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狂った世界で  作者: 桃姫
プロローグ
1/82

1話:プロローグ

 俺は佇んでいた。この狂った世界で、俺は佇んでいた。

 俺は思う。世界は狂ってる。そして、俺の「眼」も狂ってる。

 いつから世界はこうなった。いつから俺はこうなった。

 全てが壊れたのはいつだ。狂ったのは何でだ。

 それは、全て分からない。だが、一つ言えるのは、この狂った世界で俺は、俺のような「怪物」は生きていけない。


 被験体、実験体、番号、囚人、大尉、お前、これ、それ、ガキ、馬鹿、化け物、魔物、怪物。随分と様々な名前が与えられたものだ。

 そんなふうに思う。ウタイと言う名前を持っているが、それも、本名かどうかすら分からない。

 ただ、施設のいかれた科学者たちは、俺のことをこう呼んだ。「怪物」と。ただ、そう呼んだ。


 この世界には、魔法、異能、超能力と呼ばれるものは、二十数年前まで、一切確認されていなかった。

 けれど、歯車が狂ったように、世界に不思議な力を持つものが生まれた。

 不思議な力は、世界を壊せるほどの強大な力だった。だから、国は、それを隠蔽、秘匿し、情報を完全に消した。

 そして、俺たちは実験体として研究されるのだと。

 そんな話を、俺は幼い頃に聞いた。狂った研究者どもから聞いた。

 その数年後、その研究者どもは、塵も残さず消えたのだが。


 それから、様々な施設を経て、俺は、逃げ出した。

 狂っている、狂気に満ちた、狂人たちが溢れるあの世界から。

 俗に言う「国の裏側」と言うやつから逃げ出した。

 そして、一般人になった。


 もう、俺は、被験体でも実験体でも番号でも囚人でも大尉でもない。ただの一般人だ。だから、人並みの幸福と、人並みの平穏を求める。

 求めて、世界を彷徨う。

 世界は、俺を必要としているのか。

 神は、俺に何をさせたいのか。

 仏は、俺に何故こんな「(モノ)」をくれたのか。

 全部分からない。


 ただ、俺は、普通の暮らしをして、人並みの幸福を感じ、人並みの愛を貰えれば、それでいい。こんな「(モノ)」いらない。

 こんな狂った世界に、神はいるのか。仏はいるのか。

 いるなら何で、俺は、こんな「(モノ)」を貰ったのか。教えて欲しい。

 数年前に何があったのか。なんで、こんな力が現れるようになったのか。

 今も捕らえられている、実験されている、殺されている彼らは何のために生まれたのか。生まれなくてはならなかったのか。

 それら全てを教えて欲しい。


 俺は、そんな探求の感情も、同情の感情も、捨てた。

 人並みの生活のために。

 今更、俺に彼らを、彼女らを心配する権利はないのかもしれない。でも、だとしても、だ。こんな俺たちを創った神とやらを許せない。彼らを、彼女らを心配せざるをえない。

「まったく、何やってんだか……」

 天に向かってぼやく。

 俺は、ようやく、幸せな家族に会え、人並みの幸福を手にした。明日から、学園の入寮だというのに、未だに過去を引きずっている。彼らを、彼女らを忘れられない。捨てられない。


※この作品は、作者の作品である「Si Vis Pacem, Para Bellum」の続編として書かれた物語です。一応、そちらを呼んでいなくても大丈夫なように書く予定です。

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