文化部忘年会2
忘年会のオープニングは女子ダンス部のパフォーマンスから始まった。大盛況の中、次のプログラムである部長引き継ぎとなった。
この学校では伝統として、高校2年生が部長を、高校1年生が副部長として任命されている。そして、そのまま副部長が次の部長になるのだ。
つまり、俺、高雅は現部長である姫夜から引き継ぎを受けることになる。
この忘年会ではなんてことはない。ただ、現部長の感想と次期部長である副部長の意気込みをみんなの前で言う。それだけだ。
司会の人に前に来るよう言われ、俺と姫先輩は前に出る。31もの部活の部長副部長が前にステージに立つと、さすがに窮屈だ。
それぞれの部活にマイクが渡され、皆がコメントを残していく。そして、遂に俺達オカルト部の番になった。
「1年間ありがとうございました!あとは、可愛い後輩たちに任せます!はい!じゃあ高雅!」
「えっ、それだけですか?」
人によっては涙を流したりしていたのにこの姫先輩はたった一言で俺に回してきた。ウィンクしてアイコンタクトしてくる姫先輩。いや、さっぱりわからん。とりあえず、何か言うか...。少し考えた上で出た言葉が、
「あー、次部長になる真田高雅です。よろしくお願いします。」
結局何の面白みもない挨拶になってしまった...。簡単くんや美花みたいに派手に生きてれば盛り上げれるんだろうが、残念ながら俺はオタクで学校でも目立たず隅っこで暮らしてるような人間だ。
そもそも副部長も俺の意思が弱かったため、押付けられた...。という設定らしい。元々は副部長でも何でもなかったんだがな...。
司会の美花が俺の持ってるマイクを貰いに来る。その際に美花の手が優しく俺に触れてきた。軽くウインクをし、
「オカルト部のお二人ありがとうございました!じゃあ、次は、漫画アニメ研究部!!」
といって続ける。わざとやってるのは分かっているが、どうしてもドキッとしてしまう。俺の鼓動が早くなるのが感じた。
その後漫画アニメ研究部がマイクを破壊したり、なんかいろいろあったりしたが無事引き継ぎは終わり、料理部のみんなが作ってくれた料理や持ち寄りのお菓子をわいわい食べるフリータイムへと移った。時刻は12:30。
ステージから降り、オカルト部のテーブルへ戻った俺に最初に話しかけてきたのは友人だった。
「良かったよ。高雅。君の部長への意気込み、しかとこの心に刻まれた。」
「お前…。俺のちゃんと聞いてたか??」
「して、高雅。一緒に食べないかい?」
「いや、俺はのんびり1人で食べてるよ。」
友人を軽くあしらい料理が用意してある方へ歩いていく。その際に、女子ダンス部に所属してる2人の女子生徒に話しかけられたのだが、また友人がそれを止めた。
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「やめとけやめとけ。あいつは今付き合いが悪いんだ。「一緒に食べないか?」って誘っても楽しいんだか、楽しくないんだか...」
「ふーん、そうなの?みかちゃんがすっごい好きそうだから興味あったんだけれど…。」
首を振る友人。友人はこう続けます。
「『真田高雅』16歳。過去に1度だけ彼女がいた時期がある。6月9日生まれ身長165センチ体重51キロ血液型はイブキ。部活はそつなくこなすがなんとなく情熱に欠ける男。だが、実は中学生の時にこうなった原因がある。自宅はこの学校から自転車で20分離れた少し丘の上にある。趣味は漫画、アニメ、パソコンゲームで君たちの部長美花と2人でよくオンラインゲームデートをしている。実は美花とは両想いなのだがお互い片想いだと決めつけていて関係が進展していない。自分はオタクで陰キャだと決めつけ、1人でなるべく静かに学校生活を送りたいと思っているらしいが、星空恋やら天川美月がそれを許さない。能力はタイムリープで自身の首にナイフを突き立てることでその日の0:00に時間を戻すことができ、それで恋や美月を過去何回か救ってきたのを俺は知っている。もっとも、彼が能力で2人を救ってきたことはこの世界の人間の記憶には残らないのだがね。他にも毎朝のルーティーンがあったりと色々あるが、総じて言えることはこれといって特徴のないよくあるラブコメの主人公枠ってことだ。」
