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狂った世界で  作者: 桃姫
七夜編
19/82

19話:機関

 俺は、生徒会室に来ていた。

「やっと三人ね。相変わらず揃わないわね~」

 廿楽がそう言った。

「あと、誰だっけか?」

「蓮条さんと勇音さんね」

 俺の問いに対する廿楽の回答だ。

「蓮条崇音さんと勇音透さんでしたね。蓮条さんは、御家が忙しいのではないでしょうか」

 黒羽が言う。蓮条と言うやつの家?

「蓮条って言う奴の家がどうかしたのか?」

 俺の言葉に、黒羽ではなく廿楽が答えた。

「蓮条さんは、蓮条グループの総元締め、蓮条剛司氏の娘さんよ。あの、朱野宮家とも繋がりが深い蓮条グループだからね、忙しいのはわからないでもないわ。それにしても、七夜さんは、よく知っていたわね。彼女、全然学園に来ていない上に、素性の詳細は秘匿されていたはずだけれど?」

 それに対して黒羽は、

「わたしは、個人の伝手がありまして、蓮条クレアさん……蓮条家の長女さんとは、知り合いでして」

 蓮条クレア……。クレア。【炎焔】、か?いや、気のせいだろ。

「ふうん。まあ、いいわ。蓮条さんは置いておいて、勇音さんは、早く参加して欲しいわね」

 勇音透と言うやつに関しては、情報がないから分からないが、蓮条同様、何か用事があるんじゃないのか?

「勇音さんは、おそらくサボりだろうしね」

「なんだ?サボりなのか?」

 俺の予想を裏切られた。

「よく、屋上や屋外でサボっているところを見るからね」

「屋上?」

 屋上でこの間のことを思い出すが、いや、流石にそれはない。

「ええ、教室棟の屋上の給水タンクの下に寝転んでるわよ」

 給水タンクの下……。それは、誰にも見えない場所。まさか……、まさか、な。聞いていた(・・・・・)なんてことはないだろう。

「黒羽。そういえば、一つ聞きたいことがある」

「な、なんですか?」

 俺は、一つの可能性を探っていた。

「お前、件の吸血鬼か?」

 俺の言葉に廿楽と黒羽が両方、揃って、同じ声を、別のニュアンスで放った。

「えっ?」

「え……」

 きょとんとする廿楽に対して、顔を青くする黒羽。

「いや、どうってことはないが、その髪、どうしたんだ」

 そう、髪の長さがいつもと異なる。ショートカットではあるが、微妙に短い。

「件の吸血鬼って、誰も信じちゃいない、あの?」

 廿楽の疑問に、俺は、

「そうだ」

 と短く答えた。

「髪は、その、少しだけ切ったんです」

「そうか」

 慌てる彼女は、完全に、挙動不審だった。

「なあ、黒羽。この廿楽は【縛鎖】の眼の保持者だ。お前も、同質の【夜】の眼の保持者じゃないのか?」

 俺は、自分の言葉に、言い知れぬ「間違い」や「違和感」を感じたが、それでも聞いた。

「な、何で、わたしの【夜】の眼まで……」

 俺は、静に答える。

「俺も『眼』を持つ人間だ」

 そう俺も「眼」を持つ。全ての血を喰らい、全てを殺す「眼」。その名を、

「俺は【殺戮】の眼の保持者だ」

「【殺戮】の眼……?!」

「それって、あの、事件の……?!」

 俺が自身で【殺戮】の眼と言う呼称を呼ぶのは好まない。別の名があるような言い知れない違和感に囚われるからである。【――】。頭に反芻する聞き取れない声。

「それで、黒羽、お前は、」

「わたしは、……【異能力者倒滅異能力者総合機関】七位。七夜黒羽です」

 【機関】……?!じゃあ、

「お前の言った、蓮条崇音の親族の蓮条クレアが【炎焔】か?」

「え、ええ。一応、機密事項ですが……」

 そうか。じゃあ、蓮条崇音も要注意だな。


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