33話:知る者
その後、数時間話したが、結局、【青空の噂】とやらの謎は解けず、マリアは、部屋に戻っていった。
「それで?何で、お前は、まだ俺の部屋にいるんだよ」
マリアが出て行ったあと、勇音も出て行くのかと思ったが、徐に、鞄の中かうらパソコンを取り出して、くつろいでいた。
「いっとくけど、くつろいでないから」
「それをくつろいでると言わないでなんて言うんだよ!」
完全に寝そべってる。
「それより、異能について詳しく教えて」
「何で?」
何でコイツはそんなことを聞く。
「何でって、【扉】に触れてみたいからよ」
笑った。勇音は、清々しいまでの笑顔をしていた。その表情が物語っているのは、「面白いから」だ。
「んじゃ、どーなっても知らねぇぞ。まず、危険度分けからだな」
そうして、俺は語る。
普通能力者、危険能力者、第三級危険能力者、第二級危険能力者、第一級危険能力者。
魔法、身体強化、超能力(サイコ)、呪詛、魔眼、人形師、幽質、幻種。
異能が確認された年、場所、日付。
異能の人口。
その他、全て、俺が異能について知っていることを。
「なかなか興味深いけれど、その危険度と分類。あんまあてになんないっしょ?」
「まあな」
規格外は、たくさんある。
「ただ、俺が思ってるのは、この分類とは違う、何かもっと明確な分類があるんじゃねーのってことなんだ」
「まあ、あるでしょうね。【血染眼】もそうだけど、科学者がつけた名が本当とは限らないんだから」
まあ、そうだよな。
「そもそも、複数の分類に分けられるものがある時点で、その分類は、不適格。てゆーか幻種って何?」
「幻種?」
幻種と言うのは、分類の一種。所謂、幻獣などの伝説上のものを模した力を総称する。
「ようは、ドラゴンとか麒麟とかの力を真似した力だ」
「第六……いえ、あれは、……。もしかしたら、それがありえるなら、」
勇音の様子が変だ。
「どうした?」
「えっ、ああ、うん。もしかしたら、マリアたんって、神醒……ううん、何でもない」
妙に含みのある言い方だ。
「マリアの正体が分かったのか?」
「ううん、たぶんあたしの勘違いだわ」
そう言って、心ここにあらずといった感じで笑う勇音。




