5話:響乃四大美女
寮に帰る途中、俺に男が話しかけてきた。
「おう、雨月、だったか?」
誰だろうか。この男。
「ああ、覚えてないな。俺だよ。お前の前の席の」
前の席……。妙にテンションの高い、確か、
「地潮良介、だっけか?」
「おう、そうそう!いや~、それにしても、いきなり美人女教師と放課後ラブラブ居残りとかうらやましいねぇ」
何なんだ、コイツは。鬱陶しい。
「そんなことは起きてない」
「マジか?お前、あんだけの美人と密室で二人きりだったんだぞ!」
密室ではない。鍵は全て開いていた。
「俺は、あいつにそういうことは、絶対しないな」
【PP】とそんなことをする気はない。
「あいつ!お前、美人教師をあいつ呼ばわりって!くそっ、お前は!」
「なんなんだよ、お前は」
本当に鬱陶しい。
「知ってるか?一昨年に、【響乃四大美女】って言うのがいたらしいんだけど、どんどん卒業していっちまって、去年、最後の一人が卒業しちまったうえに、去年、一昨年の入学した女子に【響乃四大美女】に匹敵する美少女がいなかったから、今年の女子は期待されてたらしいんだが、早速【新・響乃四大美女】が決まったらしいぜ!」
急に話が変わった。なんだ、コイツ。不気味だぞ。
「へぇ。そいつは気になるな」
適当に話をあわせておく。すると、良介は、気持ち悪い笑みを浮かべながら、俺に発表してくる。
「そんなに気になるか。だったら教えてやろう」
妙にもったいぶる。
「【新・響乃四大美女】は、一年、桐谷キリエさん!一年、七夜黒羽さん!一年、蓮条崇音さん!そして、最後、一年、狂ヶ夜マリアさん!」
全員一年なのだから「一年」の部分は要らないのではないだろうか。
それにしても、マリアか。あいつは、確かに人気が出るだろう。特に圧巻なのが、その胸だ。他の追随を許さないほどのボリューム。あれは、凄かった。
「どの子も美少女らしいぞ!」
「まあ、俺には、クラスメイトのマリアくらいしか縁がないだろ」
俺は思っていたことを呟いた。
「縁は、できるものではなく!作るものなんだよ!」
良介は叫んでいた。喚いていた。その様子を見て俺は、思った。こいつは、絶対にその、【新・響乃四大美女】と縁ができることはないだろう、と。