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狂った世界で  作者: 桃姫
蒼空編
33/82

33話:知る者

 その後、数時間話したが、結局、【青空の噂】とやらの謎は解けず、マリアは、部屋に戻っていった。

「それで?何で、お前は、まだ俺の部屋にいるんだよ」

 マリアが出て行ったあと、勇音も出て行くのかと思ったが、徐に、鞄の中かうらパソコンを取り出して、くつろいでいた。

「いっとくけど、くつろいでないから」

「それをくつろいでると言わないでなんて言うんだよ!」

 完全に寝そべってる。

「それより、異能について詳しく教えて」

「何で?」

 何でコイツはそんなことを聞く。

「何でって、【扉】に触れてみたいからよ」

 笑った。勇音は、清々しいまでの笑顔をしていた。その表情が物語っているのは、「面白いから」だ。

「んじゃ、どーなっても知らねぇぞ。まず、危険度分けからだな」

 そうして、俺は語る。

 普通能力者、危険能力者、第三級危険能力者、第二級危険能力者、第一級危険能力者。

 魔法(マギ)身体強化(エンチャント)超能力(サイキック)(サイコ)、呪詛(カース)魔眼(アイズ)人形師(ネクロマンサー)幽質(ゴースト)幻種(アース)

 異能が確認された年、場所、日付。

 異能の人口。

 その他、全て、俺が異能について知っていることを。

「なかなか興味深いけれど、その危険度と分類。あんまあてになんないっしょ?」

「まあな」

 規格外は、たくさんある。

「ただ、俺が思ってるのは、この分類とは違う、何かもっと明確な分類があるんじゃねーのってことなんだ」

「まあ、あるでしょうね。【血染眼】もそうだけど、科学者がつけた名が本当とは限らないんだから」

 まあ、そうだよな。

「そもそも、複数の分類に分けられるものがある時点で、その分類は、不適格。てゆーか幻種って何?」

「幻種?」

 幻種と言うのは、分類の一種。所謂、幻獣などの伝説上のものを模した力を総称する。

「ようは、ドラゴンとか麒麟とかの力を真似した力だ」

「第六……いえ、あれは、……。もしかしたら、それがありえるなら、」

 勇音の様子が変だ。

「どうした?」

「えっ、ああ、うん。もしかしたら、マリアたんって、神醒……ううん、何でもない」

 妙に含みのある言い方だ。

「マリアの正体が分かったのか?」

「ううん、たぶんあたしの勘違いだわ」

 そう言って、心ここにあらずといった感じで笑う勇音。


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