第十二話 プールにGO
恐怖の料理事件?から約一週間が経過し、夏休みも後半に入った。
ちなみにまだ親父たちは帰ってきていない。
一週間後には帰るんじゃなかったのか?
そんなある日、咲と俺がクーラーのきいたリビングでくつろいでいると、1本の電話がかかってきた。
「あ、俺が出るよ。もしもし」
『もしもし。咲ちゃんと同じクラスの相川ですけど』
「おお、悠樹か。どうした?」
『あれ?その声は真二か?お前ん家に電話してもでないと思ったら咲ちゃんのところにいたのか。ちょうどいいや。お前に話があるんだが。』
「ん、なんだ?」
『明日みんなでプール行かないか?』
「プール?まあ、俺は別に構わないけど、みんなって誰が行くんだ?」
『俺とお前と咲ちゃんと霧島さんかな。咲ちゃんに行けるかどうか聞いてくれる?』
「ああ。咲~悠樹が明日みんなでプール行かないかって言ってんだけど、お前どうする?」
「ん~、いいよ。楽しそうだし」
「咲はOKみたいだ」
『よし。じゃあ、明日の1時に市民プールの前な』
「了解」
受話器を置くと、咲が何やらどこかに出かける準備をしだした。
「咲、どっかいくのか?」
「明日プール行くんだったら新しい水着買いに行かなきゃ」
「え?去年のじゃダメなのか?」
「ダーメ。女の子にはいろんな事情があるんだよっ。真二も一緒に行く?」
「・・・いや、俺はいいわ」
女の子の水着選びについていくとか恥ずかし過ぎるわ!!
「まあ、どうせ来ないとは思ったけどね~」
しかも、確信犯かよ!!
「じゃあ、留守番よろしく~」
そう言い残し、楽しそうに出かけていった。
「せいぜい明日の咲の水着に期待するとするか」
□■□■□
そして翌日
待ち合わせの市民プールに、俺と咲は電車で向かった。
一駅だけだが、自転車でいくよりはよっぽど速い。
北泉市の市民プールは、割りと良くできていて普通の25mプールからウォータースライダーまで色んなプールが備わっている。
しかも温水プールだから冬に遊びに来る人たちも少なくない。
まあ、俺は御免願いたいが。
「で?なんでお前はこんなに早くからいるんだ?」
電車の都合上30分ほど早くついたのだが、そこには既に悠樹がいた。
「いや、えーっと、お、お前は?」
「一時に上手く着く電車が無かっただけだが」
「お前もか。俺もさあ、この時間帯の電車しか無かったんだよねぇ」
「嘘をつくな。お前の家はこの近くじゃねぇか」
「くっ・・・だって楽しみだったんだ。待ちきれなくて・・・」
「お前は小学生か」
「咲ちゃんと霧島さんの水着が」
「黙れ変態」
俺は即座に拳骨をお見舞いした。
そういえば俺も昨日そんなことを考えていた気がするが・・・。
うん、無かったことにしよう。
「それはともかく、あとは小百合ちゃんを待つだけだね」
「あいつの家ってどこらへんなんだ?」
「なんだ、真二。知らないのか?」
「お前は知っているのか?」
「舐めるな。霧島さんの住所は北泉市旧火鳥町○○番地だ」
「なぜお前はそんなものを知っているんだ?」
「フッフッフ。入手方法は教えられないが既にクラスの女子全員の住所は入手済みだ」
駄目だ。こいつマジでストーカーになるんじゃないか?
咲なんかどう反応したらかいいか分からずに苦笑いで、退きまくってるぞ
「相川くん・・・」
ついに咲が絶望的な一言を言い放つか。
悠樹、きっとかなり凹むぞ。
なんせ、あの心優しい咲に「気持ち悪いこと言わないで」とか、「やっぱり変態だったんだね」とか言われたらそれなりにショックだからな。
「小百合ちゃんの住所は旧火鳥町じゃなくて旧火烏町だよ」
「なに?まさか俺が漢字を読み間違えるn・・・」
「ちょっと待てぇぇぇ!?」
「え?どうしたの、真二?」
「咲、今のは明らかに突っ込むところがおかしいだろ!」
「なんで?間違いを訂正してあげただけだよ?」
・・・そうだった。
咲が天然だったことすっかり忘れていた。
「あー、もういいわ」
「どうしたんだ真二。なんか変だぞ」
「お前には言われたくねぇっ」
そうこうしているうちに霧島がやってくると、不思議そうな顔をして言った。
「あれ?みんな集まるの早くない?」
□■□■□
霧島が来たらすぐに入場料を払い、更衣室に向かった。
俺と悠樹はさっさと着替えを済ませ、更衣室の前で二人を待った。
「遅いなあ、二人とも」
「まあ、女子なんてそんなもんだろ」
「お待たせ~、二人とも」
「ようやく来・・・」
「おおぉぉ・・・!」
声がする方に振り返るとそこには天使が二人いた。
ちなみに俺たちの反応は上が俺で下が悠樹だ。
霧島は水色のビキニタイプのシンプルな水着だが、霧島本人のスタイルが良いためにかなり綺麗に見える。
一方咲は薄いピンク色の水着で、なんて言うのか知らんけど、スカートみたいなのがくっついているタイプのやつだ。
少し可愛らし過ぎる気もしないでもないが、幼さの残る顔立ちの咲には良く似合っている。
「水着、どうかな」
「霧島さんも咲ちゃんもスゲー似合ってるよ!」
「うん、二人とも良く似合ってる」
「ありがとう、二人とも!」
「んーまあ、その、嬉しいこと、言ってくれるじゃない。アリガト」
霧島はかなり恥ずかしそうだ。
なんせ顔が真っ赤だからな。
咲も若干顔が赤いし、やっぱり恥ずかしいんだろうな。
「おい、真二」
「ん、なんだ?」
悠樹が急に小声で話しかけてきた。
「これは、真面目にナンパ野郎共に気を付けなきゃいかんかもよ」
「まあ、確かにな。二人とも超美少女だからな」
「じゃあお互い気を付けようぜ」
「おう」
「ねえ、なに二人ともこそこそ話してんのよ」
「なんでもねえよ。男同士の秘密だ」
「ふーん」
「そんなことより、まずどのプールから行く?」
「そうだなぁ。まずはやっぱりウォータースライダーでしょ!」
咲の意見により、まずはウォータースライダーに行くことになった。
このときの俺はこのあと何が待ち