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あんぶれら*うぉーかー

作者: 桜物P

たた…げふんげふん!さでぃず…げほっげほっ!


さ迷うことに意味はない。

いや、意味はなくなった。

ずっと前、私が歩き始めたときは、確かに何かを探してた。

雨降る、夏のある日、私は何かを探し始めた。

今は道に迷い、途方に暮れて、ただ理由もなく歩くだけ。

長靴履いて、傘を構えて、

さ迷う。



『アンブレラウォーカー?』

『そう。最近ここら辺でウワサになってる、幽霊。』

『幽霊ね、信じてないわ。馬鹿馬鹿しい。』

『まぁまぁ、そう言わずに。こういう類のモノは、実在するかしないかが重要じゃないよ?お前は、おとぎ話も馬鹿馬鹿しいって言うのか?』

『……いや。』

『すげー悔しそうな顔だな。イテッ!やめろ!わかったから殴るな!……はい、これから俺が語ることは、おとぎ話と思って聞け。』

『わかったわよ』

『よし、素直でいい子だ……って、殴るなって!やめろ!話進まねえじゃねぇか!』

『……いいから早く語りなさいよ。』

『やめろって言ったらやめるところが、お前の可愛いとこだイッテェ!抓るなイテテテテテタ!』

『あんたのせいで話が進まないのよ。』

『わかった、語る!語るから、心して聞けよ!』

『早くしろ。』

『……よし。アンブレラウォーカーについてだ。アンブレラウォーカーってのは、まぁ都市伝説みたいなもので、口裂け女の親戚だ。』

『……口裂け女、ね……。』

『おい、何意味ありげに言ってんだよ。触れないからな、その話題については触れないからな。つか話逸らすなよ。……えっと、で、アンブレラウォーカーは雨の日にこの町のどこかで現れる、黄色い傘と長靴を履いた、小学生低学年くらいの女の子の幽霊だ。』

『見た目は普通ね。それじゃあ、本物の小学生かもしれないじゃない?』

『確かに。だけどな?……ある日、アンブレラウォーカーっぽい小学生の女の子を見た奴がいたんだ。そいつは、興味本位でアンブレラウォーカーに話しかけたんだ。「迷子?大丈夫?お家はどこ?」ってね。そしたらアンブレラウォーカーは、小さな声で、返事したんだ。「私は迷子。もう、何処に行こうとしていたかもわからない。お家は捨てた。私は、さ迷うだけ。」……ま、これだけなら中二病の女の子で済むだろ。だけど、ここからが幽霊と言われる理由で……』

『……うん』

『その女の子は、次いでこう言ったんだ。「あなたじゃない。私が探しているのは、あなたじゃない。」…ってね。そして少女は、そいつの前から一瞬で……姿を消した。』

『……』

『一瞬さ。目を離していたとか、少女がダッシュで走り去ったとかじゃない。なにせそいつが少女と出会った場所は、小高い丘。逃げたらわかるし、隠れる場所もない。消えたとしか、考えられないんだ。』

『……ふ、ふん。馬鹿馬鹿しい。おとぎ話でも、も、もっと、マシなの作りなさいよ、馬鹿馬鹿しいっ。』

『涙目?』

『うるさいっ!』

『可愛いな、お前!……おぅ、まぁ拳を下ろせよ。メリケンサックなんて女の子が持つもんじゃねーよ?』

『……コロス。』

『幽霊なんかよりお前の方が百倍怖い。ま、まぁ俺を殺すのは、アンブレラウォーカーの話の続きを聞いてからのほうがいいんじゃないか?』

『続き?まだ、続きがあるの?』

『ああ。まぁ後付けの話っぽいけどな。……アンブレラウォーカーは、もともと普通の女の子だった。幼なじみの少年と毎日元気に遊ぶ、どこにでもいる女の子だったんだ。しかしある日、その幼なじみの少年が、消えた。親とケンカして家出した少年は、行方不明になったんだ。』

『……う、うん。』

『警察が必死に探した結果、その少年は隣町で、死体となって発見された。餓死だそうだ。彼を知る者は死を悲しみ、弔った。だけど、彼の死を受け入れず、否定する女の子もいた。』

『……アンブレラウォーカー。』

『そう。その女の子は「彼を探す!」と言って、やっぱり家出して、やっぱり隣町で死体となって発見された。……その隣町ってのが、この町なんだけどな。』

『……。』

『ガチで泣きそうになるなよ……。まぁつまりだ。アンブレラウォーカーは、幼なじみの男の子を探して、見つからずに死んでしまった、女の子の幽霊なんだ。』

『……ば、かばか、しい、わ……うぅ。』

『おい、泣きながらメリケン構えるな。おいおい、なに腕振り上げてんの?いや、ちょ、待って……ギャアアアアアア!?』



虹が見えた。

山の向こう、私のお家がある方向に、綺麗な虹が架かっていた。

「あの虹を渡ったら、探し物は見つかるのかな?」

私は歩き始めた。

探し物を、探すために。

今回のは書き方が独特でしたね。読みにくいかもしれません

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