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狂った世界で  作者: 桃姫
七夜編
23/82

23話:【夜鬼】――覚醒

Scene七夜黒羽

 黒い、ただ、黒い空間。そこには、何かあり、そして、それは、蠢き続ける。

《連なる星》

 声が聞こえた。

《流れる星》

 酷く暗い声。

《輝く星》

 それも複数の声が同時に、同じことを喋っているような。

《堕ちる星》

 身の毛もよだつ。

《連なる夜》

《暗い夜》

《堕ちる夜》

《さあ、この声を聞く者よ、七つの夜の闇に呑まれるがいい》

 夢でも見ているのか。

 長く伸びた黒髪。

 金の眼が、煌々と光を放つ。夜の闇の中で、眩く。

「わたしは、誰……」

 頭の中で、七夜、愛華(まなか)、香紗、凪由蛇、レルミ、ユタ、黒羽、と様々な名前を呼ぶ声が聞こえる。

「わたしは七夜?愛華?香紗?凪由蛇?レルミ?ユタ?ううん、違う。じゃあ、黒羽?」

 そう言った瞬間に、黒い世界に光が射す。

「黒羽」

 愛しい人の声に、わたしは、思い出す。

「そう、わたしは、黒羽。七夜黒羽。【夜鬼眼】を持つ、最後の【夜鬼】……」


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