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23話:【夜鬼】――覚醒
Scene七夜黒羽
黒い、ただ、黒い空間。そこには、何かあり、そして、それは、蠢き続ける。
《連なる星》
声が聞こえた。
《流れる星》
酷く暗い声。
《輝く星》
それも複数の声が同時に、同じことを喋っているような。
《堕ちる星》
身の毛もよだつ。
《連なる夜》
《暗い夜》
《堕ちる夜》
《さあ、この声を聞く者よ、七つの夜の闇に呑まれるがいい》
夢でも見ているのか。
長く伸びた黒髪。
金の眼が、煌々と光を放つ。夜の闇の中で、眩く。
「わたしは、誰……」
頭の中で、七夜、愛華、香紗、凪由蛇、レルミ、ユタ、黒羽、と様々な名前を呼ぶ声が聞こえる。
「わたしは七夜?愛華?香紗?凪由蛇?レルミ?ユタ?ううん、違う。じゃあ、黒羽?」
そう言った瞬間に、黒い世界に光が射す。
「黒羽」
愛しい人の声に、わたしは、思い出す。
「そう、わたしは、黒羽。七夜黒羽。【夜鬼眼】を持つ、最後の【夜鬼】……」




