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Get the Dream   作者: nora
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第十八話 戦友はお嬢様?

俺と楓は食堂で昼飯を食っていた。

俺は日替わり定食を頼んだ。これは割りとボリュームがあって高校生でも十分に満足できる。

一方、楓はカレーセットを頼んだ。

これはカレーの量は少な目だが、サラダと果物がついていることもあって、特に女子に人気だ。


「ここのカレーおいしいっ」

「ああ、ここの食堂にはマジで外れはない。味は生徒全員が保証できる!」


まあ、そのぶん学食にしてはちょっと高めの値段設定なのだが。

しかしそれもせいぜい100円前後の差だ。


「それは言い過ぎなんじゃない?」

「それもそうか。まあ、十中八九おいしいって答えるよ」


っていうか、不味いって言うやつを見てみたいぞ


「話は変わるけどさ」

「うん?」

「なんで真二はそんなに霊術師のことを知らないの?」

「なんでって・・・親父が教えてくれなかったからだろ」

「でも普通あれくらいのことは幼稚園くらいで教えてもらうものよ?」

「えぇ!?あんなの幼稚園児じゃ理解できないだろ」

「生まれてからずっと霊術師に囲まれてれば自然とわかるものでしょ」

「はい?うちには霊術師は母さんと親父と俺の3人しかいねぇぞ」


あとの友達とかはごく普通の一般人だ。

こいつの家は5人姉妹とかで、めちゃくちゃ家族多いのだろうか?


楓を見るとなにやら呆気にとられて、ポカーンとしている。


「あの、楓さん?」

「・・・あ、ゴメン。ちょっと驚いちゃって」

「別に驚くことではないと思うのだが」

「だって私の家には使用人からお父さんの部下まで全員霊術師だから・・・」

「・・・」


次は俺がポカーンとしてしまった。


使用人?部下?なにそれ、おいしいの?


「えーっと、楓ってもしかしてお嬢様的な感じ?」

「霊術師なんて、どの立場にいるかは別として、みんなだいたいそんな環境で育つものよ。ただ私は上級の家柄だからそういう立場なんだけど」


うそ~。うち、めっちゃ一般家庭なんですけど~。


「まあ、こっちに越してきてからはアパートに独り暮らしなんだけどね」

「家事とか自分でできるのか?」

「バカにしないでよ。掃除洗濯料理くらい人並みにできるわ」


意外だ。

使用人なんかいる家で育った子供は何にもできないと思っていた。

これは金持ちに対する認識を改めなければな。


「まあ御六なんてそんなものよ」

「?ごりくってなんだ?」

「あんた、御六も知らないの・・・?」

「だから、俺はそういうのはほとんど知らないんだって」

「はぁ。霊術には炎、水、風、地、雷、治癒の六属性があることくらいは知ってるわよね」

「ああ」

「それぞれの属性を操る大家である六つの家を総称して御六ごりくっていうのよ。昔、御六の当主が集められてね。その身体に刻印を受けてからは、刻印が当主の証であり、力の源泉にもなっていたのよ」

「フムフム。ということは、刻印って毎回当主が代わるごとに受けてたのか?」

「うんん。刻印は勝手に代々受け継がれていくものなんだけど、普通には見えないものなのよ。それは、さっき言った覚醒の時に髪の色が変わった者が刻印の継承者で、次期当主ってわけ」

「なるほど。・・・ん、ちょっと待って。覚醒したら誰でも髪の色が変わるんじゃないのか?」

「そんなこと誰が言ったのよ?」

「・・・」


確かにさっきは覚醒の影響によるものだってことしか言ってなかったけどさぁ。

俺の髪もいつか色が変わるのかぁ。

俺、三属性も使えるし何色に変わるんだろう?

とか、楽しみにしてたんだぞ。


楓の顔はどうみても俺がまんまと乗せられたことが嬉しくてしょうがない顔だった。

なんか裏切られた気分・・・・


「・・・楓って意外とからかうのが好きとかそういうタイプ?」

「ごめんごめん。私小さいときにお姉ちゃんに同じようにからかわれたことがあったから、一回言ってみたくて」


・・・・そうですよね。

そんなの知らないのは小さい子供と俺くらいですよね。

はあ、悪気はないんだろうけど何気にショックだ・・・。

ん?いや待てよ?楓の話が本当だとすると・・・


「楓ってもしかして御六の次期当主!?」

「ええ、そうよ」

「・・・」


俺、絶句。

え?お嬢様的な感じっていうか完全にお嬢様じゃん。

霊術師の名門中の名門のお家柄で、かつ跡取り娘・・・。


「敬語で話した方が良いでしょうか?」

「やめて。敬語使い始めたら焼くわよ」


どうやら、敬語で話されるのが嫌みたいだ。

まあ本人がそう言うんだったら今までどおり普通に話すけどね。

・・・うん、焼かれたくない。


「はぁ~、俺は外見は何も変わらないのか・・・残念」

「ま、まあ、外見は変わらなくても覚醒すれば雰囲気とかもだいぶ変わってくるから。そ、そんなに落ち込まないでよ」

「あ、ああ」


なんか励まされてしまった。

まったく、落ち込ませたのはどこの誰だと思っているんだ。

とりあえず、家に帰ったら覚醒の修行でもしようかな。

つっても何すりゃいいかわかんないけど。

・・・・親父に聞けばいいか。


そうこうしているうちに、俺たちは昼食を食べ終わった。


「さて、教室に戻るか。四時限目は学活か。なにやるんだ?」

「進路についてだって。なんで今日転校してきた私が知っててあんたが知らないのよ」

「そりゃお前、寝てたからに決まってるだろ」

「はあ、そうだったわね・・・」


進路か・・・。

俺は霊術師を一生やっていくつもりだけど、さすがにそれを先生に言うわけにもいかなしなぁ。


俺はそんなことを考えながら教室へと向かった。


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