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Get the Dream   作者: nora
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第九話 咲(前編)

数日後、俺の怪我は完全に治った。仲内さんも、もう大丈夫だって言ってくれたし。ただ、霊力の回復はもう少しかかるらしい。なんでも霊力の残量は風前の灯火だったとか。どうりで体が重いわけだ。


今そんな俺が何をしているかというと、全学生の敵、夏休みの宿題と格闘しているのだ!!

咲は俺が宿題をやってる間、晩飯の食材の買い出しにでている。


「うーむ、わからん・・・」


だいたい数学なんかやって何の役にたつと言うのだ。数学なんて簡単な四則演算さえできればいいんだよ。大人になってもルートなんか絶対使わないだろ。


ピンポーン、ピンポーン


その四則演算の応用に苦戦しているとチャイムが鳴った。


「ん、誰だ?」


居留守を使うわけにもいかないので、階段を降り、玄関を開ける。


「どちら様で・・・」

「こんに・・・あれ?中谷?」

「げ、風紀委員長」

「あんたなんで咲の家にいんのよ」

「べ、別に良いだろ。幼馴染みなんだから」

「ま、いいけど。咲は?」

「今夕飯の買い出しにいってるよ」

「そっか。・・・ちょっと家のなかで待っていて良いかな?」

「俺の家じゃないからなんとも言えんな」


咲が聞いたら間違いなくOKするだろうが、俺、こいつのこと正直苦手なんだよなぁ。

別に嫌いとかじゃないんだが、この強気な感じが少し苦手なのだ。


「じゃあ、咲に聞いてみるね」


そういって携帯を取り出す


「・・・もしもし、咲?」


咲の携帯にかけているんだから咲が出るに決まってるだろ。

と、どうでもいいようなことを頭の中では考えるが口には決して出さない。


「あのさ、今咲ん家の前にいるんだけど咲が帰るの部屋で待っていても良い?」


こんな用件で電話かける奴は初めて見たぜ。


「・・・うん・・・うん、わかった。じゃあ待ってるねー」


・・・・・・


「じゃあ、そういうことだから。お邪魔しまーす」


仕方が無く、俺は霧島をリビングに通す。


「麦茶でいいか?」

「え?そんなのいいのに」

「まあ、貰っとけ」


俺は手際良く冷たい麦茶を出す。すると、それを不思議そうに見ていた霧島が口を開いた。


「えらく手際がいいのね」

「よく来るからな。自分の家も同然だ」

「そーなんだ」


麦茶をコクリと一口飲むと霧島はこっちを見て口を開いた。


「ところでさ、大谷は咲のことどう思っているの?」

「え?そりゃ、普通の幼馴染みだけど」

「えーと、もっとなんかないの?妹みたいだーとか。」

「さすがに妹は無いだろ。同い年だし。でもまあ、あいつは可愛いし性格も良い奴だからな。俺の自慢の幼馴染みだよ。」

「・・・そっか。咲も大変だな」

「え?なんか言ったか?」

「ううん、なんでも無いよ」

「そうか?ならいいけど」


「・・・・・・」

「・・・・・・」


俺と霧島は黙って麦茶を飲みながら視線を外に向ける。


「・・・・・・」

「・・・・・・」


・・・気まずい。

何か話題だ!話題を作らなければ!!


何を話そうかと考えているとき玄関が開く音が聞こえた。


「ただいま~」


どうやら咲が帰ってきたらしい。

ナイス咲!!なんて良いタイミングだ。おまえは女神かなんかか?と大げさに喜んでみる。


「あ、咲。おかえり。お邪魔してるわよ」

「いいよ別に。ねぇねぇ、小百合。今日うちで晩御飯食べていかない?」

「はぁ!?咲、お前何言って・・・」

「えぇ?そんなの悪いよ」


無視かよ!!


「いいじゃん。どうせ、うちは真二と私の二人しかいないんだから」

「え?・・・大谷と咲の二人だけってどういうこと?」


咲、そういうことは説明が面倒だからあんまり言わないでくれ・・・


「親の都合で俺が咲の家に泊まっているんだよ」

「親の都合って・・・まさか許嫁!?」

「なわけあるか!!だいたい、咲と俺が恋人になるわけねぇだろ。なあ、咲」

「え?あ、うん・・・そうだね・・・」


咲は少し顔を曇らせて歯切れ悪くそう言った。

「咲?どうかしたのか?」

「ちょっと大谷!!あんたねぇ――」

「いいんだよ小百合」


霧島が俺に怒鳴りつけかけたその瞬間、咲がそれを止めた。


「咲・・・」

「ありがとう。小百合。でも、これは私の問題だから・・・」


俺は咲の調子が悪くなるし、突然怒鳴られるしで全く状況が掴めていなかった。


「えーと、どうなってんの?」

「な、なんでもないよ。私、ちょっと隣のおばさんに用があるから行ってくるね」


と、明らかに作り笑顔だとわかる笑顔で言うと、走って出て行ってしまった。


「あ、おい」


俺はいきなり、咲が飛び出していったことに驚きを隠せなかった。

霧島は咲を追いかけるが、扉の前で振り返ってこう言って走っていった。


「最っ低!!!!」

「・・・なんで?」


蝉の鳴き声が聞こえる中、俺の声が部屋に静かに響いた。


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