 桃姫
プロローグ
6/82

6話:あいつの話

 寮の部屋に戻ると、俺は、ベッドに倒れこんだ。

 どうやら、俺は、ここでも普通の生活は送れないらしい。

「九澄と紀乃、か」

 特に九澄は、昔に縁がある人間だ。あの人と別れた後に、一般人として引き取られたらしいが、まさか、ここで会うことになろうとは。

 いや、よく考えてみれば、引き取り手は、そんな遠方にいるはずがないし、子供一人引き取れる家庭となると金持ちなのは必然だ。つまり、似た境遇のあいつが、この学園に居るのはさほどおかしな話ではない。

 それより紀乃だ。【PP】がこの学園にいるほうが納得いかない。この学園は確かに犯罪率が高いかもしれないが、その程度で【PP】が出張ってくるだろうか。それとも、【PP】の関係者かよほどの金持ちがいたのか。まあ、なんにせよ、【PP】は、あまり好きではない。


 まったく、運命の女神とやらは、何故、俺に苦難を押し付けるのか。

 そういえば、あいつがいつか、言ってたな。ここで言うあいつとは、前に名指しした誰かではなく、俺と九澄、そしてもう一人の妹弟子の師匠のことだ。

「この世には、敷かれたレールに乗るだけの奴と敷かれたレールから脱線して自分でレールを敷いていく奴がいる。さて、じゃあ、乗るだけの奴は、何故乗るだけかと言うと、楽だからだ。考えなくとも、そのまま進むだけ。努力は要らない。最高だろう?」

 そう言ってから、あいつはにやりと笑った。

「じゃあ、何で敷かれたレールを脱線するやつがいるかと言うと、努力しなくては、上にいけないからだ。ずっと平坦な道を行くのではなく、上へ上へとレールを延ばしていきたいからだ」

 今考えてもよく分からない言葉だが、九澄は、何か心にくるものがあったのか騒いでいた。そしてあいつは続けた。

「運命の女神は、時に、私たち人間に、理不尽なものを押し付けてくる。それが、どうしようもない壁であることもある。そんなとき、どうすれば良いか、教えてやろう」

 自信満々にあいつは言った。

「突き進め。無茶も通せばいける。たとえ、壁がレールの前に立ちはだかろうと突っ切って進めば、壁をぶっ壊して進めんのよ」

 笑いながら言ったあいつの顔は輝いていた。


 まったく持って、仕方ないが、あいつの言葉通り、ここで普通の生活ができるように突き進むしかない、か。

 俺は、苦笑しながら、寝たのだった。


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