表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狂った世界で  作者: 桃姫
蒼空編
PR
28/82

28話:気配なき者

 俺の言葉に、勇音は、驚く。

「うっわ~、何あんた。あたしのこと知ってんの?こわっ!ストーカー?」

 俺は溜息をつく。

「お前、人か?」

「いや、青い髪してっけど、これ、染めてんのよ。人間、あたし人間だから」

 俺が聞いたのはそういう意味ではない。

「お前、気配がない」

 そう、気配が存在しないのだ。人間、極限まで薄めることはできても、消しきることはできない。

「いやっ、これ、生まれつきの体質だっつの。姉さんもあたしも、気配が薄すぎて、クラスで空気なんだから」

 そう、彼女の見た目は、普通に可愛い。それこそ、廿楽や沙綾なんかより可愛いと思う。華奢、と言うより、小柄な見た目。そして、喋らなければ、令嬢のような、触ったら壊れてしまいそうな美しさが、愛らしさがある。ただし、喋らなければ、であるが。

 それなのに、良介が、話をしているのを聞いたことはない。あいつ、美少女の情報をいりもしないのに、どんどん教えてくる。その良介が知らないというのは、よほどだろう。

「ちなみ、あたしと君も何度か会ってんだけどね。雨月謳くん」

 どうやら、俺のことを知っていたらしい。これは、常時異能を発動しているのだろうか。いや、違う。彼女が異能を使っているとは思えない。

「念のために聞くが【幻影(イリュージョン)】や【透化(クリア)】の異能を持っているわけじゃないよな?」

 どちらも身体強化に分類される異能だ。

「なにそれ?あんたらが言う異能ってやつ?」

「そうだ。常時展開していれば、気配を消せるだろうが……」

 俺は、濁った青色の髪を見る。

「お前、先天性の異常者か?」

 稀に、ありえないほどの長い時間、異能を転じても力尽きない奴がいると聞くが、それだったら、常時展開していてもおかしくはない。

 その異常者の特徴は、透通るような色の髪している。そこで、勇音を見る。濁った青い髪だ。違うな。

「異常者ってなに?まあ、いいけど。それよりも、君、兄弟はいんの?」

 兄弟?知らないな。

「何でだ?」

「いや、姉さんの学校に、君と同じ苗字で、変な力の女の子がいるって言ってたから」

 同じ苗字……。「雨月」ね。俺は、沙綾にこの名を貰ったわけで、これが本名かどうか知らないんだが……。

「少なくとも、俺に兄弟姉妹はいねぇよ」

 そのはずだ。

「ふぅん、じゃあ、親戚?まっ、いっか。そういえば、君もあたしも生徒会だったっけ?影薄くて出席してないんだけど。まあいてもいなくても一緒だからいっかみたいな感じで」

 結局、来てなかったのかよ。

「じゃあ、明日からは来いよ」

「いや、明日日曜だし。休まなきゃ、ね」

「生徒会は、日曜も活動あるんだ」

 俺と勇音がそんなやり取りをしてると、キリエは、無表情に、

「じゃあ、私は、帰るわ。それじゃあね。愚図で鈍間な雨月くんとその辺の石ころみたいに、誰にも気にされない勇音さん」

 屋上から飛び降りたのだった。

 勇音が、

「誰が常に石ころぼーしかぶってるんだよ、こんチクショー!」

 と、よく分からないことを叫んでいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