「なっが…チュートリアルみたいな説明ありがとう。アンタが私たちを高雅君に近づけたくないって言うことだけはわかったよ。」
と言い、2人の女子生徒は友人から離れて行きます。
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俺が料理の置かれているテーブルに行き紙皿を手に取り料理を選んでいるとちょっと不機嫌そうな恋が真っ先に傍によってきた。
「あんたの意気込み、ショボかったわね。まあ、仮に私があなたと同じ立場だったとしも大したことは言えなかったかもだけど。」
恋がこれ美味しかったわよ。といいトングでとある料理を俺の紙皿に載せる。それは、ナポリタンだった。
「ありがとう。あれ、何を言うのが正解だったんだ?」
「さあ。これから部活を良くします!とかそんな感じなんじゃないかしら。正解なんてないと思うし。」
「それもそうだよな…。」
恋は俺と話してる間もずっとナポリタンを俺の紙皿に載せていき、かなり山盛りになってしまった。
「おい恋、これは嫌がらせか?」
「うん。そうよ。でもそれが美味しいのはほんとだからちゃんと全部食べてよね。私が味は保証するわ。」
「おい、これは食べるからいいとして、何でそんなに不機嫌なんだ?」
「ふん。よく考えてみなさい。」
と言うとプイっとそっぽを向いて別の友達のところに歩いていく。何がなんだかよくわからずにいる俺の元に美月が来た。
「恋ちゃん、高雅がラブちゃんといちゃついてたから怒ってるんですよ。」
「…。それってさっきラブと一緒にここに来たことだったりするのか?」
「そうかもねー。でも、私としてはあんなにツーンとしてる恋ちゃんが見れて面白いんだけれどね。」
美月が恋の方を見ながらクスリと笑う。
「ってかそのナポリタンどうしたんです??山盛りですが…。」
「ああ、これは恋が置いていきやがった。美味しいらしいけど。」
「なら私がちょっと貰いましょう。確かに美味しかったですし!」
美月はおれの紙皿から3分の1くらい持って行く。だが、まだ多いんだよな...。そういえば美月にも話したいことがあったんだった。
「美月たちの発表聞いてたけど、よくあんな写真撮れたな...。まじで幽霊映ってたじゃんか。」
「それなー。実はラブちゃんが、「ここに幽霊がいるわ。ここから上はカメラに映さないようにして。あと、あたしは手を出さないから。」って言ってなんかあたかもそこにいるのを前から知ってたかのような感じで案内してくれたんです。」
「ラブがね...。」
ラブは俺がタイムリープを発動させた際の巻戻る前の記憶を保持してる疑惑があるが、その記憶があれば幽霊の位置なんかは知っていてもおかしくはない。
「なあ美月。ラブって何者なんだ??ほんとに誰か分からないんだ。」
「んー。そうですねぇ。私も異世界から来た恋ちゃんの親戚で王女様ってくらいしか...。でもすっごく雰囲気とか恋ちゃんに似てるよね?」
「それは思った。ラブは恋と同じオーラがある
。」
どうやら美月も同じことを思っていたらしい。そういえば簡単くんもラブと恋が似てると言っていたな...。やっぱり星空家に行ってもう少しその辺を深堀したほうがよさそうだな...。
「そういえば、そのラブはどこにいるんだ?まだちょっと話したいことがあったんだけど...。」
「高雅、ラブちゃん好きですねー。そりゃ、恋ちゃん嫉妬するよ。」
「それもよくわからないけど、俺、恋に好かれるようなことしてるか?」
「それは禁則事項です。」
美月が俺の口を閉じるかのように人差し指を口に当ててくる。
「ちなみに、ラブちゃんは美花ちゃんと話してますよー。」