39話:偶然、あるいは、必然
Scene透
うっわ、ホントに寝てるし。人の布団で寝るとか。
「ただいま」
「お邪魔します」
玄関のほうから声が聞こえた。
「あ、おかっ……」
あたしは、「おかえり」と言おうとして声を引っ込めた。起こしちゃ悪いし。そして、慌てて玄関に向かった。
「おかえり」
「あっ、ただいま。来てたのね」
「久しぶり、透ちゃん」
姉さんと弓月姉だ。
「知らない靴あるけど、お客さん?」
げっ、と声が出そうになるのを抑え、
「あ、うん。同じ生徒会の人が付き添いで……。今はあたしの部屋に」
「え!ダメよ!今すぐ下に呼んできなさい!あんな汚い部屋に通すなんて正気!」
酷い!
「いや、でも、寝ちゃったし」
「えっ!あの部屋で、しかも透ちゃんの布団で寝れるような猛者が……」
猛者って、おい!
「さっきから二人とも酷いんだけど!」
「酷くないわ」
「酷くないよ」
あ~、もう。
「あ、そう言えば、写真」
あたしは、思い出したように聞く。
「写真は?」
「写真。ああ、透夜さんの持ってたこれ、ね」
弓月姉が、乾いた笑みと共に差し出す。
「裏側?」
そう、渡された面は裏面だった。
「鳥と影……?」
くるっと写真を裏返し、あたしの手は止まる。口が開きっぱなしだった。
「どうかしたの?」
「止まってるよ、透ちゃん」
あたしは、戦慄していた。鳥肌が立った。こんな漫画みたいなことが、あるの?
「嘘……。だって、」
あたしは、思わず部屋のほうへ顔を向ける。
「こいつは……」
「えっ、透ちゃん、知ってるの?」
あたしは思わず、笑ってしまった。
「何よ、これ。偶然?わざと?誰かが仕組んだの?」
「だ、大丈夫、透」
姉さんの声に、あたしは、引きつった笑みしか返せない。
「マジで、これは、ありえない」
そのとき、あたしの部屋のドアが開いた。




